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シーフード海へ還る
一緒にスーパーに買い物に行ったら、冷凍シーフードミックスを購入していた。釣りに行くらしい。
アサリも買っていたし、ETCカード貸してとか言っている。釣りに行くらしい。
けっこう贅沢な餌だ。海老で鯛を釣ろうというわけか。掛け金に比例して当たりも大きいギャンブルとは違って、海老にすれば鯛が釣れるというものでもない気がするのだが。
釣り餌の幟が出ている釣具屋ではなくスーパーで買っているのがミソで、それはもう餌というより"シーフード"である。
捕獲され生きたままスーパーの冷蔵ケースに並んでいたアサリは、紆余曲折あったのち再び海へ。
シーフードミックスに至っては各種細かく刻まれ冷凍され、変わり果てた姿で海へ。
工程が長めのキャッチアンドリリース。シーフードの立場に立ってみれば、ファインディングニモだ。
ところで、私は釣りを楽しむことができない人である。魚を待っている間退屈してしまうし、"この2時間は成果が無かったけど次の瞬間には釣れるかも"というような期待を抱き続けることができない。
一度釣れれば楽しくなるのかもと粘ってみたのだが、実際釣ってもあまり楽しみを見出すことができず、本格的に向いていないようだった。
釣り糸を垂れている時間を"待ち時間"と認識していることがそもそもの原因かもしれない。その時間すべてが釣りだ。たとえ釣れなくても釣りである。
いちご狩りだって、甘そうなのとか大きいのを探すことや、いちご&私の映える写真を撮るのが、苺を買って食うのではなくわざわざ狩りにいくことの醍醐味ではないのか。いちご狩り、行ったことないけど。
たぶん釣りが好きかどうかは、魚が釣れるかどうかではなくて、釣るまでの時間を楽しめるかどうかにかかっている。
どうしても成果の方に目が行きがちだが、本人にとっての本質とはその過程であることの方が多いのかもしれない。
深夜に車で出るのだそうだ。釣りに行くらしい。私はそれまでに、冷凍庫に入っているシーフード達をアヒージョにして食べてしまおうかと考えたがやめておく。
そう、たとえ成果が得られなくとも、シーフードをひたすら海にリリースしまくるのも釣り。私は壁外調査と呼んでいるのだけれど。
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