配船計画へのAI活用〜最適化で業務全体の生産性向上
2024年11月、ALGO ARTIS は、北陸電力株式会社の石炭海上輸送における配船計画業務への最適化ソリューション「Optium（オプティウム）」の導入と運用開始を発表しました。この取り組みにより、配船計画に伴う複雑な課題を解決し、業務の大幅な効率化とコスト削減が期待されています。
石炭の輸送は、私たちの生活に欠かせない電力を支える重要なプロセスであり、その中核を担う配船計画は、輸送効率を最大化し、コストを最小化するための重要な業務です。特にエネルギー産業や物流業界では、正確かつ迅速な計画立案が業務全体の生産性向上に直結します。
本記事では、配船計画業務における一般的な課題と、ALGO ARTIS の強みである最適化AI（アルゴリズム）を活用した解決アプローチについて掘り下げていきます。
配船計画はどんな業務？
配船計画業務は、船舶を利用して貨物を効率的かつ経済的に輸送するための計画を立案する重要な業務です。外航船（海外からの原材料調達）や内航船（国内輸送）において、輸送スケジュールや積載量、停泊場所などを最適化し、コスト削減や供給の安定化を図ることを目的とします。条件にもよりますが、それらの計画の組み合わせは膨大かつ複雑で（囲碁や将棋の組み合わせの10の360乗より遥かに多いと言われている）、人間の手だけで効率的に立案するのは極めて困難な状況です。
この業務では、以下のような要素を考慮します。社外も含めたステークホルダーとの連携や、自然要因など予測困難な要素も影響するため、その業務の難しさは容易に想像できるでしょう。
【配船計画策定の際に考慮する観点（一部）】
制約条件
積載量
バース数（港で船が接岸し、貨物の積み下ろしを行える場所の数）
レイキャン（船舶が到着しなければならない期間）
石炭在庫数
考慮する指標
船・漂船料
石炭価格
航続距離
条件が変わる要因
設備トラブル
天候悪化
積地状況
複雑な業務が抱える問題
配船計画は、上記の通り多くの制約条件、コストを中心とした指標、さらには自然要因を含む変動要因をすべて考慮しながら策定する必要があるため、多くの企業にとって頭を悩ませる業務の一つです。
【配船計画策定における主な問題】
計画策定に膨大な時間がかかる
制約条件の複雑さから、担当者が試行錯誤を重ねるため、計画立案に多大な時間を要する。計画策定できる人が限定的
業務内容の複雑さから、特定の熟練者に依存しやすい。頻繁な計画見直しが発生
天候悪化や設備トラブルといった変動要因により、計画を何度も修正する必要がある。
計画の質がコストやリスクに大きな影響を及ぼすにも関わらず、制約条件が非常に複雑なため、熟練者が試行錯誤しながら時間をかけて作成するケースが一般的です。
しかし、このように属人的な業務では、担当者が不在の場合に対応が困難になるというリスクが生じます。そのため、配船計画業務の効率化を図り、誰でも代行可能な体制を構築することが重要です。
Optium導入で期待される効果
配船計画は、無数の計画パターンが存在する極めて複雑な業務です。囲碁や将棋を遥かに超える多様な条件の組み合わせの中で、ALGO ARTIS の最適化AIソリューション「Optium（オプティウム）」は、人間では見つけにくい優れた計画パターンを、探索型AIの一手法であるヒューリスティック最適化で導き出すことを可能にします。
「Optium」では、熟練者たちが培ってきた経験やノウハウ、実務上の複雑な運用ルールを反映したオーダーメイドのアルゴリズムを開発。さらに、お客様が親しみやすい専用のユーザインターフェースを設計し、現場で”使える”ツールを仕上げていきます。
ALGO ARTIS 「Optium」のアプローチ
オーダーメイドのアルゴリズム開発
導入先企業の熟練者が培った経験やノウハウを反映し、実務の複雑な運用ルールを組み込んだアルゴリズムを開発します。専用ユーザインターフェース開発
お客様の業務内容を深く理解し、新人の方でも直感的に使えるインターフェースを設計。業務の属人化を解消します。現場に寄り添ったツール設計
入念なヒアリングを通じて、熟練者が作ったような現場で”使える”実用的なツールをお客様と二人三脚で仕上げていきます。
Optiumの特長
複雑な制約条件も反映可能
オーダーメイド設計により、各社特有の制約条件を柔軟に反映。また優先指標の変更にも対応します。直感的なユーザインターフェース
計画の確認・修正作業は、直感的に操作できるWEBアプリケーション上で行え、非熟練者でも計画作成業務を容易に行えるようになります。実用的な計算時間（数分〜30分）
解の厳密性よりも現実的な計算時間内での近似解出力を重視し、短時間で最適化計画を自動提案します。
Optium導入による効果
コスト低減への貢献
石炭調達コストが可視化され、短時間でコスト最適な計画の策定が可能になります。計画修正の迅速化
配船の動静や消費シナリオの変化に応じて、瞬時に計画修正が可能になります。業務効率の改善
煩雑な情報整理や通知作業がシステムにより一元化され、配布資料のレイアウト調整や周辺業務用の出力が簡単に。配船業務全体の生産性向上に寄与します。
お客様からのコメント
最後に、冒頭でご紹介した北陸電力様から、今回のOptium導入にあたっていただいたコメントをご紹介します。（ありがとうございます…！）
北陸電力株式会社 エネルギー取引部 統括課長 社浦氏からのコメント
「今回の取り組みを通じて、我々が掲げる持続的成長とデジタル化の推進という中長期ビジョンの実現に向けた大きな一歩を踏み出しました。
ALGO ARTIS 社は複雑なデータを対象とした最適化技術と使いやすいUIが優れており、他社にはない独自の技術力に強く魅力を感じています。またチームの皆さまの柔軟な対応力もプロジェクトの成功に重要な要素だと感じております。
本システムの導入により、配船計画業務における大幅な効率化とコスト削減効果に期待しております。」
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