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【千字掌編(改稿:再掲)】夏の星の晩餐(土曜日の夜には……。#15)

前話

 真子はいつもは忙しい仕事人間だ。反面、休日にはダラダラ過ごしてしまう。
 だが、今朝はなんだか心が浮き立っていた。
 真子は珍しく買い物に出かける。いつも食事はコンビニかお惣菜か宅配だった。
 だが、今日は珍しく料理を作ってみようと思ったのだ。
 スマホでレシピを決めるとリスト化して買い物に出かけた。
 スーパーには色とりどりな食材や花が売っていた。それをリスト化した商品を手にしては買い物かごに入れていく。必要最低限のものだけ買おうと思ったが、思いの外、荷物ができた。レジで支払って、休憩にカフェにはいる。そこは昔、恋人と立ち寄った思い出のカフェと入ってから思い出す。
 そして真子に声を掛けてきたのは紛れもなく若き日の恋人だった。思い出話に話が弾むだが、彼はすでに家庭を持っていた。その家族の話をする彼の目は優しかった。それに引き換え、自分は仕事ばかり。ルーティン化した行動ばかりを過ごしていたことに気づく。 そしてふと思う。
 
 その単調な人生に変化をもたらしてみたら? 
 
 彼と別れて外に出るともう夕方だった。
 夕陽が綺麗な色を見せている。それも心洗われる景色だった。いつも、終業時間にはもう陽は落ちていた。夜の帳の中、帰るのがいつもの事だった。改めて自分はいろいろな事を取りこぼしていたと気づく。
 
 そんな新たな気持ちで帰宅すると料理を始める。
 久しぶりの調理は難しかった。
 不格好な切れ目の食材だが、色は鮮やかで、目には新鮮に見えた。普通の倍以上かけて調理をする。
 終わった頃はいつもダラダラと過ごしていた時間帯と同じだった。だが、気持ちは違う。 晴れ晴れとしていた。。
 料理一つでこんなに自分が変わるんて。
 
 思った事もない事だった。
 真子は買っておいたノンアルの酒の缶を出す。翌日酒気帯びで、出勤するわけには行かない。冷やしておいたそれは夏の暑さで露が着いている。
 夏の季語に、夏の星、と言う言葉があったように思い出す。缶についた露はまるで星のように明かりの光を反射していた。
 そんな夏の星を片手に、久しぶりに作った会心の料理を食べ、贅沢な気分になる。
「まるで最後の晩餐、ね……」
 最後とは言ったものの、気分は新たな気づきで一杯だった。
 この食事は、さしずめ会心の晩餐だった。
 
 たまには作ってみるものね。
 
 思いながらスーパーの色とりどりな食材やお菓子を思い出す。
 
 また、来週、作ってみようかしら。
 
 これからの彼女の未来への展望は突然、明るくなった。
 歳時記の上では終わりそうな夏は、当分、終わりそうに無かった。

 
 あなたにも夏の星の晩餐を……。


あとがき
ふと、夕方にお風呂に入っていて思った事が、「晩餐って夜の食事って事じゃないの。夜って題名に入れる必要ないんじゃ……」と。そして以前は窓辺にて……。などもタイトルにしていたから土曜も抜いちゃえーと抜いて改稿していると「夏の星の晩餐」の記述が。これ題名にしよーと改稿、再掲に至りました。いろいろ心情とか入れ直して表現とか変えてます。直の気持ちいれてみたり。ただ、人物像の年齢を特定しなかったのはどうだろうか、というのはあります。でもここのところ40代が増えているし、という点があり、あえてご想像にお任せ、となりました。キャリアウーマン(古い言葉)ではありますが。ワーキングホリックとでもいいましょうかね。これも古い言葉なのです。時代に取り残されている書き手。最近の就職事情は知らないのです。と、まさにその夕食で席を外していました。ぎりぎり投稿出来そうだったのですが、画像も改めて探さないといけないし、多分、タグが無いと思ったので母上に呼び出される前に行って帰ってきました。今のうちに執筆しないと。あとでまた漢検もある。テキストが一冊まだ残っている。星彩はやったので、次は風響かと思ったのですが、あれ? もう載せたっけ? 今見たけれどまた書かないと……。ひえー。執筆地獄です。もう少しで90日となると欲がでましてね。100日連続してみたくて。88日だったかと。今日は。末広がりの縁起の良い日。でも出勤日が大雨。そしてメガネを取り行くのもできないかも。休日がまさに大雨のど真ん中。しくしく。と、あとがきはこの辺にて。ここまで読んで下さってありがとうございました。

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