(年間ベスト前の)2021年良かったアルバム
今年もほぼ終わりということで、下半期&年間ベストアルバムに向けて一年を振り返っている途中なのだけれど、ベストに入れるつもりはないにしても入れたいくらい良かったアルバムというのがいくつかある。そこで、少し紹介しようということである。
・Sun Kil Moon「Lunch in the Park」
Sun Kil Moonといえば、Red House Paintersの中心人物Mark Kozelekによるプロジェクトである。毎年アルバムを出しているイメージがあるけれど、いつも急に、薄い告知でリリースするため見逃しがちだ。
今作は(も)、近年の作品と同じように前衛的で、名盤「Benji」の頃と比べるとかなり違う。例えばHiphop的なリズムも同じバンドか? と思うほどに増えたように感じる。個人的にサウンド面に関しては、現在の、特に「This Is My Dinner」以降のSun Kil Moonが大好きだ。歌詞の方は少し見ただけだけれど、良い意味でも悪い意味でも唸ってしまった。
近年の作品は世間的評価はあまりよろしくないみたい。年間ベストに挙げるほどではないにせよ、私は結構聴きたくなるシーンがあった。
・fingerspit「Sounds of Sympathy」
Essays on Empathyというインディーゲームのサウンドトラックらしい。私はとりあえずウィッシュリストに入れたっきりだ。どういうゲームなのかもしらない。
fingerspitは、ペンシルベニア(スペイン)を拠点に活動しているアンビエントプロデューサーだ。ディスコグラフィー的にはやはりゲームのサントラを制作することが多いっぽい……?
サントラだからこそ求められる直球アンビエントであるため、作業の邪魔にならない音楽である。でもポキンとかポロポロとした気持ちのいい音も散りばめられているため、耳を澄ませて聴くのもありだと思っている。ゲームも興味が出てきた。多分やらない。
・Dos Monos「Larderello」
あえてこの表現を使わせていただく。マジでかっけぇ……。日本のExperimental HiphopといえばDos Monosだ。1stアルバム「Dos City」が音楽好きの間で評価されたり、雨のパレードとコラボしたり、着実にヒップホップ界の怪物に成長しつつあるDos Monosが、テレビ東京の早朝停波枠番組『蓋』のサントラ的立ち位置として制作したアルバム。いやもうただただかっこいい。メジャーな音楽とどこか違う異質さ、蓋がされたアンダーグラウンドで行われる儀式を見たような気分にさせてくれる。
正直今でも繰り返し聴いているほど気に入っている一枚だから、なんで年間ベストに選ばないのか自分でもわかっていない。
・Fiji Blue「Reasons You Should Care」
今年一番オススメしたいユニット。個人的には今年のポップミュージックの主役だ。私がポップに疎いため比較対象がいないというのもある……。日本でもCMとかで流れたら一気に人気出そう。オシャレな洋服屋とかで流れてそう。Zeppツアーしてそう。Twitterで名前を呟くといいねしてきそう(これは事実)。
ニューEPの発売も決まっているため、待ち遠しい限り。
・Green-House「Music for Living Spaces」
グッッッッドミュージック!
ロサンゼルスを拠点に活動するアンビエントアーティストの、なんとファーストアルバム。甘くて切ないメロディに、さざなみのようなチリチリとしたよくわからない音が、邪魔にならないようにポツポツとあって、自然と幸せな気分になる作品。今後、このジャンル初心者の入門に最適なアルバムになるのでは。
今年は間違いなくアンビエントミュージックの年だ。
・An Autumn for Crippled Children「As the Morning Dawns We Close Our Eyes」
ポストブラックメタルバンドAn Autumn for Crippled Childrenは、一定の立ち位置を驕ることなく自分たちの道を進んでいるバンドであると確信している。だから毎作品で最高を更新しているのだと思う。
特に注目してもらいたいのは7曲目Melancholiaだ。ジャケットは雪積もる冬なのに、想像してしまうのは春から夏にかけての鋭い太陽光。曲名にも惑わされるが、たしかにそこにはダイヤモンドのように光り輝く太陽があった。
・Mustafa「When Smoke Rises」
正直なところ全然ベストで良い。一曲目のStay Aliveから全編を通しての惚れ惚れする歌声、一生聴ける。James Blakeもこの歌声に一瞬で虜になったとか(実際にStay AliveはJames Blakeのプロデュース)。
ジャケットで聴いてみたくなったとか、そういう些細な気持ちで良いから、是非とも沢山の人に聴いてほしいミュージシャン。
・Oleksandr Demianenko「Indian memories and captured radio waves」
お気に入りのレコード屋で見かけた作品。ウクライナのアーティストだそうだ。ジャケットが良いね。箇所によってはオールタイムのアンビエント/ドローン作品でもダントツで大好きなのだけれど、その分うまく自分とは合致しない箇所も目立っていて、全体としても良いのだけど、少し残念……。
・the GazettE「MASS」
孤高のヴィジュアル系バンド、ガゼットが突然ニューアルバムを発表したことはまだ記憶に新しいと思う。賛否があった「DOGMA」から、バンドの進化を見せつけた「NINTH」ときて、一体どういうアルバムになったのか。個人的には「NINTH」を更に突き詰めたような作品だなと感じた。Fallingのライブ映像でわかる通り、現在のボーカルRUKIの歌唱力、パフォーマンス共に圧倒的で、そこがうまく生かされた曲が多いと聴いていて実感した。
前作がバンドのキャリアの中でも特別な出来栄えだっただけに少し見劣りしてしまうけれど、充分良いアルバムだなー。
まとめ
毎年この時期になると、コタツやストーブであったかい乾燥肌になりながら、年内にリリースされたアルバムを振り返っている。そうすると、「あぁ、今年も終わりなんだな」と急にセンチメンタルだ。年末はその一年に起こったたくさんの出来事、思い出を連れ去ってしまうから憎い。
下半期ベストの方はもうほぼ決まっているようなものだから、12月半ばには出そうと思う。今年もやっぱり後半が強かった。
それでは。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?