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戦うための装備を作れ 〜見た目装備を楽しむ〜

モンスターハンターにおいて、防具の見た目は武器の見た目に並んで、装備で最も重要な要素であることはクロムアサルト研究所の黒鉄重弩所長による実験からも明らかである。
そこで、今回は見た目を重視した装備の組み方を実例を元に教示していきたい。

見た目装備の歴史

見た目装備が主流になったのはMHXX、龍歴院が防具合成という画期的なシステムを開発してからだ。それまでは防具の見た目を追求するとどうしてもステータスやスキルが犠牲となり、物によっては写真撮影くらいでしかまともに使えないことも多かった。
もちろん最低限即死したりしないステータスや諸々の要素の欠如をカバーできるプレイスキルがあればいいのだが、少なくとも野良プレイでは歓迎されない。故に見た目装備は文化としてはともかく、狩猟の場においてはマイナーな存在だったと言えるし、折角多様な装備デザインが用意されているにも関わらずそれを全て活かすことは難しかった。

しかし防具合成や重ね着装備の登場により、防具の性能と見た目の組み合わせを自由に変更することが可能になった。防具合成の登場以降、見た目装備は一気に主流派となり自由なコーディネートが一世を風靡することになる。
その後、防具合成よりはるかに低コストな重ね着装備、そして長年装備の色合わせに苦労してきたハンターに対する着彩部位の増加など見た目の自由度は防具合成の登場前とは比較にならないほど高まっている。

ただし今日見た目装備を様々な形で楽しめるのは、防具合成より前から見た目装備に注力してきた先人たちの存在あってこそでもある。彼らへの敬意を忘れないようにしつつ、今日も見た目装備を楽しんでいこう。

戦うための装備とは

では、見た目装備の組み方の教材として「戦うための装備」を使いながら解説していきたい。のだが、まず「戦うための装備」を解説しなければならないだろう。

見た目装備には様々な系統がある。例えば単におしゃれを追求した衣服のような装備から奇抜なデザイン等のインパクトを全面に押し出したネタ系の装備、また別作品のキャラのコスプレ装備や、武器に合わせたデザインの装備など様々なものがある。
「戦うための装備」もそれら系統の一つである。具体的には、携行品の装備量や配置、身体の部位ごとの装備形状や材質の特徴や傾向など戦うために重要な要素を考え、そしてそれらを使用する武器などに合わせて最適な組み合わせに落とし込む。それが多様な環境や戦況に対応し、確実な戦果と生存性、機能性を確保する「戦うための装備」である。
ただ重装にすればいいのではない。ただ携行品を増やせばいいのではない。ハンターの一挙手一投足の傾向やクセまで意識し、扱いやすい装備を仕立てるのが戦うために必要なことだろう。

と私は考える。もちろんゴツゴツの重装備や携行品多数の装備も良い装備なのだが、ここで求めるコンセプトではないだけだ。というか自分もそういう装備を作る。まあ本来見た目装備の楽しみ方は自由なのだから、この一系統に囚われず好きに遊んで欲しい。

戦うための装備を作るために① 〜装甲と運動性〜

では、戦うための装備を作っていこうではないか。まずは必要な項目を確認して、そこから実例を組み上げたい。

防具、というのだから、まず何より重要なのは防御力である……のだが。例えば忍者(決してニンジャではない)というのは大仰な鎧兜は着込まない。鎖帷子とか部分的に胸当みたいなものを着ている可能性はあるかもしれないが、基本は布等の装束である。何故だろうか?

防具というのは服装でもある。実生活の中でも、厚着をしたら動きにくい、というような事があるだろう。これと同じで、防具もいたずらに重装にすると身体の動きに支障をきたしそうなくらいになる。日常生活なら移動ができれば十分だろうし環境に合わせて脱いだり着たりして調節すれば良いが、そんな余裕もなく武器での攻撃や回避が求められる狩猟ではそうはいかない。先の忍者が重武装してないというのもその任務に合わない(というイメージ)からだろう。
そうなると、実は防具も程々というものを意識する必要がある。具体的には、防御性能と動きやすさを必要なだけ確保し、かつ互いに阻害しない程度というものを見極めなければならない。

傾向として動きやすいが防御性能はそこそこの防具というと布や革主体の防具、防御性能は高いが動きにくい防具というと金属製の防具なんかが該当する。モンスターハンターの場合甲殻とかみたいなモンスター素材についても考慮する必要があるが、そこはやや想像に依存する部分もある。防具の解説を参考にすると良いだろう。
防具の特徴を頭に入れたら、あとは自分が組み立てたい装備が防御性能を重視するか、運動性能を重視するかを考えればいい。自ずと簡単なイメージができるはずだ。

ここで行うのは使う防具の決定というよりは、防具のデザインの記憶により選択肢を絞ることである。要は軽装が好ましいイメージならボロス装備なんてのは考慮する必要がなくなるし、重装備にしたいならレザー装備とかは選択肢から外れる。そうすれば装備選定がはるかに楽になる。

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左がレザー装備、右がボロス装備。ご覧いただければ分かる通り、左は動きやすそうで探索なんかには向いているが、激しい戦闘ではやや心許ない。右は苛烈な攻撃にも耐えてくれそうだが、明らかに動きにくそうである。

戦うための装備を作るために② 〜頭と胸は防御をこだわれ〜

モンスターの爪や牙で、頭を貫かれたら死ぬ。
モンスターの爪や牙で、心臓を貫かれたら死ぬ。

当たり前の摂理が存在するのなら、摂理に合わせて装備を組む。それが合理的というものだろう。だから、頭や胸は防御面をこだわりたいのだ。たとえ皮素材が主体の軽装備だとしても、頭だけは頑丈な兜を被り、胸も鎧などでガードしたい。

これは他の部位にも言える。最たるものは間接だろう。膝や股関節をやられればまともに歩けなくなる。肘や肩をやられればまともに腕が動かせなくなる。であれば、そういう部位に防御性能の高い装備を配置したい。

そうやって必要な場所に防御を集中させる。すると自ずと装備において防御を優先する部位とそうでない部位、つまり防御性能を高めるか軽量化して動きやすくするかの調整が効く部位の区別ができるはずだ。もちろんどう拘るかは人次第だし、防御面を重視するにしても例えば兜は視界を確保するか防御性能を優先するかみたいな細かい差異も発生する。その辺りもいろいろ考えていくと装備の解像度というか、細かい部分の描写が正確になる。

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このプケプケ装備は胸や右肩、肘や膝などの要所に金属装備を使ったり、頭や左肩はプケプケの素材で広く覆うなど、装甲の配置のバランスも運動性への配慮もなかなか高度な装備である。

戦うための装備を作るために③ 〜武器に合わせた装甲や携行品の配置〜

当然だが、狩猟は防具だけで行うものではない。武器を使う必要がある。まあ携行品を武器として爆弾やナイフとかだけで狩るハンターがいないわけでもないかもしれないが、普通は武器を使う。

であれば、武器を使うために防具も最適化する必要がある。防具はクエストを失敗させないことはできるが、クエストを成功させるのは武器だ。成功を目指すなら武器に気を遣う必要がある。
と言ってもここでは具体的な武器の指定は行わず、武器種でアバウトに見ていく。実際の刃のサイズや配置とか、装填機構周りの構造とか、そういうのは自分で合わせてもらいたい。

例えば片手剣であれば右手に盾、左手に剣を持つ。となれば、少なくとも右半身については盾に防御を委任できる。機動性が片手剣の持ち味であり、それを活かすなら右半身の軽量化が出来る。
また、武器を構えたままアイテムを使うこともあるが、手が空いているのは盾をベルトで腕に固定している右手である。ポーチとか投げナイフとか、手で扱うものは出来るだけ右手で取ることのできる場所に配置しておきたい。

逆に太刀は基本の構えで右半身が前に出る上に、盾のような防御手段がなく、見切りに長けた達人でもなければ右半身のリスクは高い。故に右半身には防御面で注意を怠りたくはない。無論、達人であっても狩猟は単なるタイマンではなく様々なランダムが介在するのだから、不足の事態に備えて損はないだろう。

ボウガンを使うなら、右脇にボウガンを抱えるような構えになるため右腕部や腹部の方を圧迫したくはない。ただ、防具を使って固定するというスタイルのハンターもいるだろうから、ここはボウガンの構造などとも相談したい。また、弾の発射、装填や調合といった操作を行う以上、手や指にはあまり重装備をするのは好ましくないとも考えられる。

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これらは先に挙げた3種の武器(ボウガンはヘビィボウガン)における基本的な構えである。これを動きの基本とするのだから、この時の姿勢は装備を考える上で重要な要素と言える。

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この人物はMHWorldに登場したソードマスター。彼の鎧についた傷は、確かに右半身に集中している。太刀を扱う者へのダメージが右半身に向かいやすい実例、と私は考えている。
こういう手がかりを見つけられると戦闘のための合理化はしやすいだろう。

無論その辺りは貴方のハンターがどのように考え、立ち回るかによる。戦い方は千差万別。もちろん武器の形状などでも変化するだろう。それに合わせて、己の一張羅を組むのだ。

余談:見た目の統一性

見た目装備というのだから見た目の統一性というか、まあ見栄えの良さは求められるだろう。この辺りを色変更とかで対応できればいいが、そうじゃない場合、そしてどうしても気になる場合は類似する別の防具に変える必要も出てくるかもしれない。そして丁度いい別の防具に変えられればいいのだが、代替品がない場合だってあるだろう。

そういう場合の解決方法は主に3つある。
一つは装備の特性を理由にしてそのまま使う。例えば脚装備であれば目的地の足場の状況に合わせたとか、腕なら武器の属性での自傷を防ぐとか、そういう必要に合わせたものとして解釈する。見た目には難が残るかもしれないが、理由付けができれば割と自然になるものだ。
次に見た目は合うが戦闘の都合に合わないものを、カスタマイズしていると解釈する。例えば金属装備であっても装甲を薄くして軽量化しているとすれば重量的な問題は解決しそうだ。逆に防御面に難がありそうなら中に緩衝材や金属板でも仕込んでいるとでも考えれば防御面を補える。
最後に他の部位にも変更の検討を行う。合わない装備がある、ということは他の部位との調和が取れていないということでもある。つまりどこの部位との調和が取れてないかを検討する。他の部位に代替品が見つかれば、元の浮いていた部位を維持しつつ全体をまとめることができるかもしれない。

……まあとにかく、自分が納得できればいいのだ。色や形状はあまりバラバラだと悪目立ちして戦うためにも不都合だが、少しの違いにまで拘りすぎるとかえって不都合を生じるかもしれない。少なくとも戦うための装備において、第一に求められるのはオシャレではないということだけは念頭に置いておくといいだろう。

実践:戦うための装備を作る① 〜新米ハンターの装備〜

それでは実際に戦うための装備を作ってみよう。
ここで作る装備は全て「モンスターハンターライズ」のものである。なお、今回は全て男性装備で見ていくため、女性装備の場合上手く合わないことがあるかもしれないが、各自で調整していただきたい。

今回のシチュエーションは「まだまだ駆け出しの新米ハンターが手持ちの素材で新調した扱いやすい装備」としよう。こういうのは別に先に決めても後から決めてもいいが、いずれにせよ何か考えておくと装備のディテールが深くなる。
使用武器は片手剣。イメージとしてはハンターナイフなどのような扱いやすい装備を使っていると想定する。片手剣の特徴は先に語った通り、右手に盾と左手に剣を持っていて、抜刀中にも各種アイテムを使用する、といったところ。

ひとまず装備を検討するために、適当な一式装備の形状を見て、性能を比較していく。今回見ていくのはレザー、チェーン、ハンター、アロイの4系統。

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Z順にレザー、チェーン、ハンター、アロイと並んでいる。Z順が分からない人には「左上→右上→左下→右下の順」のことだと言っておく。

レザーは動きやすいがやや防御力不足、アロイは防御力は申し分ないがやや重め。チェーンとハンターは概ねバランスが取れているが、ハンター装備の方が防御面や各種配置が合理的と言える。よってここはハンター装備をベースに考えたい。
ハンター装備において、片手剣とやや合わないのは頭、胴、脚の3部位。腕と腰はそのまま維持して、これらの部位の変更を検討する。
腕と腰は重量バランスや装甲、携行品の配置を考慮すると相性は良く、これを変える必要はないだろう。

まず頭は、単純に防御力不足であると言える。新米ハンターは不測の危機に対応できる経験や判断力がない。それ故に命を守るためには致命傷になる頭への攻撃は確実に防ぎたい。
……上の画像に、丁度良い装備がもうあるではないか。チェーンヘルムかアロイヘルムが打って付けだ。今回は防具を新調するという場面との整合性と防御力の高さからアロイヘルムを採用することにする。

残る胴と脚の内、脚はこれまた単に防御力不足と言えるが、片手剣の機動力を活かすなら補強はそこそこに留めたい。一方で胴は防御力は十分だが、むしろマントや肩鎧が大柄で動かしにくそうであるため、逆にやや軽量化を図りたいところ。
実はこちらも、この記事の中で既に出た装備が有力な変更先の候補である。

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答えはプケプケ装備。脚は大腿部と左膝に金属鎧を使っており、動きやすさを損なわずに防御面を補ってくれるし、胴は胸や肩などを的確に補強している上に肩周りがスッキリして動かしやすい。
ちなみにこの2つの装備は構造的に類似点が多い。覚えておいて損はないだろう。
それでは、これらを踏まえて作った装備がこちらとなる。

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ハンター装備の構成をある程度継承しつつ、機動力に長けた片手剣らしいバランスの良い装備になった。防御面も的確に組まれており、新米ハンターの命を的確に守ってくれるはずだ。
肩の金属鎧の左右が入れ替わっているが、右肩は金属鎧が左半身に集中することに対するカウンターウェイト、要は重量バランスの調整と捉えてもらうと良いだろう。左肩は剣を振り回すため動かしやすさを重視したが、実は表のプケプケ素材とその下にある皮で二重になっているため防御力の低下も許容範囲内と言える。

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実践:戦うための装備を作る② 〜熟練ハンターの装備〜

次に作る装備は「百竜夜行を退け名を上げたハンターが、そこで得た素材を使って作る装備」で、使用武器はハンマーとする。今回もある程度装備を比較していこう。

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左からレックス装備、ディアブロ装備、ヤツカダ装備。素材元はいずれも百竜夜行の群れの中では危険度の高いモンスターであり、それを撃退することの意味は大きい。

これら百竜夜行の群れを成す強力なモンスターの素材を使った装備はいずれも強力だが、どれを使うにしてもやはり使う武器に合わせて最適化していきたいというところがある。
今回は、一番右のヤツカダ装備をベースとしよう。理由は後述するが、ハンマーの特性を考えると実は相性が良かったりする。

……というところで、今回はまず完成した装備をご覧いただきたい。こちらである。

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ジャックオランタンのような仮面で驚かれるかもしれないが、仮面というのは実は合理的な防具でもある。というのも顔全体を比較的コンパクトに覆うことが出来る仮面は重量的にも優しく、その上頭に接近することの多いハンマーを使うハンターにとっては、ブレスを使う相手の呼気に混じる熱気や冷気なんかをある程度防ぐことが出来る。
腰はヤツカダ装備のままだとややカバー範囲が狭く気になったので、ある程度動きやすく、かつカバー範囲を広げられる装備を模索したところアロイコイルを使っている。
腕装備はナルガアーム。ヤツカダ装備だと爪のような意匠があるため保持力にやや疑問を感じたことから、武器の保持力に定評のあるこれを採用した。

そしてヤツカダ装備を採用した理由は、ハンマーの攻撃における重要な要素、溜めとの相性である。力を溜めながら移動している時の姿勢を見ていただこう。

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ご覧の通り、左肩が前に出た姿勢となる。この時、ヤツカダメイルの左肩の突き出た3本の棘とヤツカダキの糸で作られたであろうケープが緩衝材となり、正面から攻撃を受けた時のダメージをいくらか緩和出来る可能性があるのだ。
攻撃次第では気休め程度の効果しかないかもしれないが、気休めの有無が命を左右することもあるだろう。また、片手剣と違って盾はないので右半身を軽量化することはなく、この肩以外は概ね左右対称に留めている。

なお、どこかの人型機動兵器のようにこの肩でタックルすることは想定していない……が、大剣でも使えないことはない装備なのでもしかしたら本当にその用途に使うこともあるかもしれない。

実践:戦うための装備を作る③ 〜ガンナーの装備〜

最後の装備はガンナーのための装備だ。もっともMHRiseでは剣士/ガンナー装備の区分は撤廃されているが、武器に合わせて調整すると自ずとかつての区分のようなものが見えてくる。
今回はライトボウガンを使うが、特別ハンターの設定は立てない。自由に組んでみる。ハンター全員が型にハマったような典型的なハンターとは限らない。というかハンターはむしろ変人の方が多いだろう。
では、以下の装備をご覧いただきたい。

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これがガンナー向けに組んでみた装備である。さて、この装備はガンナー用にどのような工夫を施してあるだろうか?考えていただきたい。



と言ってもこれは言わないとまあ分からないとは思うので、分かりやすいところから順に説明していく。
腕装備は先に語った通り、ボウガンの操作のしやすさを考慮して選定した。プケプケ装備の手は指抜きグローブで正確な操作が期待できる。
頭は防御よりも視認性を求めて、今回は軽装にした。バンダナによって汗を拭えることで、ガンナーに重要な視界や集中力を奪われないようにしている。また、首回りは胴装備と二重に保護することで致命傷を防ぐ作りにしている。

胴と腰は構えた時に前面に出る左半身に金属鎧を集中させた。そして何より、マントなどの面の広い装備を採用しているが、これには2つの意味がある。
1つは色彩的な特徴を制限することで視認性を低くするためのものだが、見つからないためというよりは攻撃の狙いを不正確にする程度のものである。
もう1つはモンスターのブレスなどを防ぐため。水をかけられた時にそれを防ぎやすいのは棒やブロックではなく傘のような広い面を持つものである。モンスターのブレス攻撃なども同じようなもので、ガンナーに向きやすいブレス系の攻撃に耐えやすい仕様を採用した。
なお、腰のインゴット装備はポーチが多く多様な弾丸や携行品を扱いやすい構造になっている。ガンナーの場合は配置もそうだが量も考慮出来るもいいだろう。
脚はライトボウガンの機動力を活かしやすいようにハンター装備。①では防御力不足として差し替えたが、今回は腰装備が大きく十分カバー出来ていることから、防御面の問題は特にないと判断した。

余談:こんなことをして意味があるのか?

実際のところ、こうまで戦うために防具のデザインに拘ったところで、それは重ね着装備や防具合成を使ったか否かによらず、何の意味もない。
どういう防具を使ったって防御性能は数値にしか表れないし、動きやすさが変わることもない。

しかしそんな無駄なところにこだわることで、モンスターハンターはより深さを得るのだ。その辺りをこの後語っていきたい。

また、強大なモンスターを相手にはこのような些細な事に気を遣っても無駄だろうと考える人もいるかもしれない。
その通りだ。ならばより防御性能を追求して重装備を着込むのか、当たらなければどうということはないと割り切って防御を捨てた軽装にするのか、そういう選択肢も出てくるはずである。
戦うための最善は人によっても、状況によっても違う。度々言っているがどう拘るかは人の自由なのだ。

これから語る事は、そんな人による違いを落とし込むためのものとも言えるだろう。

戦うための装備を作る意味 〜そのハンターは生きている〜

架空の自然でも、架空の生物でも、架空の生態系でも、その様々な部分には理由がある。故にモンスターハンターはリアリティを持った作品になっているのである。しかしそれらは作品の中の世界が創り上げて(あるいはカプコンの開発チームが作って)、プレイヤーの前に広がっているものである。

では、ハンターのリアリティとは何か?ハンターは近年の作品だと簡単にその肩書きや立ち位置が設定されていることも多いが、しかしその心の内まではゲームは与えてくれない。言ってしまえばハンターはそのままだと感情や欲求の乏しい操り人形に過ぎない。それは動きが付こうが台詞が付こうが変わらない。
ハンターの心の奥底は、プレイヤー自身が与えるしかないのだ。ゲームを遊ぶ中で得た経験や感動や、綴ったハンターの物語を画面の中のハンターに投影しなければならない。

それはハンターにとって狩りに生きる理由となる。そして狩りに生きる中で幾度も選び取った選択肢にも理由があるはずだ。その理由の積み重なり……すなわち、意思の形成こそが、ハンターにリアリティを与えることになる。

分かりやすく言えば、我々プレイヤーはハンターに何かしらを与えることで、画面の中の人物に命を吹き込んでいるのである。

もちろん、ハンターには大きな志というものがあるだろう。何のために狩猟に生きるのか、そういう大筋からしてみれば、防具がどうとかは些末な事でしかないようにも見える。しかしそれは違う。
大きな志を持つ事でハンターは単なる人形からゲーム内のキャラクターになる。しかしそれをさらに踏み込んで人間たらしめるのは、日常から戦いまであらゆる瞬間の選択を描写する、細かい選択の方なのである。

戦うための装備とは、自分なりに狩人のスタンダードを考えてみた結果であり、それを画面内のハンターに投影するためのものである。生き残るための選択を、装備という形で反映したものである。
あるいは、例えば単に可愛い装備を使うハンターにも、可愛いから使うという意思がある。可愛いと思うセンス1つ取ってもそのハンターのものである。それは美しく狩ってこそ至上という、まあやや変人の気はあると思うが、それもまた狩人である。

ハンターはプレイヤーがゲーム内に介入できる唯一の要素である。だからこそ目の前に広がるリアリティに負けないように、貴方がハンターにリアリティを、意思を、命を吹き込むのである。
この装備を作るというのはその一環でしかない。しかしながら、確かにハンターに命を吹き込むのに必要な工程であり、私は戦うための装備という形でそれを行ったのである。

そうやってあらゆる部分に理由を作り、リアリティを形成したハンターは、確かに貴方の前で生きている。

もちろん、こんな面倒なことやってられないという人もいるだろう。それはそれで構わない。しかしこんな楽しみ方もあるんだと知ってもらえたら、あるいは興味が出たらやってもらえたら幸いである。

終わりに 〜楽しみ方のアプローチ〜

これを書いている理由は、昨年へのアンサーである。

私はかつて、遠距離通常弾という戦法方面からモンスターハンターを楽しんだという記事を書いた。ライズで似たようなことができればよかったのだが、どうにもそう上手くはいかなかった。
そうして戦法面からの楽しみ方を失った自分が行き着いたのは、見た目から入る事だった。
確かに私は装備の見た目は割と気にする人間だった。だからなのかは分からないが、noteについて色々テストするための記事はMHW:Iで使っている装備についてのものだった。
これならライズでも出来るというわけだ。しかしただオシャレするだけでは物足りなかった。まあ元よりシンプルにオシャレな装備は使ってこなかったから、この戦うための装備というのはこれまでの装備の系統を分かりやすい傾向として昇華させただけに過ぎない。
ハンターへの掘り下げというのは、まあ単なる副産物でしかない。しかしそれは偶然にも、二次創作に従事せずとも世界観を楽しむことができるという、創作者以外のプレイヤーに対する後押しになったのだ。

モンスターハンターにはいろんな楽しみ方がある。そしてそれは戦うのみではない。釣り三昧でも構わないとは公式の言葉だ。だから貴方も、様々なアプローチで楽しみ方を見つけて欲しい。他人に迷惑をかけない限り、楽しみ方は自由である。

自分が進む楽しみ方は変わっても、様々な楽しみ方への姿勢は、アプローチは変えないようにしたい。それが、遠距離通常弾を楽しむかつての私への、この記事という答えである。



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