極私的読書論(後編)

今回は僕が長年にわたり確立してきた読書の方法を紹介したいと思う。その方法は思った以上にシンプルなものに落ち着いた気がする。

本の買い方

最近はコロナ問題で外出ができていないが、基本的に僕は大きめの書店に行って本を買うことが多い。装丁やタイトルを見て気になった本を手に取り、本文の最初の5ページを読んでみる。ここで内容が面白ければ買い、つまらなければ買わない。本の著者は読者に最後まで読んでもらいたいという思いで書いているだろうから、最初の数ページにとても力を入れて書くはずだ。そして買った本は最後まで読み切る。

本の読み方

読み方もとてもシンプルだ。

そもそも、本を読むという行為は非常に集中力を要する。僕は読書中、この集中力をいかに途切れさせないかが読書の成否を分けると思っている。そのため読んでいて分からない単語が出てきても辞書を引いたりインターネットを使って検索したりすることはない。途中で調べ物をしたりするとそのまま注意を持っていかれてしまい読書を中断してしまうことがあるのだ。調べないかわりに、前後の文脈から不明箇所を推測することをしている。案外、直後の文章に意味がかかれていたりするし、一箇所わからなくても最後まで読み進められるものである。

黙読のスタイルをとっている。文を頭の中で音にするときに一字一句、句読点一つ読み飛ばさず、きちんと理解しながら読み進める。もし文の内容が理解できなければ、腑に落ちるまで何度もその文を読み返す。もしくは前のページに戻って思い出したりもする。決して速読したり読み飛ばしたりすることはしない。斜め読みもしない。著者に対して失礼だし、なにより本の内容が頭に入らないからだ。ただでさえ記憶に残りにくい読書を、さらに頭に残りにくくしているにすぎない。

以上、前半と合わせて、僕なりに確立した本を読むべき理由、本の買い方と読み方について紹介させていただいた。人によってはそれは精読とは呼べない、などとお叱りいただくかもしれないが、僕は本の読み方に正解はないと思っている。ただし、読み方によって得るものが違ってくるということは確かで、情報を得るのに適した読み方もあれば、視野を広げるための読み方もある。こればかりは自分の目的と性格に合った続けられる方法を見つけるしかない。僕が今回紹介したやり方を続けていけば、前半でも述べたように考える力が確実に向上する。


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