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【インタビュー】競技プログラミングの世界へようこそ!:上位入賞者が教える魅力と挑戦

本日は、競技プログラミングの「素人」が「AtCoder Heuristic Contest 032」で上位入賞者と作問担当者の計5名に、今回のコンテストについて聞いてみました。
「競技プログラミングって美味しいの?」という競プロ入門者のあなたはもちろん、ガチ勢まで楽しめる内容となっております。ぜひ最後までお楽しみください。

それでは行ってみよう!


インタビュイーの紹介👤

 1. 名前 (フルネーム)& AtCoderアカウント名
2. AtCoder歴
3. 好きなアルゴリズム
4. 仕事内容を簡単に
5. 競技プログラミング以外の趣味!
6. AtCoder Heuristic Contest 032 順位

1. 角野 祐弥(かどの ゆうや) heno239 
2. 6年
3. 分割統治法
4. 某プロジェクトの実装・考察
5. ゲーム(特にTeamfight Tacticsというゲームを熱心に)
6. 優勝🏆🥇

1. 松尾 充(まつお あたる) terry_u16
2. 4年
3. 乱択アルゴリズム全般
4. アルゴリズム部門のマネジメント
5. カメラ
6. 準優勝🥈

1. 立松 拓己(たてまつ たくみ)takumi152
2. 5年
3. 焼きなまし法
4. 某プロジェクトの要件定義・最適化アルゴリズムの実装
5. サバゲー
6. 11位

1. 桐原 成人(きりはら なると) Kiri8128
2. 5年
3. アルゴ:オンライン畳み込み、ヒュ:貪欲法
4. アルゴリズム部門の採用・マネジメント、収益分析など
5. 子供と遊ぶこと
6. 18位

1. 北原 浩明 (きたはら ひろあき)eijirou
2. 4年
3. ビームサーチ
4. ヒューリスティック最適化に関する研究開発
5. 卓球(素人)
6. 問題作定者


インタビュワー:まずコンテストのお話を聞く前に、競技プログラミングについて教えてください!

松尾: 競技プログラミング、または競プロと呼ばれているのですが、与えられた問題に対してプログラミングを使って解決し、その結果を競う競技です。
知識だけでなく、「数学力」「思考力」「プログラミングスキル」など全てが試される競技になります。競プロには主に2つの部門があって、たった一つの正解をいかに正確かつ効率的に求めるかを問う「アルゴリズム部門」と、与えられた課題に対して正解が決まっておらず、いかにより良い答えを求められるかを競う「ヒューリスティック部門」があります。今回のコンテストはヒューリスティック部門ですね。

インタビュワー:分かりやすい説明ありがとうございます。続いて今回のコンテストはどのような問題だったのでしょうか?

松尾: 今回の問題の説明をするのは少し難しいのですが、なるべく分かりやすく説明すると、

“まず縦9x横9の方眼紙があります。方眼紙の各マスは白〜灰色〜黒といった濃さの違う色で塗られています。この色の濃さを0から99とします。0は真っ白、99は真っ黒、50だったらちょうど中間の灰色といったイメージです。この灰色の方眼紙を「スタンプ」を使って真っ黒にするのが目標です。このスタンプは、縦3x横3で、20個あります。スタンプも濃さが0から99まで決まっています。スタンプを方眼紙に押すと方眼紙の色の濃さ(0-99)にスタンプの色の濃さ(0-99)が足されます。例えば、マスの色が50で30の色のスタンプを押すとそのマスは80になる感じです。ただし注意点があって、スタンプを押した時に100を超えると、0に戻ってしまいます。なので、元々80に30のスタンプを押すと110=マスの色は10になるといった感じです。最大81回まで押す間に、できるだけ真っ黒な方眼紙を作ることを目指します。”

ビジュアライザー 提供者 桐原 成人

インタビュワー:分かりやすい説明ありがとうございました!お話を聞いているだけだと面白そうですが、真っ黒にするのはかなり難しそうですね。

北原さんが今回の問題を作られたとお聞きしましたが、どのような意図で作られたのですか?

北原:作問する時は複数案を考えて、その中から出題させていただくのですが、今回この問題を選んだのは、初心者でも上級者でも取り組みやすく楽しい問題になりそうだなと思ったからです。初心者向けとしては、AHC(AtCoder Heuristic Contest)の中では比較的シンプルな問題設定になっていて、何かしらやりたいと思ったことが実装しやすくなるように作りました。また上級者向けには、「ひっかけ問題」として出しています。コンテストでよく使われる手法として「焼きなまし法」というものがあります。今回の問題では「焼きなまし法」が弱い一方で、上級者の方でも焼きなまし法が適切だと思う方がいるのではないかと予想しました。

【ここで手法の解説】
「焼きなまし法」と「山登り法」

松尾解説員:例えば10人のメンバーを5人ずつの2チームにバランス良く割り振りたいときを想定してざっくり雰囲気説明をすると、

1. まず適当に5人ずつに分ける。
2. Aチームから1人、Bチームから1人選んで交換してみる。交換した結果バランスが改善するならそれを採用し、そうでないなら交換前に戻す
3. 2を何度も繰り返すことで、少しずつバランスを良くしていく。

という手続きを取ります。こんな感じで、「少しだけ変えてみて良かったら採用」という操作を繰り返すのが局所探索法(山登り法)です。焼きなまし法はこれに少し工夫を加えたものとなります。

山登り法の説明 by ALGO ARTIS
焼きなまし法の説明 by ALGO ARTIS

インタビュワー:なるほど。初心者から上級者が楽しめるように工夫されているのですね!ここで優勝者の角野さんに今回の問題について聞いてみましょう。全マス99というのが最高の答え(ほぼ不可能?)になる中、97くらいにされたとお聞きしましたが、今回の問題にはどのように取り組まれたのですか?

角野:作問された北原さんもお話しされていましたが、今回の問題はAHCの中ではシンプルな部類なのですが、取り組むにあたってぱっと見は色々な選択肢が考えられるので、時間が限られていることを考えると最初の選択がとても大事だったと思います。
本来は色々な手法を試してどれがいいのか試行錯誤して進めていくのですが、今回は最初に選んだ方針で進めた結果良いスコアが出たので、運が良かったと思っています。

インタビュワー:ちなみに、角野さんが優勝で松尾さんが準優勝ですが、その差というのはどのように決められるのですか?

角野:今回のコンテストはヒューリスティック部門なので『より良い解』を求めることが目的で、最終目標は全体を99にすることです。でもそれはほとんど、というか、ほぼ不可能なので、できるだけ99に近づけることがゴールになります。例えば1マスだけ98だったら、-1点、1マス97だったら-2点のようにスコア付けして、このスコアが99に一番近い人が勝ちという感じです。実際のコンテストではスコアがもっと細かく定められているため、複数人が同じスコアになることはほとんど発生せず、優勝と準優勝の差はそのシステム上のスコアの差になります。

インタビュワー:ありがとうございます。ここでみなさんに、競技プログラミングとの出会い、はじめたきっかけについてきいてみたいと思います。

立松:競技プログラミング自体は高専3年生から始めていて、学校の授業の中での紹介でパソコン甲子園があることを知って、面白そうと思って始めたのがきっかけです。一度辞めて、再開したのが大学3年生で、そこから続けている感じです。

北原:私は競技プログラミングという賢さを競いあう『マインドスポーツ』というものに面白みを感じて、それが始めるきっかけでした。

桐原:大抵の方は学生の時に競技プログラミングを始められる方が多いのですが、私が学生の時は競技プログラミングやAtCoderも存在していなかったんですよね。更に私はエンジニアでも無かったので、だいぶ年齢を重ねてから、そう35歳くらいになった時に、たまたま前職の知り合いが競技プログラミングをやっていて、話を聞いて面白そうだなと思って始めたのがきっかけです。

インタビュワー:大人になってから始める方や様々な方が一緒に競技しているのですね。

桐原:そうですね。競技者全体で言うと、色々なバックグラウンドの方が参加していると思います。ただ、やっぱり学生が多いかな。

インタビュワー:次に松尾さんに競技プログラミングを始めたきっかけを聞いてみたいと思います。

松尾:私も大人になってからですね。昔からゲームプログラミングは趣味でやっていたのですが、本当に趣味レベルでした。大学も情報系ではなく機械系でしたし、細々とやっていたぐらいだったんですよ。

競プロを始めたのはだいたい4年前、コロナ禍の影響で会社が休業になっちゃったんですよ。そこで暇になってしまって、X(当時はTwitter)をながめていたら、本当にたまたまその日にAtCoderがプログラミングコンテストをやるとポストしていて、ちょっと試しにやってみたのがきっかけです。

立松:肌感ですが、コロナ禍により競技人口が増えた感覚はありますね。

インタビュワー:趣味から始められた競技プログラミングですが、みなさんのほとんどはALGO ARTISで業務に競プロの知見を活かしていますよね。学習方法や練習方法で工夫されていることはありますか?

松尾:シンプルですが、コンテストに出ることと、過去問を解くの二つです。コンテストに出た後は、SNSや社内勉強会で他の人の解き方を見て、コンテスト後に吸収することが多いです。自分が知らなかった知識も得られますし、その積み重ねが実績に繋がっていると思います。

角野:松尾さんと似ていますが、コンテストに出て解けなかった問題を復習したり、あるいは解けた問題であっても他の解き方があるのか、他の人と議論したり、社内勉強会やSNSで議論したりしています。

自分の拘りで言うと、大体のコンテストは事後に解説が出るのですが、その解説を極力見ないようにして解けるまで挑戦しています。これは考察が深まるので、考察の練習になりますし、思わぬ副産物ができたりして、今回の問題には役に立たないけど、次回以降に役立ちそうな面白いことに気がつくこともあり、非常に大事にしています。

インタビュワー:角野さんは攻略本を見ない派ですね。桐原さんはどうですか?

桐原:正確に話を進めるために、アルゴリズム部門とヒューリスティック部門に分けて話しますね。私は特にアルゴリズム部門で精進(競技プログラミングの練習をすること)していて、コンテストに参加したり過去問を解くといった、皆さんと同じやり方ですね。最初はアルゴリズム自体を知らなかったので、本を読んだりサイトで「こういうアルゴリズムはこう言う時に使えて」というのを体系的に勉強したり、結構楽しく学習しています。

一方でヒューリスティック部門は勉強法を知らないので、コンテストに出ることのみです。

作問された北原さんがお話ししていましたが、ヒューリスティックの問題は初心者でもなんかしらの手は出せるというものが多いので、初心者でも改善できるし、上級者ならもちろんもっと良くすることができるのが、面白みだと思っています。

私の場合は上位勢が良く使う「焼きなまし法」や「ビームサーチ」のような道具を使わない方法を取っていて、勘で取り組んでいるところも多い。強い方には負けてしまったんですけど、それでも何かしら解を出せるんですよ。

インタビュワー:今回もぶっつけ本番で参加されて入賞してしまったのですね。それを思うと、桐原さんがとてつもなくすごい人に見えてきました!

松尾:普通、初心者は入賞できないですからね、笑

インタビュワー:北原さんはどうでしょうか。

北原:ヒューリスティック部門に言及して答えると、ヒューリスティック部門のコンテストは4時間の短期コンテストがあり、そこに重点を置いて復習しています。ただヒューリスティックはどこまで復習するかは難しくて、極論エンドレスでいくらでも復習ができてしまうんです。それで、コンテストで1位のスコアを超えることを目標に取り組んでいます。それをやることで実力が伸びた実感があります。

インタビュワー:1位を超えることを目標にするとは、かなりストイックですね。

桐原:さらっと言っていますけど、1位を超えるってめちゃめちゃ難しいので、一般人にはできないです。

インタビュワー:立松さんはどうですか?

立松:解き方は様々な方法があるので、自分が知らなかった手法に関して特に復習するようにしています。

インタビュワー:なるほど。毎回新たな手法を身につけていく感覚を立松さん始め、みなさんお持ちのようですね。
角野さんは優勝されましたが、振り返って他の手法ならもっとスコアが伸びたと思いますか?

角野:そうですね。(今回に限らず)ヒューリスティック部門の場合、他の手法を使う方が良かったと思うことが頻繁にあります。この部分はこっちの手法、あの部分はあっちの手法というようなことは本当に頻繁に感じますね。

インタビュワー:アルゴリズム部門でも同様にこっちの手法の方が効率的に解けたなと思うことはありますか?

松尾:よくあります。どちらでも解けるけど、こっちのほうがスマートに解けたなと思うことはあります。

インタビュワー:競技の間は瞬時に判断してスタートしないと出遅れることがあるのでしょうね。その判断というのはいったい何分くらいなんですか??

角野:そうですね。どちらの手法を選ぶかによってタイムロスが発生するのは事実です。何分、、、、うーーーん、そういうのは厳密には決めていないのですが、まず一つ目の案を思いついて、それはどのくらいで上手くいくかを雑に見積もります。例えば1時間くらいあればできそうとなったら、あと10分くらいは別の解法を探そうみたいな考え方です。その解法にかかる時間の大体1/6くらいは別の解法に充てるというイメージでやっています。

(一同、頷く)

インタビュワー:ほほー。結構緻密な計画の上に成り立っているのですね。メダルホルダーのみなさんの競技への向き合い方を学ばせていただいた感覚ですね。流石です。

角野:経験でそこを判断しているベテラン勢もいると思いますよ。

桐原:アルゴリズム部門の場合、解けるかどうかなので解ける解法が一つでも見つかったら嬉しくて、そっちに行っちゃうんですよ。この解法に何分かかると見積もるのも結構難しいですし、まずそっちに進んでみて半分行ったところでダメだなと思って戻ることもあります。なのでちゃんと見積もりできるのはすごいなと思って、感心の頷きでした、笑

インタビュワー:アルゴリズムとヒューリスティク部門の違いがアプローチ(考え方)の違いに出ているようですね。定期的に競プロに参加されている皆さんですが、モチベーション維持の工夫はありますか?

松尾:勝つことです!僕はモチベーション維持のために勝とうと頑張っています。一度勝つとモチベーションが上がり、モチベーションが上がるとまたやりたくなって強くなる。強くなるともっと勝ちたくなるので、そのサイクルを回すのが自分の中では重要です。あとは仕事で疲れないようにすることかな、笑

立松:僕も似ていますね。高い順位を獲ることが一番のモチベーションに繋がっています。自分は短期が得意なので、短期で勝つことを目標にやっていますね。

インタビュワー:魅力についてはどうでしょう?

角野:自分の頭の中で理論を組み立てるのですが、考えているだけでは本当にあっているのか分からない。実際にソースコードを書くと、上手く行ったり行かなかったりするわけですよね。頭の中だけで考えていたことが、書き出したら上手く行った時は本当にすごく気持ちがいいんです。嬉しいし爽快感があって、そこが一番の魅力かな。

北原:競技自体も当然面白いのですが、競プロは世界中の人と同時に戦えることが魅力です。しかも初心者でも上級者でも関係なく、世界のトップランカーと同じ土俵で戦えるんです。そういう競技は珍しいのではないでしょうか。そこが面白いと思いますし魅力に感じています。

桐原:北原さんに付け加えるとすると、いろんな国の年齢も違う強い方々と一緒に戦えるのは魅力の一つだと思っています。特に私は年齢が上の方ですが、今活躍している若手と一緒に戦えるのは魅力です。特にヒューリスティックは初心者でも上級者でも何かしら打ち手が見出せます。解法が一つじゃないので、いろんな方の解き方を見ることができますし、自分独自の方法で解けるとちょっと嬉しくなります。他の方の最高点を見てすごいなと思って取り入れたりと、インタラクションがあるのも魅力の一つかなと思います。

インタビュワー:解ける爽快感もあれば、人や解法との出会いや交流など幅広い魅力があるのですね。それらもみなさんが続けている魅力であり、モチベーションの一片なのかもしれないですね!私もちょっと競プロの世界を覗いてみたくなってきました。

競プロ、AtCoderを通して色々な経験や出会いをしていると思いますが、その他に何か新しいものは得られましたか?

松尾:ALGO ARTISに入社したことでしょうか。元々メーカー出身で、全くプログラミング専門家でも無かった人間が、今はプログラミングで食っているのは競プロのおかげかなと思います。プログラミングスキルやアルゴリズムの知識は当然ですが、社会人スキルという意味で「問題解決力」が向上したなと思っています。

ヒューリスティックコンテストにどう取り組むかはありますが、プログラムをどんどん良くしていきたいというのが根底にあります。まずプログラムを作って動きを観察します。観察すると「ここが駄目」、「あそこが駄目」というのが見えてきます。そうするとこうしたらいいのでは?と仮説を作って実行して評価する。そのPDCAサイクルの回し方を競プロで体験して練習できていると思います。

角野:世界中が同じコンテストに出場できて、賞金が大きい大会などもあります。そうすると集中力が問われる場面がめちゃめちゃ多いので、その点はかなり鍛えられたとおもいます。世界大会などはすごく緊張して頭が回らないこともあったので、精神力も鍛えられました。非常に重要な場面で何とか頑張るというメンタルは相当鍛えられたと思います。

インタビュワー:優勝もされていますし、#スーパーアルバイター角野が爆誕しているので、相当鍛えられたんでしょうね。うんうん。北原さんはどうでしょうか。

北原:受験勉強に似ているのですが、コンテストに勝つことが目標だとすると、そのために何をすればいいのか、何が足りなくて何をすれば実力が上がるのかを、結構真面目に考えます。例えば自分に足りないものが、実装能力なのか、知識なのか、あるいは考察力なのか、メンタルなのかを考える訓練になっています。弱い要因を特定して、そこを鍛えるというのは一般社会でも活用できるところかなと思います。

コンテストは毎週実施されているので、フィードバックがすぐに得られるところも良いところです。

インタビュワー:どこに弱みがあるのか考える力がついたり、多面的に鍛えられるし、努力の結果がすぐに分かるというのも魅力的ですね。

松尾さんは競プロとの出会いからALGO ARTISへ入社されたお一人ですが、他の方はどうでしょうか。ALGO ARTISとの出会いや入社したきっかけを教えてください。

桐原:ALGO ARTISを知ったのはコンテストで名前が上がっていたり、会社設立時にX(当時のTwitter)で資金調達をしたポストを見た記憶があります。恐らく門脇さん経由で知ったのかな。その時に何度か門脇さんからお誘いを頂いたのですが、バックグラウンドが違うしプログラミングを生業にしている訳でもないので、あまり前向きに考えていなかったのですが、なぜか入社していました、笑

インタビュワー:門脇さんからの猛プッシュがあった他に、最後の強いひと推しは何だったんですか?

桐原:前職はアクチュアリーという専門的な仕事をしていて、そこで生きていこうと思っていたんですよ。ただ何度もお誘いを頂いているうちに、人生一度きりだし別のことをしても楽しいんじゃないかと思うようになったんです。ちょうど40歳くらいの時で他の人生を見てみようかなと。言葉は悪いのですが面白半分でやってみようと思ったんです。プログラミングもほとんどやったことが無かった自分が、今はアルゴリズムエンジニアチームに所属し、競プロの勉強だったり準備だったりと会社外でも多くの時間を割いていたり、数年前からすると生活自体がかなり変わりましたね。

北原:コンテストの順位表で所属を示せるのですが、株式会社ALGO ARTIS所属の方がたくさんいて、それで印象に残っていました。社員の方と話す機会があって、アルバイトで働かせていただくことになったんです。

立松:僕もコンテストを通してALGO ARTISを知ったのですが、あるコンテストで優勝した際に、松尾さんからX(当時のTwitter)にDMをもらいまして、入りませんかと。それがきっかけで入社しました。

インタビュワー:優勝者を狙い撃ちに行くという、松尾さんのリクルーターとしての素晴らしい素質と行動力が発揮されていますね。

角野:僕も同じようにALGO ARTISがたくさんコンテストを開催して、さらに順位表の上位にずらっと並んでいるのを見て、興味を持ちました。上位に並んでいる人たちがいる会社がどんな雰囲気でどんな仕事をしているのか、強い興味を持ったのがきっかけです。

インタビュワー:今現在、どんな印象を持たれていますか?(ドキドキ)

角野:難しい質問ですね、笑 ただやっぱりいい雰囲気だなというのは分かります。自分と似ている人が多いので、すごく安心して働けるなと思っています。

インタビュワー:安心して仕事ができる環境になっているということですね。安心しました。

松尾:ALGO ARTISを知ったきっかけは桐原さんと同様、資金調達のお知らせがX(旧Twitter)で回ってきた時ですね。当時ちょっと話題になっていたんですよ。ヒューリスティック最適化もやっている会社はいくつか見たことがあるのですが、ヒューリスティック最適化だけやっている狂った企業ってなかなかない、笑 Xでちょっと興味がある雰囲気を醸し出していたら、門脇さんからDMが届いて、面白そうだし入ってみるかとなったんです。

インタビュワー:私はエンジニアではないですが、ヒューリスティックだけやってマネタイズできているとんでもない企業だなと思ったのが、興味を持ったきっかけだったので、松尾さんのお話し良く分かります。界隈の皆さんから見ても稀有な会社という印象だったのですね。

桐原:みなさん仰っていますが、上位への出現率が異常で目立つので、興味を持ってくれる方は多いですね。私もそうでしたし。

松尾:前回のAHC(AtCoder Heuristic Contest)も、1ページ目20人中6人くらいがALGO ARTISの社員でしたね。1/3くらい占めてる感じでした。

インタビュワー:私も毎回受賞の連絡を皆さんから頂くのが嬉しいのですが、受賞するのが当たり前くらいに麻痺していました。これは異常な状況ですよね。ランキングは目まぐるしく変わるものですか?

松尾:一度受賞したら良い方ではないでしょうか。ランキングは目まぐるしくはないかもしれないですね。良い成績を取らないと上がらなくて、良い成績を取った時にポンと上がります。次のコンテストで北原さんに抜かれるんじゃないかとビクビクしています。

インタビュワー:なるほど敵は社内にいるのですね、笑 
ところで、ALGO ARTISは自分を成長させてくれると思いますか?

松尾:とにかく周りのレベルが高い。当然ヒューリスティック最適化レベルも高いのですが、社会人として非常に優秀な人が多いと思っています。アルバイトなのに社会人何年目?みたいな人がちらほらいて、びっくりしています。あとは最適化技術を活かせるのもそうなのですが、前段階に問題を定義する作業が発生します。技術的に可能な部分と、社会的に何が要求されているのかにはギャップがあります。そのギャップを結びつけるのは結構チャレンジング且つ面白くて、尚且つ成長の糧になっていると思います。

インタビュワー:今のお話しだと技術力が高くても事業としてやっていくには片手落ちになってしまうということかなと思いますが、その社会課題に結びつける能力が高いというのはどんな時に感じますか?

桐原:プロジェクト進行が上手だなと思います。タスク管理もそうだし、計画も、そして社内外のコミュニケーションもそうですし、お客様から今どんな情報をもらわないといけないか、伝えないといけないかという一定の社会人スキルが高い気がします。

松尾:付け加えていうと、仕事のブレークダウンする力が強いんですかね。長期のコンテストの話をしましたが、そういう時は最終的にやりたいことがあって、それを実現するためにはこれが必要、次にこれが必要というようにブレークダウンしていくんですよね。そういった面で鍛えられているのかもしれないです。

インタビュワー:技術向上のために競プロへの定期参加をALGO ARTISでは推奨していますが、そこで技術だけでなく、あらゆる面を鍛えて事業に転換されているのが良く分かりますね。

桐原:色々なエンジニアがいるので、個々に強い弱い部分はあると思っています。ただ、お互いに支え合って補っています。特にプロジェクトになるとエンジニアだけでなくセールスや他のチームも巻き込んだチームになりますから、お客様とのコミュニケーションはビジネスチームが得意なのでお任せするなど役割分担して、それぞれ自分の範囲の責任を果たすことができていると思います。

インタビュワー:立松さん、北原さんはどうですか?

立松:スキルが高い人が多いというお話がありましたが、技術面で信頼して学べるというのが成長できるポイントになっていると思います。

北原:自己研磨を推奨しているところや勉強会なども成長できるポイントですね。競プロ勉強会というのがあって、それ自体は会社にとってお金になることではないのですが、成長しやすい環境が整っているなと思います。

インタビュワー:みなさんのお話を聞いていると、スキルと業務内容がピッタリ合っていて、すごくやりやすい環境なんだろうなと思います。
最後にALGO ARTISで成し遂げたいことがあれば教えてください。

北原:表と裏の目標があるのですが、表は例えば発電所の最適化をしたらCO2が削減できる。大きなインパクトを出せてより良い社会実現に貢献できるので、そう言ったことをしていきたいです。裏の目標としては、最適化技術で面白いものがたくさんあるので、なにか次世代に活かせるものを生み出したいと思っています。

立松:表の目標は、今走っているプロジェクトを成功させることです。
裏の目標としては、最強のアルゴリズムを何か考えて作っていきたいと思っています。

松尾:表の目標は、最適化が当たり前な世界を作りたいなと思っています。例えば電車の路線検索アプリを使っている人が多いと思うのですが、あれも内部には最適化技術が使われています。使っている人は最適化アルゴリズムがここに使われているなんて気にしていないと思うんですよ。最適化が手元に普通にあるという当たり前になっていくと嬉しいなと思いますし、そういった世界にしていきたいという思いがあります。

裏の目標としては、競プロerが楽しく働ける環境を作りたいと思っています。高い技術を持っている人がその能力を存分に発揮できる機会を提供できたら、社会のためにもなると思うし、競プロerのためにもなると思うので、環境を整備していきたいと思っています。

インタビュワー:皆さん、ありがとうございました。
競プロの世界は話を聞けば聞くほど奥深いなと思いました。社会人として多方面が鍛えられるというのも興味をそそるところです。そして今回お話を聞いたのは、ALGO ARTISのアルゴリズムエンジニアチームの皆さんですが、競プロの世界と業務がシームレスに繋がっていて、働きやすく成長しやすい環境になっていることも良く分かりました。読者のみなさんは、競プロやALGO ARTISについて理解が深まったでしょうか? 

【最後に重要なお知らせ】

7月21日 競技プログラミングコンテスト "AtCoder Heuristic Contest 035"を開催します!


この記事を読んで競プロに興味を持っていただいた皆さん、この機会にぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。新しい扉が開くかも。様々な『プライズ』が用意されているのでお楽しみに!
コンテストの詳細はこちらをチェック

それではまた次回。
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