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【千字掌編】十六夜の君と……。(土曜日の夜には……。#18)

 亜希子は歳時記をパラパラ見ていた。「月」と言えば「秋」。そこまでは覚えている。だが、「宵待」を覚えていて「よいまち」と言うと思っていれば「ふけまち」と読むらしい。この時期の月の入りは大変遅くて、ひたすら待つと言う所から来ているらしい。パソコンで「よいまち」と打つと「宵待草」とでる。これと混同していたと亜希子はわかった。
 この月の読み方も好きだが、「ふけまち」となると少し感じが違う。で、また歳時記をめくっていた。
 昔、満月の元で告白された。だが、彼とは幾分もしないうちに別れた。今なら彼の良いところがわかるのに。
 だけど。また一緒になればまた見えなくなるのかもしれない。中秋の名月様に不埒な、と怒られたのかもしれない。あの時も秋、だった。
 
「月の神様は怖いわね」

 そう呟いて歳時記を閉じて机に置く。なんだかセンチメンタルな少女になった気がして、嫌になったのだ。自分はそんな少女とはかけ離れたいわゆる「おばはん」。孫がいてもおかしくない年齢だ。だが、亜希子は一人きりだった。田舎に帰れば親はいる。だが、結婚とうるさくてしばらく帰っていない。
 そんな亜希子のワンルームマンションの窓にカツン、カツンと何かがぶつかる音がする。窓の方からだ。怪奇現象にはとことん弱い亜希子は何の時に買ったのかわからない木刀を出して窓へ近づいた。窓の外にはまさかの秋に告白されて、秋のうちに別れた孝太郎がいた。出てこいと手振り身振りで言う。
 
「はぁ? 何で今更あんたによばなきゃいけないのよ」

 口の動きでわかったのか、ひたすら謝る仕草をする。
 
「しょうがないわね」

 ここ数年、孝太郎とは会わなかった。今更、ストーカーでもないだろう。そう思って降りていくと、いきなり壁の外に隠れる。
 
 な、なに? なんかするの?」
 
 男女二人きりで起こることは痴情のもつれとか言うやつではないか?
「違う。俺じゃない。あっち」
 孝太郎が指さした方は本当に若い男がいた。
「え?」
 見も知らぬ男だ。
「数日前、亜希子を見かけたらあの男がそろり、と後をつけていたんだ。片手にスマホ持って。ガンガン盗撮してた。俺、今、巡査。」あ。おまわりさんね。をしてたらあんな危ないヤツ見つけてちゃって。被害届けだす? 俺なら受理して捜査してもらえる」
「別にほっとけば良いんじゃないの?」
 孝太郎は首を激しく振る。
「最近のストーカーは怖いんだ。とにかく俺が警護してやるから」
「いらないわよ! 元彼のおまわりなんて」
「あ。お前が声出すから逃げたじゃないか。と。防犯カメラ見に行くぞ」
 孝太郎が手を引いて歩き出す。亜希子の心臓はバクバクしている。
 
 聞こえませんように……。
 
 そっと祈る。警察官になった彼はとても頼もしい男になっていた。
「まるで十六夜の君ね。朧月の君だったかしら?」
 源氏物語を思い出しながらそう口に出す。
「どっちでもいいよ。この際。よりもどさない? 男ばかりの社会で潤いに欠けてるんだ」
 
 ゴン。
 
 思いっきり孝太郎の頭を殴る。
「今は女性警察官だっているのよ。セクハラ!」

 また一つゴン!
 
「わかってるよ。だけど彼氏いた方が向こうは諦めるかもよ?」

 うっ。それは言えてる。
 
「月の神様は怒ってないかしら?」
「何。その月の神様って」
「鈍いわね」
 
 ゴン。
 
 そんなやとりから始まった恋は後の月で別れることなく、物語を紡いでいく。朧月の君は一時の出会いだったが、亜希子と孝太郎には鮮やかな景色が広がっていた。
 十六夜の神様は情状酌量の温情をかけてくれたらしい。
 
 中秋の名月の満月よりは少々欠けた十六夜。そんな不完全な状態がいいのかもしれない。亜希子は未来を見ていた。


最後の方はこえーよーと言いながら書いてました。まさか月からこんな話になるとは。よいまちと探してもなくて、パソコンで打つと植物の名前がぽんと、。これ一部事実です。私も「よいまち」で覚えていてないないと見ていたところパソコンで出たので、これか、勘違いの元は、となりました。

今回ChatGPT4.0さんにに聞いてもいません。2023年の十六夜の月の入りと月の出がわからず聞いたら2021の事までしかわかりません、と言われ天文アプリなどで探されてはということで検索をかけて、最後はスマホアプリでチェックしてそれで書きました。今は流星群も見られるそうです。でも天気悪いー。秋の月は段々遅くなるので、中秋の名月の頃はどれぐらいだろうか、とか調べていたら、十六夜の月がまさしく九月の三十日土曜日でした。まるでヒットが出たぐらいに面白い現象でした。
と。しばらく換券してなかったので残り時間してます。

今日はこれと星彩の二つぐらいですかね。明日はどうしよう??
最近五時半に起きてるのですが、今朝はなんだかんだと一時間うだうだして結局いつもと同じでした。もっとしっかりせねば。

それでは、ここまで読んで下さってありがとうございました。

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