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【連載小説】恋愛ファンタジー小説:星の誓い~星姫と魔術師の永遠の絆~ 第4話 星の聖石と哀しき星姫後編(あとがきもなし。疲れ切ったので翌日書き足します)

 イリスは星姫の役目に忠実だった。そのほかのことはどうでもいい、とでも思ってるように見えた。人としての幸せ一つ願ってはいけないような……。
 レヴィオスは切なくなる。この姫はいつになれば自分を星姫となくイリスとして自分を見られるのだろうか、と。
 そっと手を出して引き寄せる。イリスの髪の花の香りが鼻をくすぐる。イリスは突然抱きしめられて固まっていた。それが逆にかわいらしくてくすり、と笑ってしまう。
「姫は恋には疎いか。私もだ。だが、『星の聖石』を持つ者同士、運命をともにしよう。私は姫を気に入った。生き延びたら、なんて言ってくれるな。ともに生き残って共に生きよう。生を捨てることだけはするな。何があっても。星の聖石よりもイリスの命の方が大切だ」
「レヴィオス……」
 イリスの声は震えていた。
「私だって本当は怖い。一人で死にたくない。だけど、おじいちゃんがこの日が来るからってずっと話していた。あなたは、初めて話したときから大事だった。きっとおじいちゃんが言っていた聖石の対とはあなたのこと。だからこの一世一代の盗賊の相手に選んだのよ。だけど、今はそんな生ぬるいことを言っている暇はないの。だから、この恋はすべてが終わってから……」
 身を引こうとするイリスをレヴィオスが引き留める。
「恋もできない人間に世界は救えない。愛がない人間には資格はない。私も手探りだ。ただ、イリスが自刃してしまうのではないかと怖い。すべてが終わったら死んでしまうのでは……と。そのつもり、なのだろう?」
 レヴィオスには確信があった。イリスはふぅ、とため息をつく。
「あなたはとんでもなく賢いのね。相手に選ぶなんて失敗したわ。星の聖石を壊すなんてこれ以上ない罪よ。私はその罪の代わりに死ぬの。そしてその血で聖石に力をともすのよ。これだけは変わらない。あなたとは添い遂げられないわ」
 頑固なイリスに別の道を考え直させることは今はできなかった。その代わり、ずっとそばで温めていようとレヴィオスは思う。
「星の庭園に連れて行ってくれるのだろう? デートをしよう。我ながらこの口からデートなんぞ、言葉が出るのがおかしいが。イリスの心に暖かい風が吹き込むようにゆっくりしよう。この秘密はすべてが終わるまで明らかにはしない。だから……」
「レヴィオス……。私たち一目惚れ同士なのかしら?」
 イリスが不思議そうに見上げる。
「かもしれないな。爆発頭姫」
「そういうあなたも雨男魔術師でしょ。もういいわ。行きましょ。いつまでもこんなところにいたら誰かにみつかってしまうわ」
 レヴィオスの腕の中から抜け出るとイリスは歩き出す。やがて、二人は横並びに歩き、いつの間にか手をつないでいた。永遠の絆がそこにあった。固い絆が……。
 永久に語り継がれるカップルが今、誕生したのだった。
 

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