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【千字掌編】土曜のカフェに息を吹き返すような木枯が舞い込む……。(土曜の夜には……。#24)

 林樹希はカフェ・ノスタルジアを経営する四十代の女性だ。常連もそこそこいて、なかなか運営は上手く行っている。
 木枯しが吹き込んだ日の夜の営業で、樹希は意外な男性客に出逢った。
 林純一。
 同じ苗字の元恋人だ。この恋を最後に樹希は恋をやめ、このカフェ・ノスタルジアを開いた。
 同じように年を重ねて純一もいい大人になったようだった。あの時の傷が鈍く痛む、一方ほんの少しのトキメキを覚えた。彼の薬指には何もはまっていない。
 結婚しなかったのかしら? 
 樹希は思う。それを隠しながらオーダーを取りに行く。
「いらっしゃいませ。注文はおきまりですか?」
「あ、ああ……。ホットコーヒーを……」
 純一も信じられない、という具合に樹希を穴が開くほど見ていた。樹希は動揺を隠すようにオーダーを取って引っ込む。ホットコーヒーを入れながらため息をつく。お互いあの恋を忘れていなかったようだ。気を取り直してトレイにホットコーヒーを乗せて持っていく。
「お待たせしました。ホットコーヒーです」
 素知らぬ顔をしてカップを置く。そのまま引っ込もうとすると、声がかかった。
「あの!」
「はい?」
 しばらく沈黙が下りる。ほんの数秒が長く感じられる。
「樹希……さん、だよね?」
「え。ええ……。そうですけれど……」
 他人行儀な言葉しか出てこない。もどかしさを覚える。
「ここ。最後に会った場所だね?」
「ええ」
 少し、緊張がほどけて気楽に樹希は空気を手に入れた。
「ここで、だれを待っているの?」
 特にこのカフェを開くにあたって考えたこともなかった。だが、思い出の地にノスタルジアと感じる名前を付けたのも確かだった。
「待っているわけではないですけど……。思い出の場所……ですから」
「俺、まだ結婚したことないんだ。結婚前提にお付き合いできますか?」

 !

 樹希は叫びそうになった。慌てて口を押させる。
「私も未婚……です。お願いします」
 ようやくそれだけ言うと店の奥に駆け込む。心臓が口から飛び出そうだ。かつての恋人の申し出にいつの間にか受けている自分に驚きを隠せない。また捨てられるかもしれないのに。

 それでもいい、と思った。本当にこれで最後。

 樹希の最後の恋が木枯らしの舞い込む日に息を吹き返した日だった。


あとがき
また店が増えてしまった。カフェ・ノスタルジア。chatGPTさんが出した名前。かっこいいなぁと思って書き出したら40歳の純愛がでてきた。ほんとにこんなことあるの? とは自分でも思う。そして木枯はもちろん、冬の季語。木枯らし一号としたいところでしたが、季語マニアになりつつある今日この頃、しっかり木枯としか書かなかったのでした。KDPが制限かかり、ショック。この際訳ありとか誤字訂正しておこうかしら。でもそうして近哲を訂正し続けると今日みたいに制限を食らう。明日はおとなしく「影の騎士真珠の姫前編」のみにしておこう。明日もWBCがある~。野球が見れる~。今日は中継をぶったぎられ、ショックでした。そしたらコールド勝ち。見ない方がいいんかい? という状況です。そのあとは阪神の秋キャンプを見てました。そうして編集作業をやっとこさ終わって出したのに。ショック。ま。作品を一つは更新できてよかった。業務連絡だらけではね。後編を見直すのはいつにしよう。その前に一つの文書にまとめんと。これが手間かかる。コピペを15回。やだな~。でも見ながらならできるかも。あとの本の誤字訂正はどこかでして来よう。

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