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【連載小説】恋愛ファンタジー小説:緑の魔法と恋の奇跡 第十八話 待ちわびたライヴァンの帰還

前話

 ライヴァンとヴァレリアンが採掘に何日か行っている間、エレナ・シルヴィアはレイナルドにライヴァンの細かな好みを伝えたり、考えながら装備を作っていた。そんなある日の夕方、レイナルドが手招きする。
「どうしたの?」
「お館様のお帰りだよ」
 フォージロックの村の入り口には泥だらけだが、軽い足取りで大きな袋を担いだライヴァンとヴァレリアンが入ってきた。エレナ・シルヴィアは髪が乱れるのも気にせず走り出す。二人の前に来たときには肩で息をしていた。
「シルヴィ。そんなに急いで、何か悪いことでも?」
 少し眉をひそめてライヴァンが聞く。
「いいえ。いいえ。そうじゃないの。あなた達が帰ってきたのが嬉しくて。ずっとレイナルドと一緒はいやよ。おじいさんなんだもの」
「メリウスとは仲が良かったじゃないか」
 メリウスとはエレナ・シルヴィアの森に住んでいる賢者のことだ。
「だって、鍛冶のことしか話さないんだもの」
「俺は鍛冶屋だからな」
 ぬっと出てきたレイナルドにエレナ・シルヴィアはキャッと声を上げる。
「そう、嫌がらなさらんなって」
「嫌がってなんていないわ」
 口をとがらせて反論するエレナ・シルヴィアが可愛い。その頭を軽く振ってライヴァンは獲得した鉱石をざっとレイナルドに見せる。
「なかなかの腕じゃな。ここの採掘屋にならんか? ヴァレリアンだけでも」
「ここに登りに来れば手伝うよ」
「そうか。そうか。ライヴァンはその大手柄を彼女に見せて喜ばせるんだな。行くぞ。ヴァレリアンだけでも」」
「おお……てがら?」
「これのことだよ」
 鈍い光を放っているが、まさしく大柄な翡翠の原石だった。いくつ宝石が作れるだろうか。エレナ・シルヴィアは思わず感嘆のため息をついた。
「君にもらった森のアミュレットは君に返すよ。それで、この石から二人で森のあたらしいアミュレットを作らないかい?」
「二人……で? 女性は工房に入れないわ」
 行き遅れた地域はどこにでもある。ご多分にもれず、このフォージーロックでも女性は工房に入れなかった。打ち合わせは外でいつも行っている。
「レイナルドなら許可をくれるよ。この翡翠は君の瞳のように美しく輝くよ。それを今すぐ見たいぐらいだ」
 二人が見つめ合ってるところにレイナルドが口を挟みに来る。
「二人とも、工房を使うなら夜に来い。弟子達は帰ってるからな」
「申し出、ありがたくうける。さ。このドロドロの体をさっぱりしてから工房に行こう」
「あら。私もどろだらけになってるわ。ライがつけたのね」
「私じゃない。シルヴィーが自分でつけたんじゃないか」
「レディはそんな事をしないわ」
「この」
「きゃ」
 ふざけあいながら二人は宿屋へ向かう。その二人をそっと影から見ている黒い僧衣を着た人物がいた。二人が宿屋に消えるとすっとその人物も姿を消した。



 ライヴァンとヴァレリアンが採掘に何日か行っている間、エレナ・シルヴィアはレイナルドにライヴァンの細かな好みを伝えたり、考えながら装備を作っていた。そんなある日の夕方、レイナルドが手招きする。
「どうしたの?」
「お館様のお帰りだよ」
 フォージロックの村の入り口には泥だらけだが、軽い足取りで大きな袋を担いだライヴァンとヴァレリアンが入ってきた。エレナ・シルヴィアは髪が乱れるのも気にせず走り出す。二人の前に来たときには肩で息をしていた。
「シルヴィ。そんなに急いで、何か悪いことでも?」
 少し眉をひそめてライヴァンが聞く。
「いいえ。いいえ。そうじゃないの。あなた達が帰ってきたのが嬉しくて。ずっとレイナルドと一緒はいやよ。おじいさんなんだもの」
「メリウスとは仲が良かったじゃないか」
 メリウスとはエレナ・シルヴィアの森に住んでいる賢者のことだ。
「だって、鍛冶のことしか話さないんだもの」
「俺は鍛冶屋だからな」
 ぬっと出てきたレイナルドにエレナ・シルヴィアはキャッと声を上げる。
「そう、嫌がらなさらんなって」
「嫌がってなんていないわ」
 口をとがらせて反論するエレナ・シルヴィアが可愛い。その頭を軽く振ってライヴァンは獲得した鉱石をざっとレイナルドに見せる。
「なかなかの腕じゃな。ここの採掘屋にならんか? ヴァレリアンだけでも」
「ここに登りに来れば手伝うよ」
「そうか。そうか。ライヴァンはその大手柄を彼女に見せて喜ばせるんだな。行くぞ。ヴァレリアンだけでも」」
「おお……てがら?」
「これのことだよ」
 鈍い光を放っているが、まさしく大柄な翡翠の原石だった。いくつ宝石が作れるだろうか。エレナ・シルヴィアは思わず感嘆のため息をついた。
「君にもらった森のアミュレットは君に返すよ。それで、この石から二人で森のあたらしいアミュレットを作らないかい?」
「二人……で? 女性は工房に入れないわ」
 行き遅れた地域はどこにでもある。ご多分にもれず、このフォージーロックでも女性は工房に入れなかった。打ち合わせは外でいつも行っている。
「レイナルドなら許可をくれるよ。この翡翠は君の瞳のように美しく輝くよ。それを今すぐ見たいぐらいだ」
 二人が見つめ合ってるところにレイナルドが口を挟みに来る。
「二人とも、工房を使うなら夜に来い。弟子達は帰ってるからな」
「申し出、ありがたくうける。さ。このドロドロの体をさっぱりしてから工房に行こう」
「あら。私もどろだらけになってるわ。ライがつけたのね」
「私じゃない。シルヴィーが自分でつけたんじゃないか」
「レディはそんな事をしないわ」
「この」
「きゃ」
 ふざけあいながら二人は宿屋へ向かう。その二人をそっと影から見ている黒い僧衣を着た人物がいた。二人が宿屋に消えるとすっとその人物も姿を消した。


あとがき
昨日はバッタリ寝てしまい朝、駅で更新中。この話も続き書き始めたいなぁと思います。次のシーンは決まってるんです。おっと電車きました。また後で〜。

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