フリーランス介護福祉士、宅食業務受託を語る
こんにちはアルゴです。
もう私はやめてしまったのですが、ご高齢者向けの宅食業務に携わっていました。
しかしやめてしまったからこそ、今日はその話をちょっとしてみようかと思います。
宅食スタッフとしての働き方
高齢化が加速する中、宅食業界は成長産業のひとつです。代表的なものは◯タミですよね。大手コンビニチェーンでも、セブンイレブン、ファミマなど、非常に多くの会社が参入しています。
実際にご高齢者のお家にお弁当を届ける宅食スタッフは、業務委託(スタッフからすれば業務受託)の場合が多いです。
高齢者向けじゃないけど、ウーバーイーツだってそうですよね。スタッフはどこかの企業に所属しているわけじゃなく、個人事業主・フリーランスとしてピザ屋さんの宅配業務を受注して働く感じです。
高齢者向けの宅食事業はまさに介護福祉士がフリーランスとして業務受託をして働くにはとっつきやすいもののひとつです。
宅食を行う企業に就職するわけじゃないので、ハローワークで失業保険をもらいながらでも行うことができます。(業務を行った日はちゃんと申告しないと駄目ですが)
収入を重視する人にとって、宅食は非常にコスパが悪い働き方
私がどの企業の宅食を受託したかはここでは書きません。先程あげたものかもしれませんし、そうでないかもしれません。
しかし実際にその企業でやりがいをもって働いている人もいるので、そういう人が見たら気分を害すからやはり書きません。
私が受託した宅食会社はやはり大手企業でしたが、労働条件の大変さに見合った収入がなく大変でした。
●フリーランスとして宅食をやってみようという方・・・
●介護施設で働いているけど、副業として空き時間にやってみようという方・・・
どちらにしても、本記事を見てから考えていただくことをオススメします。
業務内容について次の見出しからお話していきます。
働く日数の自由さはない
その宅食企業のCMやスタッフ募集向けPVなどを見ると、
「自分の空き時間を使って気軽に働けます!」
的なことがうたわれています。
・・・が、実際はスタッフが働く日や時間はほぼ固定されていました。自分の担当もがっちり決まっており、基本的には調子が悪いから休むというような事ができない状態です。(万が一の場合は正社員の方が代配をしているようです)
基本的に ①平日 ②休日 のどちらかを選んで働くことになります。
たとえば、①の平日を選んだ場合、基本的には月〜金の週5日出勤となります。その時点で・・・・
「えっ?自分の空き時間に自由に働けるんじゃないの?」
という疑問が湧きました。
月曜日と水曜日の午後だけ行く・・・ということはできないのです。
私はこのnoteでもお話している通り、個人の事業やその他のフリーランス活動を行っています。当時はハローワークで失業保険をもらいながら事業準備をしている真っ只中だったので、今後のことも考え、平日に週5日受託するのはゼッタイ無理でした。
なので②の休日を選択したわけですが、こちらもなかなか厳しかったです。休日というのは土日のことですが、これに祝日も含まれます。
土日だけで祝日は無理・・・ということはできず、②の休日を選んだ場合はどちらもやらなければならないのです。
「いや、こっちも全然自分の空き時間に働けるわけじゃないじゃん!」
と思いましたが、とりあえず当時はまだ時間的な成約は少なかったのでこちらを選びました。
宅食やそれ以外の諸業務について
まず宅食のルートについて。
ルート・・・というか、自分に決められた件数をまわるので、どういう道順をたどっていくかは自由です。(裏道とおっていくとか)
私は休日シフトだったのですが、50件近くをまわることになりました。
基本的には宅食は夕食用です。なので、夕方までに届ければOKです。しかし中には、朝の8:00までに届けてほしいとか、そういう人がいるんですね。2食分頼んで昼と夜で食べようという人もいるのです。
注文する食数に関しては自由なのですが、基本的にはあくまで夕食の配達。なので本来夕方までに届ければいいものを、朝の8:00までとか…それはだめですよね。そういう一部のお客様のニーズを事業所の所長さんが「良し」として例外的に引き受けてしまっているので、今後のドライバーの人たちはそれを引き継いでいかなければならないわけです。
聞けば他の事業所もそんな感じらしいです。何で断らないのか…?と所長さんに訪ねましたが、「基本的に奉仕の精神で私たちはやってますから」と言われました。介護保険の施設で働いていた頃でさえ、できないものはできないときちっと断っていましたが…。
本来夕方までに届ければ良いものを、午前中の所定時間までに配達しなければならないお宅が50件中3,4件ありましたので、その人達のためだけに早朝の7:00前くらいに事業所に行き、準備をしなければなりません。
そして、お弁当を届けるだけが仕事ではありません。
集金業務や営業活動(ポスティング含む)もあります。食べ終わったプラスチック容器を回収することもあります。
※(私は休日シフトだったため、集金業務や営業活動はしていませんでした)
宅食というと、お弁当を高齢者に届けるだけと思われがちですが、実際には他にも諸業務がたくさんあります。
事業所にお弁当を取りに行き、ルートを確認。保冷剤とお弁当を詰め込んで自家用車で出発します。
先程お話したとおり、午前中に届けてほしいという方もいるので、遅くとも7:00台には事業所につく感じですね。介護施設で働いた頃の早番と大差なかったです。
終わった後はまた営業所に戻り、箱を洗ったり消毒する作業があります。
私の場合は自宅から片道30分の事業所でした。宅配業務50件を慣れて4時間でできたとしても、それ以外とあわせても6時間は拘束されることになります。
肝心の収入について
ここまで見ていただいた方は、自由に働けない拘束時間と、時間的な厳しさを踏まえて、かなり厳しいものだということがおわかりでしょう。
そして、肝心の収入についてお話します。
私が受託していた事業所は、1件あたりたった150円台でした。なので、50件まわると差最低でも7500円です。
件数が決まっているので、自分の立ち回りしだいで、コスパは良くも悪くもなるということになります。
ですが、スタッフは人間なので、どんなに頑張っても一定の限界があります。上述のとおり、宅配だけでなくいろいろな事をやらなければなりませんし。
また、お客様によって、インターフォンを押す押さないとか、鍵付きボックスに入れるとか、条件も様々です。お弁当の種類だって違いますから、急いでやったら間違えて数があわなくなる危険もあります。
車だって渋滞することもありますし、だからといって狭い抜け道を急いでいっても事故のリスクもあります。
(ちなみに車は自家用車で、ガソリン代は保険はもちろん自腹です。個人事業の経費にはなりますが)
自分のウデしだいで、収入は労力に合うものになるかが決まりますが、どんなに頑張ったとしても、介護施設で時給1100円くらいで働くほうがコスパは良いでしょう。
どんな人がこの仕事にむいているのか?
既述のとおり、業務受託といっても勤務日や日数などが固定されてしまうので、労働条件に見合った収入は他の業種と比べてないでしょう。固定されているのなら、社会保険に入れるように会社員になったほうが収入的には良いです。
それでも、
●運転が好きな方
●定年やセミリタイア後、時間を持て余してしまって困っている方
●収入なんて気にしないボランティア精神旺盛な方
などいたら、とてもやりがいのある仕事だと思います。ご高齢者にも感謝されます。
ただし、これは稼ぎ頭の20代、30代が収入目当てでメインに行う仕事ではないと思います。私は個人事業をはじめるにあたり、業務受託曜日の制約からは外れなければなりませんでした。
(既述のとおり、業務受託という形態なので、ハローワークとかに通いながらとか、休職中にやるのは良いでしょう)
実際他のスタッフの方を見ると、高齢ドライバーの方が多いです。一番年齢が高い方で、80歳近い方もいました。
成長産業だとは書きましたが、働き手がいなくなってしまうと、しわよせは宅配事業所の正社員の方にいきます。
宅配スタッフが休むと、本来事務業務であるはずの所長さんが代配をしなければならなくなるからです。
表向きの美味しい宅食ごはんのあたたかいイメージ・・・
とはウラハラに、低賃金やブラックな環境で働く人の気持ちがよりわかった体験でした。
でも運転や宅配、お届け先でお年寄りと会話することなどは好きなので、将来的にまたやるかもしれません。
ではまた。