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【連載小説】恋愛ファンタジー小説:最後の眠り姫(70)

前話

 コトン、と音がして私は床を見た。
「キアラ! それは……。指輪じゃないの?」
 最近、私とクルトの執務室のドアはキアラがすり抜けて入ってこれるように微妙に開けてある。そのうち猫の扉を作ろうという話にもなっている。そのキアラが落としたのは先日、神所で見た王と王妃の指輪だった。慌てて手に取ってハンカチでくるむ。クルトもキアラの近くに寄ってきていた。
「ドレスが出来上がったんだね? キアラ」
 にゃーん、とキアラが一声鳴く。そしてたっと駆け出していく。
「キアラ! 待って!!」
 後ろから声をかける私の肩にクルトが手を置く。
「行こう。猶予がない」
「そう。そうね……」
 東の魔の手が手ぐすね引いて待っているんだもの。急がなきゃ。走りかけた私の手をクルトはつかんで手を取る。
「急ぐけど、城の中まで急がないよ。バージンロードを歩くつもりでゆっくり歩こう」
「クルト」
 思いやりに満ちたクルトの言葉が胸にしみる。
「はい。王妃の指輪」
 すっとクルトは私の婚約指輪がはまっている左手に指輪を通す。そして自分で自分の指輪をはめると手をつなぐ。
「行こう。その時が来たんだよ」
 考えてもわからなかった婚礼の儀式。これで何が変わるのかしら。
「何も変わらないよ。ただ、俺の奥さんになるだけ。さ」
 クルトの手に誘われるようにして私は歩く。いつもの散歩かと思っている使用人たちはにこやかに見送ってくれる。これが、大きな壁を乗り越える散歩と知らず……。

「お母様! お父様!」
 神所に行くと王家の面々が待っていた。でも見知らぬ顔の人はいない。みんな、よく見知った、信頼できる人たちばかりだった。その中で一番、うれしい顔を発見した。思わず近寄って手を取る。
「フリーデ。きれいよ」
 フリーデは貴婦人の装いをしていた。また、ヴィルヘルムが手を回したのだろう。フリーデは実家とは縁が切れていると言っていた。ヴィルヘルムに嫁ぐと決めて完全に王城に住まいを構えていた。これも私がねだってしてもらったことだ。姉として慕っているのにフリーデは王城に部屋をもらいながらも仕事をしていた。働く女性ね。
「エミーリエ様。ドレスが出来上がっております。こちらへ」
 フリーデが先導しかけてドレスの裾を私が踏んでしまった。つんのめるフリーデをヴィルヘルムが支える。ただ、背は小さいまま。
「姉上。フリーデのドレスを踏まないでください。せっかくのドレスなんですから」
「ごめんなさい。フリーデもここでいいわ。私一人で行ってくるから」
 私が一人で神所の控室へ行こうとするとお母様が手を取った。そしてカロリーネお姉様が扉を開く。
「乙女のお着替えは私たちに任せて」
 お人形ごっこの延長でもいうようにカロリーネお姉様が言う。私は少々頭が痛い思いをしながらもお母様の手にひかれてドレスを纏うためにクルトと別れた。


あとがき
記念すべき70話目です。ですが、その話数では別に驚きもない。その倍近くの訳ありの150話があるので。さっき、何気に自分の投稿のあとがきみたら更新しますって書いてて、うわ。してねー。とあわてて浮上。まだとびっきりが書ききれてないんです。難産です。その間に何回もルルアのアトリエダウンロードしてパワプロはデーターが壊れてまたダウンロードしないといけないし、ワーネバも更新がある。いつになったらどうぶつの森できるのー!! と叫んでます。コーエーのセールには迷う。でも新しいスイッチライトも欲しいぞ。でもダウンロード一からか。まだ、ダウンロード数は少ないので今のうち。クリスマスセールしてるかしら? 明日極寒で財布をアマゾンで買ったのにさらに、スイッチとは…。我ながら無駄遣いだ。でもなんだか今のスイッチ壊れてる気が…。なにかと読み込み悪かったり。いつまでたってもゲームが始まらない状態になったり。ダウンロードは危険だ。バッテリーもよくなくなるし。眠り姫は今のところ83話まであるので、先にとびっきりに取り掛かります。星降りは明日更新。土曜日シリーズは未定ということで。初霜を朝霜に変えてるかもしれません。加筆修正するつもりです。それはそれで載せます。のでなんらかの作品はでます。フォローなどしていただける創作アカのかた急募です。スキいれてくれるだけで泣いて喜びます。ほんと。閑古鳥鳴いてるので。

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