見出し画像

今更だけど『すずめの戸締り』の感想を吐き出す。※ネタバレあります

昨年、11月半ばに新海誠監督作品デビューしてきました。
特に理由はありませんでしたが、なぜか1作品も見たことなかったんですよね。
アニメ映画は好きですし、監督違いですが細田守監督作品やジブリ作品、ディズニーはほとんど見てきているに、なぜか新海監督の作品は縁がなく見れずにいました。
しかし、今回は監督作品史上最高傑作との謳い文句がついていましたので、ならば映画館で見ようじゃないの!!と張り切って見てきました。
本来なら見てすぐ書こうと思っていたのですが、思いの外うまくまとめられず今更の投稿になってしまいました。
最初からネタバレする気満々で感想を書くので、見ていない方はお気をつけください。あと、まとめることを放棄したので長いです(笑)

はじめに

まず、思った以上に地震アラートのシーンが多く、公式のものと音は違うものの似たような音が映画館の中に鳴り響きます。
私自身、生まれてからずっと宮城県内陸部に住んでおり、東日本大震災を経験しました。
地震速報のアラートが鳴り響く中、地鳴りのような音と上下左右が分からなくなるような大きな揺れは死を覚悟するものでした。
沿岸部に住んでいた方に比べたら、そんなの…と言われてしまうようなレベルの被害でしたが、そんな私でも地震アラートのシーンは心臓がキュッとなり、手に汗をかきました。
公式からもお知らせが出ていますし、映画館の入り口にも張り紙がありましたが、本当に気をつけたほうがいいと思いますし、無理に見る必要はないと思います。

あらすじ

九州の静かな町で暮らす17歳の少女・鈴芽(すずめ)は、
「扉を探してるんだ」という旅の青年・草太に出会う。
彼の後を追って迷い込んだ山中の廃墟で見つけたのは、ぽつんとたたずむ古ぼけた扉。
なにかに引き寄せられるように、すずめは扉に手を伸ばすが…。扉の向こう側からは災いが訪れてしまうため、草太は扉を閉めて鍵をかける“閉じ師”として旅を続けているという。
すると、二人の前に突如、謎の猫・ダイジンが現れる。
「すずめ すき」「おまえは じゃま」
ダイジンがしゃべり出した次の瞬間、草太はなんと、椅子に姿を変えられてしまう―!
それはすずめが幼い頃に使っていた、脚が1本欠けた小さな椅子。
逃げるダイジンを捕まえようと3本脚の椅子の姿で走り出した草太を、すずめは慌てて追いかける。
やがて、日本各地で次々に開き始める扉。
不思議な扉と小さな猫に導かれ、九州、四国、関西、そして東京と、日本列島を巻き込んでいくすずめの”戸締まりの旅”。
旅先での出会いに助けられながら辿りついたその場所ですずめを待っていたのは、忘れられてしまったある真実だった。

すずめの戸締り公式サイト
https://suzume-tojimari-movie.jp/

映像の感想

私は今作が初めての新海誠作品だったのですが、それでも過去作品のPVやビジュアルを知っているので、新海監督特有の空の描写や空気感が惜しみなく序盤から描かれていて、これが新海誠の映像かぁ…綺麗だなぁ。
が最初の感想です。
本当に風景が精密で美しいだけでなく、そこに漂う空気感が光や色で表現されていて、スクリーン映えする映像美だったと思います。
今作は東日本大震災などの、地震や地滑りなど天災と呼ばれるものをテーマとして扱っているということもあり、海や山などの自然の美しさを全面に表現することで“ミミズ”という自然の脅威が際立っていたようにも感じました。
あと、これは新海作品初心者の私だけかもしれませんが、ミミズが倒れる前に後ろ戸を閉めるとミミズが四散して雨が降るという演出や東北に向かう道中で雨が降るというシーンを見て、新海誠って雨降らすの好きなんかなぁ〜とぼんやり思ってしまいました。

ストーリーの感想

起承転結がはっきりしていて、比較的分かりやすい内容だったなぁと個人的には思いましたし、考察厨でオタクなので「うん、面白かった。とりあえずもう一回見よ。」が率直な感想です。
が、しかし、もったいないなぁと思ったポイントもいくつかありました。
まず、草太と鈴芽がなぜ惹かれ合うのか、恋愛描写的な部分が少し分かりにくかったところですね。
人物の心象描写などは音楽や空気感など雰囲気で語ることが得意な監督さんと聞いているので、説明はしないけど見た人が汲み取ってね!という手法が「分かんない」と思わせてしまう原因かもしれません。
また、今回の鈴芽と草太の恋愛関係については鈴芽が見ていた夢が大きな鍵になっているので、その点に気付かないと分かりにくいかもしれません。

次に、ダイジンについての謎がほとんど説明されずに終わってしまった点です。
今回の大きな鍵となるキャラクターですが、なぜの草太に呪いをかけたのか?主人公たちを煽るようなセリフが多いにも関わらず、なぜ最後は要石に戻るという選択をしたのか?そのあたりの原因や根拠のようなものは一切明かされずに終わってしまいました。
閉じ師についてやミミズがなんなのか、後ろ戸とは…についてはある程度説明があったにも関わらず、要石については「ミミズを封じていた大事な石」程度の説明しかない…。
どうして猫のような形をしているのか、要石はただの石なのか?など由来のようなものを草太でなくとも祖父である羊郎が説明しても良かったのでは?と思います。
要石とも面識があるようなことを示唆させるシーンもありましたし。
ある程度はストーリーを考察したり、物語を反芻することで読み取れなくもないいのですがちょっと難しい…
根拠がある程度説明されないと、ただの神様のわがままで終わってしまい勿体無い。
あながちダイジン(神)の我儘であることには間違いないのかもしれませんが…

この2点が大きな勿体無いポイントですね。
全体的に地震などの天災をテーマにつつ、日本の神話などの要素も入っているのでそういった部分の知識があると理解が深まるんだろうなぁと思いました。

キャラクターについての感想

正直、あまり好きではないタイプの主人公でした(笑)
無意識に世界滅ぼす級の原因つくって、巻き込まれなくて良いのに率先して首を突っ込んでいってヒーローにお節介を焼いていく…うん、ちょっと苦手…
と最初は思っていたのですが、最終的には草太と鈴芽が幸せに過ごすファンアートを見つけてニヤニヤするくらいには好きになりました(笑)
メタいことかもしれませんがこのボーイミーツガールなセカイ系作品としては、ヒロイン、またはヒーローがこの手のタイプじゃないと話が展開しないので仕方ないのかもしれませんね。
私としては、芹澤が一番好きなキャラクターでした。
チャラい見た目しをてるけど、試験に来なかった草太に怒ったり、なんだかんだ言いつつ鈴芽に付き合ってあげたり…
そんな姿を見ていると、一見不真面目で大学とかもテキトーにやってそうに見えるけど、絶対いいやつだし根は真面目なタイプで大学でもちゃんと授業聞いてノート取るし、レポートの提出期限も守るタイプなんだろうなぁと。
字とかも意外と綺麗な字を書いていたらさらに好きになります(笑)
なので、スピンオフ小説が特典になると聞いてちょっとまた見に行ってしまおうか迷っています(笑)
環さんが「案外いい先生になるかも」と言っていたのはあながち間違ってないと私も思いました。

キャストについての感想

今回、主要キャラのほとんどが女優さん、俳優さんが務めていましたね。
実写で演じることと、アフレコで演技をすることは似ているようで違いがあるらしく、慣れていないとかなり違和感が出てしまうことがあるので、声優さん以外の方がキャストになると、アニメ慣れしているファンは正直不安になることが多々あったりします。
ですが、今作は全体的に見ると特有の違和感はそこまで感じられなかったように思います。
芹澤役の神木隆之介さんやルミ役の伊藤沙莉さん、岡部役の染谷将太さん等アフレコ慣れしている方が多いというのが大きかったのかもしれません。
主人公の鈴芽や草太はオーディションで選ばれただけあってビジュアルに合った声だと感じました。
特に鈴芽役の原菜乃華さんは声優初挑戦とは思えないほど上手い。
喋り方、演技共に違和感なく、THE困難に立ち向かうヒロイン!という感じでした。
序盤の草太を探しながら「これじゃナンパか??」と自分でツッコミを入れるシーンや、咄嗟に出る「はっ」や「あっ」等の息遣いを声で表現するシーンがとても自然で、映画鑑賞後に声優初挑戦と知ってびっくりしました。
その反面、草太役の松村北斗さんは声優初挑戦らしいというか、やはり喋り方や笑い方の演技がオーバーすぎる感が否めませんでしたね…
声自体はとてもいい声で、世間でいうイケボの部類に入ると思いうのですが、それゆえに違和感が悪目立ちしてしまっているようにも感じました。
準主人公なので必然的に喋るシーンも多く、役柄的にも戸締りの旅で鈴芽と同じように心境が変化していくちょっと難しい役ということも相まって、んー、ちょっと残念…
まぁ、声優さんではないですし、本業はアイドルなのでしかたがないのかもしれませんね。
ただ、一番大事な後ろ戸を閉めるための祝詞を唱える場面は、オーバー気味の演技が逆に儀式としての仰々しさ感じられて良かったと思います。

まとめ

結局2回見に行き、2回とも違う視点から見ることができたので結論としては面白かったし、考察厨なので色々な方の考察を読んだり見たりして自分なりに考察できて久しぶりに楽しかったです。
今作はジブリ映画のオマージュが色々とちりばめられていたり、過去作の音楽がアレンジされて流れていたりするらしいので、そこも楽しめるポイントだと思いました。
ただ、「見た?」と聞かれたら「面白かった」や「気になるなら見ても損はしないと思う」と答えるし、特典につられてもう一回見に行ってもいいかな…と思うので、気に入った作品にはなったのですが、「見てない方は絶対見たほうがいい!」と積極的におすすめする気はあまり起きないし、これを機に過去作も全部見よう!と思うわけでもなかったで、なにやら私の中では不思議な立ち位置の映画となりました。
考察がお好きな方は一度見てみてもよいのではないでしょうか。

この記事が参加している募集

#映画感想文

66,918件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?