第百六十一回 Gt 虎|MOVIE TORAVIA「トップガン マーヴェリック」を考察

2022年最大の洋楽ヒット映画「トップガン マーヴェリック」。

「トップガン マーヴェリック」(2022)

なんでこれほどまでヒットを飛ばし続けているのかが分からなくて、観てみたんですよ。
観たら、トム・クルーズの映画でしかなかったです(微笑)。
前作に出てた俳優も意外と出て来るんですけど、みんなおじいちゃんなんですね、見た目が。
それに比べるとトム・クルーズ老けなさすぎだろうって思っちゃいましたね。
「若っ!」と思っちゃいました。
あと、トム・クルーズは、サングラス(レイバン)にバイク(カワサキ ニンジャ)で登場しなきゃいけないのかなって。
トム・クルーズのどの映画を観てもそういうシーンが出てくるから。
「俺はこんなにもカッコよくバイクに乗れるんだよ」ってことを言いたいんですかね、トム・クルーズは(笑)。
まあでも、映画としても面白かったですよ。
軍系のものはやっぱりアメリカ映画は優れてるなというイメージがありますね。
いつどんな作品を観ても、軍も最大限協力してくれて、国をかけて作ってる感じがしますよね。
俺は飛行機自体そんなに興味がある訳ではないんですけど。
ただ、この映画の撮影をやってる頃だと思うんですが、米軍は飛行機を入れ替えたっぽいんですよ、第5世代に。
第5世代のものは、もはやドッグファイトをやる機能が備わっていないんですね。
だけど映画を観ると、飛行機は古い機体を使ってるんですよ。
2022年に公開になった映画としては、そこは史実と辻褄があってないんですね。
そもそも最新の戦闘機は二人乗りではないんですよ。
だけど二人乗りの飛行機じゃないと映画のストーリーの辻褄が合わなくなって崩れてしまう。
だから少し古い機体を使って戦闘シーンは撮ったみたいなんですよね。
「戦闘機を入れ替えた」という情報を知らなければ、映画の最初は最新型の飛行機に乗っていて、最後は旧式の古い戦闘機に乗って帰ってくる、という感じなんですけど。
そもそも最初のものが最新じゃなくて旧式だったんかい、と(笑)。
だからこの「トップガン マーヴェリック」は、ちょうど軍の入れ替えシーズンにクランクインしちゃったというところは、すごくタイミングが悪かった気がします。
しかも当初の予定よりも撮影が延びちゃったらしいんですね。
だから本来なら2019年公開予定だったスケジュールも延びちゃったっぽいんですよ。
公開も延期されて、しかも映画の中で使われてるのは古い飛行機でドッグファイトまでやってるよってところは、周りから色々言われたらしいですけどね。
今の戦闘機って、映画のように敵の基地に近づいて行ったりしないらしいですよ。
まずは無人のドローンを飛ばして行かせる、みたいなシステムらしいんです。
その後から戦闘機を飛ばす流れらしいんですね。
だから、戦闘機なんだけど戦闘機として作られてないっぽいですよ、今の飛行機は。
ちょっと前と今では、戦闘機の役割、システムが全然違うみたいです。
それでも以前はこういう風に戦闘機に乗って戦ってた人たちもいたんだぞ、というのを描きたかったんだろうなと思いつつ。
でもストーリーの最初の方で「もう時代じゃないよ」「お前のいる場所はない」的なことを主人公のマーヴェリックが周りから言われるシーンがあるんですけど。
俺は現実と辻褄を合わせるために、あそこをあえて後付けで入れたんじゃないかなとまで考えちゃったんですけど。
でも、リアル「トップガン」世代の人達は、そこの解釈は違うでしょうね。

「トップガン」(1986)

それこそ、このマーヴェリックのセリフに今の自分達を重ねて、という目線で観るから、感情移入できてグッときちゃうのかもしれないですよね。
だから観る世代によってここの解釈は違うと思います。
俺はリアル「トップガン」世代じゃないから、どうしてもタレントもののアクション映画みたいなジャンルの視点で観ちゃうんですよ。
トム・クルーズって死なないじゃないですか。
それを含めて、めっちゃエンタテインメントな映画だなと思って観ちゃいましたね。
でもね、すごく楽しかったんですよ。
男としては乗り物とか銃が出てくる映画ってやっぱりワクワクしちゃうので、単純に男心をくすぐられました。
この映画は迫力もすごいし。
しかもこれがほぼCGじゃないってところがいいなと思います。
戦闘機に乗ってるところとか、実際に本人たちが乗ってるんですからね、あれ。
トム・クルーズだけじゃなくて他の俳優たちも。
ハリウッド映画では映画のために何か月もかけて訓練するというのはよく聞きますけど、これなんて、訓練を積まないと普通の人はあんな重力、耐えられないですよ。
だからそういうところはマジですごいと思います。
強く見せるとかじゃなくて、マジで強くなる系ですから、やり方が。
グリーンバックの映画撮影に文句を言う俳優がすごくいるというのも分かりますよね、こういう映画を観ちゃうと。
俳優達が映画にかける情熱が高すぎるんですよ。
自分がそのキャラターになってしまうがの如く、肉体を準備して、メンタルも鍛えて撮影に挑むんですから、この映画のように。
そういうことを望んでいる俳優達にとってみたら、そりゃあつまんないでしょうね、グリーンバックでの撮影は。
だって作業ですもんあんなの。
トム・クルーズって、現場では撮影チームがちょっとでもやる気がないと怒鳴り散らかす感じのタイプらしいですね。
メイキングを探すとそういう映像をよく見かけるので。
現場では厳しくて、かなり言う人みたいなんですね。
だから今作も俳優さん達は「マジか」「そこまでやるの?」って感じだったと思うんですよ、現場では。
俳優さん達にとってみれば「死ぬ気で“トップガン マーヴェリック”出るか」という覚悟で出演を決めたと思いますよ。
だって、ヘタしたら事故で死ぬこともありますから、こういう映画は。
今時の若者にはツラい現場だったんじゃないですかね。
「正直ここはグリーンバックでいいんじゃないの?」と思う若い俳優もいたでしょうから。
「これ、リアルでやる必要あります?」って、絶対あると思うんです。
だけどリアルであることは伝わる人には伝わるんですよ。
俺はたくさん映画を観ていて、CGの映画も好きですけど、CGじゃなくてお金をかけてリアルな撮影にこだわった映画はマジですごいなという風にちゃんと感動しますから。
これはちょっと玄人目線かもしれないですけどね。
音楽も一緒なんですよ。結局自己満ですよね、この辺は。
トップガンシリーズは世界的にものすごいファンがいる作品だと思うんですけど、その中で、「CGを使ってないから」という理由で喜ぶのは少数派だと思うんです。
「CG使わないでやってます」と言われても「あ~、すごいね」ってそれぐらいの感覚だと思うんですよ、普通の人は。
「全部トム本人がスタント無しでやってます」と言われても「うわ、それやばくない?」ぐらいで終わると思うんです、普通の人は。
それが、俺はめちゃくちゃすごいなと思う訳で。
モノを創る側の人間としては見習うべき点ではあるのかなと思っちゃいますね。
毎回こういうこだわりを持ってる人が作ったものを観ると。しかもそれが監督ではなくて俳優側、トムが持ってるこだわりですから。
監督が望むならまだしも、演者が自らそれを望むというのはめちゃくちゃ凄いことで。
彼はいつまでも刺激を求めてる人なんでしょうね。
あと、映画が今でも本当にすごく好きなんでしょうね。
ただやっぱり俺が許せないのは、俳優として観ると、トムはいろんな役をやって、いろんなことがこなせる俳優ではないですから。
自分で選んでるのかもしれないですけど、演じるのは全部カッコいい役ばかりじゃないですか。
俳優としてそれはアリなのかな、と思ってしまいますね。
もちろんここまでのこだわりをもって作品を作ってるんだから、いい俳優なんですよ。
でも、シュワちゃんとかと同じ系統なんですよね、やり方が。
できることは一つだから、それを命懸けですべてやる、そういうタイプなのかな。
あとは、「エンタテインメント映画である」っていうところにもトムはこだわってますよね。
死なないっていうことは、そういうことなんだろうなと俺は思います。
この映画も、後半のところで死んでみんな悲しい気持ちになって終わるというのも俺はアリかなと思ってたんですけど、ちゃんと生きて帰還しましたからね。
CGとリアルの撮影の境目って分かります?
CGを使うと、背景に馴染ませるためにフィルターをかけて画面がどんどん暗くなったりするんですが、リアルなものは無駄に暗くないんですよ。
CGを明るい方に合わせていくのって、すごく大変で難しいんですよ。
デイタイムだと日の光を意識して影とか映り込みを考えながら制作しなきゃいけないから、すっごい大変なんですよ。
ただ今回みたいな飛行機の場合は、周りにあるのは空だけで、遮る障害物が何も無い訳だから、CGでも比較的やりやすいと思うんです。
けど、それをあえてリアルでやるというところに俺は“男気”を感じるんですよね。
撮影では、飛行機の訓練のところとかはVFXも使ってるっぽいですね。
コックピットシーンとかは自分たちで撮れるんですけど、空を俯瞰で見た時のシーンとか、うまく撮れないじゃないですか。
そういうところで使ってるんでしょうね。
さすがにね、1億円ぐらいするカメラを飛行機にくっつけて飛ばせないじゃないですか(笑)。
「IMAXカメラ」という世界に数台しかない最強のカメラがあるんですけど、そのフィルム代だけで映画1本撮るのに1億円ぐらいかかるというもので。
これで撮影すると、画面のサイズが正方形に近い形になって、映像の画質、鮮明さも格段に上がるんですよ。
この映画では、コックピット内のいらない機材を外して、IMAXカメラをそこに埋め込んで撮影したみたいですね。
だから「トップガン マーヴェリック」もIMAXシアターで観たら、すごい没入感で楽しめる作品なんだと思います。
僕はバンドでアジアツアー、中国とかをまわってる時だったかな?
飛行機に乗ってて、鑑賞できる映画のリストの中に一つだけ古い映画があって、それが「トップガン」だったんですね。
なんで古い映画が入ってるんだろうと思って観たら、すぐにリストに入れてあった意味が分かったんです。
俺は飛行機があんま好きじゃないんですよ。
あの揺れとかが苦手なんですけど、「トップガン」を観ることによって、アトラクション感が出てきて。
飛行機がめっちゃ揺れてても映像が飛行シーンとかだとアトラクション感覚で逆に面白いんですよ!
「これはいい」と思いましたね。
飛行機の中で観る「トップガン」も没入感、ハンパ無いんで。
マジで面白いからぜひ試してほしいです。
トップガンシリーズはもう今作で終わりじゃないですかね。
時代的に戦闘機乗りの意味が変わってきてしまったというのもあるし。
だから、ちょうどギリギリのところでこのシリーズを締め括れた感じじゃないですかね。
2023年、トム・クルーズ自身は「ミッション:インポッシブル」の続編「ミッション:インポッシブル/デッドレコニングPART ONE」の公開があるみたいですし。

「ミッション:インポッシブル」(1996)

観ました?トム・クルーズ史上、最も危険なこの映画の告知動画。
俺は観てるだけで鳥肌立ちました。マジすごいんで。もうおかしいんですよ(笑)。
なんだかんだで毎回観てますからね、このシリーズは。
安心感はありますよね。どうせおもろいやろう、っていう。
公開前にまずは「トップガン マーヴェリック」を観て。
「トップガン」を先に観ておかないと、息子とのストーリーとか分からないですから。
観てない人はこっちを先に観てから、「トップガン マーヴェリック」を観てください。
俺としては「トップガン」とかあまり古い映画はオススメしたくないんですよ、画質の問題があるから。
リマスター版とか出してくれればいいんですけど。
今一番綺麗なのはテレビのリマスター版なんですよ。
例えば、この間もテレビで最新リマスター版「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズを三週連続で放送したのを観たんですけど。

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