【連載小説+エッセイの勉強+論文草稿、2.2危険性を含むES細胞】恋愛ファンタジー小説:気づいたら自分の小説の中で訳あり姫君になっていました(75)+「いただく、ということ」+「2.2危険性を含むES細胞」
前話
「さて。落ち着いたところで仕事をしてしまおう。ゼルマは聖獣と遊んでおいで」
「って。私もティアラの……」
「仕事のし過ぎはダメ」
「ウルガーも……」
「俺はいーの」
そこへトビアスが飛び込んできた。どこでここを覚えたのかしら?
「あねうえー」
ウルガーでなく、私にぴとっと足元に抱きついてウルガーは顔が引きつってる。ヤバい。
「トビアス。お母様のところにいきましょう」
慌てて言って東屋を出ようとする。
「おかあさま。あかちゃんうまれるっていってた」
えー!!
ウルガーと顔を見合わせる。
「おかあさま。あねうえみたいにげんきないの。どーして?」
「ああ。つわりね。スティーナ抱えては辛いわね。また新米ママの出番ね。さ。トビアスいきましょう!」
「うん。行ってらっしゃい。母上の所で智慧をもらうといいよ」
「そうね。大お母様のところにもよりましょう。ふわもこちゃんも行くわよ」
言うとふわもこちゃんがトビアスの襟の後ろを咥えるともう一匹の上に乗せる。トビアスははしゃぐ。ウルガーはのほほんとした表情。
「ウルガー?」
「行っといで。俺の鉄砲ゼルマ姫」
あら、全快のお墨付きもらってしまったわ。一時的なことだと思うけど、今の私は元気いっぱい。ウルガーにもわかったのだろう。やりがいに満ちてるもの。私って子育てに向いてるの?
はて、とまた悩みかけて頭を振る。
「行きましょう」
走り出した途端、浮遊感が漂った。目の前にはお母様の部屋の扉。いきなり移動したことになる。どういうこと?
「え? 今のふわもこちゃんがやったの?」
わん、と一声。
「ゼルマですか?」
愛犬ヘレーネと間違えてお母様が扉をあける。
「まぁ。トビアス! 聖獣にのせてもらっているの?」
お母様はびっくり仰天している。
「お母様。マチルダ様がご懐妊です。スティーナとトビアス抱えてのつわりは大変ですわ。何かお知恵はありませんか?」
「まぁ。マチルダが? 幸せなのね。最近、顔色が悪いと思えば妊娠でしたか。ゼルマは朝とは全く違う表情ね」
「この子たちから心の糧というものをもらったのです。どうも、物語師の不思議なもので今、元気いっぱいです。たぶん、また効果が切れると思いますけれど」
ふわもこちゃんを示して説明する。
「そう。大神官様もなにか持ってきたようね。そうね、立ち話もいけないわ。部屋で話しましょう。トビアス、お菓子がありますよ。いらっしゃい」
「あい。うんしょ」
ふわもこちゃんから降りるとお母様の後をついていく。うーん。トビアスは可愛い子ね。ってそこでウルガーに瓜二つなのを思い出す。私、とことん、ウルガーが好きなのね。
ふぅ、とため息をつく。
「ゼルマ?」
「はぁーい。今、参ります」
ルンルン気分でお母様の部屋に入っていく。
「何をため息をつくのです。元気いっぱいと言って」
「それは、トビアスがウルガーに瓜二つなのに気づいて、とことん、ウルガーが好きなのを自覚してため息が出たのです」
「ベタぼれ、ですからね」
「おおおかあさま。べたぼれって?」
「いずれわかります。その言葉はもっと大きくなってからですよ」
トビアスとお母様のやり取りがほのぼのしていてほっとする。ふっと、ある言葉が頭に浮かんだ。
「託児所だわ!」
「託児所?」
「子供やあかちゃんを忙しいときに一時的に預かる施設です。華の宮一つをそれにすれば、みんなこまらないわ」
「誰が世話をするのです?」
「経験者や子育てに長けた方をよんで交互で面倒を見るのです。幸い、育児に携わったお姉様方が大量ですわ。皆様の協力を仰ぎましょう」
「それで、ゼルマは春祭りの計画は?」
「あ」
そこで動きが止まる。てっきり託児所に入り浸るところだった。
「あねうえ、いないの?」
トビアスが寂しそうに言う。
「いるわよ。仕事なんてどこででもできるもの」
安心させるように言おうとするとお母様が止める。
「ゼルマはこれから王太子妃になるのです。法律や政治にも加わっていくはず。カシワの宮でダーウィットたちと春祭りを進めなさい。あなたがいることで新たな視点が見つかるとダーウィットがほめてましたよ」
「それじゃぁ、私は弟たちと会えないのですか?」
「仕事の合間にお行きなさい。休憩は必要ですからね。それにトビアスも春祭りの花を配るのでしょう? トビアスもカシワの宮に連れてお行きなさい」
「って。トビアスはまだ三歳すぎたばかりですよ? そんな早くから政治を見ても……」
「ウルガーはもうその頃陛下の膝の上で執務の書類をみてましたよ。トビアスも政治になれてもいい頃合いですよ」
のほほんとウルガーそっくりにお母様が言う。三歳で政治……。私、相当経験積まなきゃ。
「あなたは焦らなくてもいいのです。国母となるのが一番の使命ですからね。ティアラのカタログを見にお戻りなさい。トビアスと一緒にマチルダのところへ私が行ってきます」
急に光がしぼんだ気がした。でも、お母様の言う通り。私は私の仕事が待っている。任せるのが一番。
「ふわもこちゃんはトビアスに貸してあげる。危ない真似はしちゃだめよ。では、お母様、仕事に戻ります」
「ゼルマ、そんなにがっかりしなくとも子供たちにはいつでも会えますよ。それが託児所なのでしょう?」
「はい」
そうだった。一生会えないわけじゃないんだから。そう思うと少し元気が出た。でも、早く結婚して子をもうけたほうがいいのかしら。
「その前にレテ姫、でしょう」
「あ。はい」
顔に出ていたのか。恥ずかしながら、と後頭部をポリポリかく。
私には山ほどするべきことがある。全部はできない。一つ一つこなそう。気持ちを引き締めた顔でお母様を見る。お母様はすっと抱きしめて頬にキスしてくれる。
「可愛い子。ウルガーよりよほど優秀ですよ。さぁ。お戻りなさい。無理だけはしてはいけませんよ。託児所はアーダ達も巻き込みますから安心していなさい」
「はい。じゃ、トビアス、お母様のところへ行って大丈夫? って言ってあげなさいね。姉上は仕事に戻るから」
「あねうえはもうげんきなの?」
私はにっこり笑ってトビアスの頭をなでる。
「トビアスに会えて姉上はとっても元気になったわ。可愛い私の弟だもの。ありがとう」
「あい」
そうして私はふわもこちゃんを置いて東屋に戻ったのだった。
【エッセイの勉強】「あまたある仕事からまたひとつしてます。」
今日は簡単にES細胞の作り方を読んでいました。大体のところは把握しましたが、細かい点はまだ不十分です。でも実際の研究者の方ってみんな同じなのね。自分が実験する動物にリスペクトしている。外から見たらゴミのように扱ってるように見えても実際は、これが必要な手続きでこの子達に情けをかけるのは失礼だ。と思われているみたい。それで自分たちの生活を助けている礼を忘れてはいけないな、と思います。「いただく」命。ペットではなくあくまでも生活の中で「いただく」。この言葉、ゼルマが「いただきます」と号令をかけてから食事が始まることと似てるな、とふと思いました。
ただの日本の伝統だけど、使ってる言葉がこんなところでリンクするとは。無意識って不思議。どこでつながっているかわからない。いろいろやることあるなぁ、というところで簡単にES細胞の作成の仕方をまとめたので下の論文草稿に目を通してください。たいした文量ではありません。もっと細かく書くことができるかもしれません。最小限の事しか書いてないので。それでは独学で書いている論文へどうぞ。興味ない方は小説のみお読みください。
【不可逆的幹細胞iPSは宗教と対話できるのか(草稿)】
2.2 危険性を含むES細胞
ES細胞の作る対象の多くはマウスである。メスのマウスに注射を打って卵子を大量に排卵するように仕向け、交配する。そして、その受精卵を取り出す。
交配から三日後、胚が胚盤胞まで進めて取り出す。「胚盤胞はボール状で、外側は将来胎盤を作る栄養外肺葉と呼ばれるという細胞層が取り囲み、内側には将来、胎児をつくる内部細胞塊があります。胚盤胞を」保護するカプセルとして、透明帯と呼ばれる膜がとり巻いている。」
その透明帯を取り除くかそのままで培養する。培養するときには、よくフィーダ細胞というものを培養地に用意してなど特別な手法をとって細胞を増殖させる。さらにアミノ酸が必要だったりと特別に手間がかかる。。また継代などの手間をへてES細胞は作られる。主にマウスのみにES細胞の対象はあるが、サルやヒトでもさらに特別な手法をさらに加えて作り出すことが樹立されている。。マウスが一番作りやすいが、サルのES細胞の樹立、ヒト胚での樹立を経て、ヒトES細胞を作り出している本の筆者は、作り方の記述の最後にこう、書いている。
「ヒト胚をこわして作られるES細胞は、まさに大切に扱われなければならないヒト胚でこそ、最大限公共の福祉に貢献するように分配され使用されるべきです。」これはドリーを作り出した技術を家畜に応用することはヒトの傲慢ではないかとある農林水産省の研究している方に問いかけたとき、「家畜は家畜として扱わないのは家畜に失礼だ。」とペット扱いでなく「頂く」家畜というリスペクトをなさっていた。それと同じ事をこの引用、説明に読んだ本「ヒトES細胞なぜ万能か」、著中辻憲夫氏は思われている。しかし、性善説の通り信じ切って安心しているのは倫理的問題は存在しないのか? 誰かが悪用することは考えられないのか? 命の誕生をどう考えているのだろう。カトリックでは受精の瞬間からヒトとして扱っている。宗教の一思考ですから、と一蹴するのはどうなのだろか。実際、倫理学会で発表した方は宗教の事は1ミリも考える必要はないと一蹴した。このような考え方をする方は現場の研究者の方に多かったと思われる。
だが、次に述べるiPS細胞はその危険性を取り除いた画期的な方法だった。
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