第百七十四回 Gt ヒロト|『月間少年HRT』vol.18


<特集>
実録ドキュメンタリー
「手術と入院生活を経て、今僕が思うこと」

特別付録
HIROTO Guitar Channel
『「Graced The Beautiful Story」ヒロトアングルMOVIEダイジェストVer.2.0』

TOUR LAST DANCE ACT.2「Graced The Beautiful Story」を無事に終え、あとはFINALを残すのみ、というタイミングだった2022年12月9日。医者から「急性虫垂炎」と診断され、手術と術後ケアのために入院生活を余儀なくされ、12月10日に行われた植木建象生誕祭イベント「VIVA LA KNZ-KENZO BIRTHDAY PARTY’22-」への出演を急遽辞退したヒロト。今回は、退院直後のヒロトに話を聞いた。


ーーもう体調は大丈夫なんですか?

まだ激しく動いたり衝撃を受けると痛いですね。

ーーツアーの後、建象さんのイベントリハーサルにも元気に出席なさっていたそうですが、その直後に症状に襲われて、救急車で搬送されたんですか?

ヒロト:そうですね。でも実はツアー中から症状が出てたんですよ。今回のツアーは名古屋、大阪公演までに少し日程が空いたスケジュールだったんですけど、その間ずっと寝込んでたんです。

ーーそうなんですか!?

ヒロト:あまりにもお腹が痛すぎて吐いてたんですよ。ちょっと発熱もしてたんですね。38℃ぐらい出てたから、周りはコロナじゃないかと心配してたんですけど、咳も出ないし喉の痛みも無いから、「これは違うな」と思って一応検査もして。胃腸炎を疑ってたんですよ。胃腸炎も熱が出るから。

ーー吐き気がして嘔吐もしますしね。

ヒロト:その頃って立て続けに外食をしていた時期だったんですね。しかもツアー中だから体も疲れていてという状況だったし。ツアー中も、郡山終わりだったかな? そのとき僕は一人郡山に残って、郡山HIPSHOTのオーナーさんやスタッフさん達と朝まで色々お話してて。次の公演までに日も空いてたんで。郡山って、ライブが終わった後でもその日にこっちに戻れちゃうから、いつも帰ってきちゃうんですね。だから、前乗りで入ったときぐらいしかゆっくり地方のスタッフさんと話をするチャンスはないんです。なので、その日はライブが終わったあと、いろいろ話をしてたら、気づいたら朝になっちゃってて(笑)。

その頃って不摂生が続いていた時期だったんですね。しかもツアー中だから身体も疲れていて。

ーー少し前から不健康な生活が。

ヒロト:続いてたんです(苦笑)。でも、そもそもは一年前のツアー(TOUR 2021 the Forbidden Medley」)の大阪公演の当日、虫垂炎で倒れてるんですね。

ーーヒロトさんが?

ヒロト:ええ。当日メイクが終わった後にお腹が激しく痛み出して。「これはヤバい痛みだ」と思って、マネージャーに頼んで病院に連れて行ってもらったんです。その時は痛み止めの点滴を4時間ぐらい打ってたからリハーサルに出られなくて。途中で気絶して、目が覚めたら本番の1時間前だったんですけど痛みが引いていたので、当日はライブをやれたんですよ。それで東京に戻ってきて、その後12月24日にTOUR FINALが東京であったんですけど。その間に、大阪で診てもらった病院から電話がかかってきて。「検査をしてみた結果、虫垂炎です」と言われまして。だけど、その時お腹の痛みは治まったままだったんですね。それを伝えたら病院の先生は「治ってるんですか」と。それで「最新の研究データでは、虫垂は臓器として取らない方がいいんじゃないかと言われ始めてるから、そのリスクも考えて今は様子を見るという方法もあります」と言われたので、「じゃあ様子を見ます」と僕はお伝えしたんです。

ーーその時すぐに手術をするのではなくて。

ヒロト:ええ。事実、その後も痛みは無かったんですよ。無かったんだけど、今思い返すと、去年の3月のTOUR中にあった腰の痛みも、虫垂炎が原因の一つだったんじゃないかなと思うんです。その時も微妙にお腹に張りがあって、腰が引ける感じになってたんですよ。「またいつもの腰痛だ」と思ってたんですけど、今思い返すと虫垂炎の炎症が出てて。その痛みで腰に変に筋肉が引っ張られて痛みが出てたんじゃないかなとも思うんですよね。

ーーなるほど。

ヒロト:10代の頃から腰痛持ちだから自分でも分からなくて。その時を入れると、虫垂炎の痛みを2回耐えちゃってたんですよね。

ーー一昨年の大阪と昨年の3月と。

ヒロト:そう。それが今回は爆発しちゃった感じです。救急車で病院に搬送されて。それでも、なんとかならないかと思って一度粘ったんです。イベントの前日、10時頃だったかな。救急搬送されて気を失って目が覚めたて回診が来た時に「明日ライブがあるんで、痛み止めでなんとかできないですか?」と相談したんですけど、担当医に「いや、これは年貢の納め時だよ」と言われまして(笑)。「これで何かあって破裂しちゃったら、腹膜炎とか敗血症とか併発しちゃうと本当に君死んじゃうよ」って。

ーー症状はかなり深刻な状態だったということですか?

ヒロト:実際に手術でお腹を開けたらそこまでではなかったんだけど、炎症はわりと酷いところまでいってたみたいですね。でも「よりによってこのタイミングで手術か」と思って。

ーーイベント、バンドとしてのTOUR FINAL、それを終えてから年末は武道館でのイベント出演が控えていますからね。

ヒロト:そう。これは、建象やこのイベントに出てたみんな、当日楽しみに来てくれたファンの人達には本当に申し訳ないんですけど。でも、TOUR FINALの一週間前でまだよかったのかなぁという気持ちもありました。

ーーそうして手術を受けることを決断して、術後は順調に回復しているんですか?

ヒロト:ええ。ただ「激しい運動、筋トレはまだ控えてくださいね」とは言われてます。TOUR FINALは手術から2週間後ぐらいなので、傷が開くってことはあまり無いそうなんですけど。でも内側は切って、それを縫って縛ってる状態らしくて。それが激しく動いてしまうと変にズレる可能性があるらしくて。そこが何かの神経に触れたりすると危ないことになるかもしれないから、「激しい運動や筋トレは控えてください」と言われてたんです。でもライブが始まっちゃうと控えたりとかできないじゃないですか。

ーーいっそのこと椅子に座ってやった方がいいのではないですか?身体のためにも。

ヒロト:ギターテックのスタッフさんにもそう言われました。その方も以前手術をしたことがあって。術後は椅子を置いて、いつでも座れるようにしてやってたと仰ってました。でも…ライブですから。

ーー術後は筋肉も衰えていて、思い通りに身体を動かせないですよね?

ヒロト:そうなんです!特にお腹の筋肉はみるみる衰えていってビックリしました。直前までツアーをまわってたから、身体はすごくいい感じに仕上がってたんですよ。なのに今は「え!こんなにすぐに無くなるの?」っていうぐらい筋肉が落ちちゃって。普段生活してて、何気ない動作をする時も人は無意識に腹筋を使ってるんですけど、今は一切お腹に力を入れられなくなってるから。そうなると、人間こんなに一瞬で筋肉は落ちるんだ、っていうのを実感しています。

ーー力むとまだ痛みはあるんですか?

ヒロト:あります。痛いですね。寝転んだ状態から起き上がる時とか、痛いです。

ーーそれを庇うとまた腰に負担がかかってしまいそうで怖いですね。

ヒロト:そうですよね。気をつけないと。でもステージに立っちゃうとね。

ーーそういうことがすべて吹き飛んでしまう。

ヒロト:はい。骨折しててもできちゃうのがライブなんですよ。骨が折れてても気づかないんですから。怖いですよね〜。

ーー本当に気をつけてください。

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限りなく2次元に近い2.5Dロックバンド、アリス九號.のオフィシャルnoteです。 毎週メンバーがリレー形式でオフィシャルnoteだけの…

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