グルーポンの凋落ぶり


これは、2013年2月28日のニューヨーク・タイムズの記事である。

Groupon Dismisses Chief After a Dismal Quarter - The New York Times (nytimes.com)

歯の妖精といっても、実は強盗を働く呪術師。得意なのは、闇市で象牙を密売すること。絶対に阻止しなくては。

アメリカン・ドリームを実現したかに見えた「グルーポン」。例えば、このような文句で、歯科医院の広告をして、歯痛に悩む患者を惹きつけていた。

これまで快進撃を続けてきたが、ここに来て、大幅な赤字が続いて、株価が急落、市場価値がナスダック上場時の165億ドルから30億ドル弱まで下がったと、ニューヨークタイムズ紙が伝えている。

創業者のトップも解雇された。社員に宛てたメイソン氏の別れの辞に耳を傾けよう。

創業してからの4年半、目まぐるしくも素晴らしい日々であった。でも、これからは家族と一緒に過ごす時間をもっと増やしたい。いや、これは冗談、実は首を切られたんだ。

例えば、先着100人に限って、某レストランの1000円の料理が半額で食べられるとネットで宣伝する。お客は喜び、グルーポンには手数料、2万5千円が入る。レストランも、収入は同じく2万5千円、その代わり、固定客が増え、口コミで大きな宣伝になるかもしれない。

見識のあるシェフなら、精魂込めて作った自分の料理を半額で提供して、その収益を仲介者と半分づつ分かち合うということはしないだろう。おそらく、材料費にも不足するのではないか。

口コミで固定客が付く。これが上手く回転しなかったようだ。半額の料金で、美味しい料理に舌鼓をうった客のうち、正規料金を払ってまでも、もう一度食べたいと考える人が、あまりいなかったのではあるまいか。

こうして、大出血のサービスを提供する店は、営業資金が不足して、とうとう倒産に追い込まれた企業もあるに違いない。

お客が半額サービスだけを利用して、そのあと店を見捨てるとすれば、このビジネスモデルは、いずれ破綻をきたすと考えていいのかもしれない。

これまでのグルーポンの繁栄の裏側には、倒産の憂き目に遭った店が山のように積み上がっていたのではあるまいか。

創業から2年後、60億ドルで買い取りたいという話が、グーグルからあったとき、創業者のメイソン氏は、断ったという。

その頃は、倍々ゲームの黒字続きで、まさか、今のような凋落ぶりを示すとは思いもしなかったのであろう。ネット企業の明日は、だれにも分からない。もっとも、変化の激しい現代、どんな企業も同じようなものだが。

レストランを開業するなら、クーポンを発行して半額サービスを提供するよりも、美味しい料理を初めから低価格、立ち食いにして、回転率を上げるほうがいいということだろうか。

4年半前のシカゴで、たった400人の利用者から始まった割引クーポンのサービス、現在では世界で1億5000万人が使っているという。しかし、雨後のたけのこのように同業他社が増え競争が激化して、その前途は多難といえよう。

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