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置戸勝山

勝山という地名は各地にあるけれど、今日は北海道、置戸町勝山の話。
置戸勝山は道東の山間にある小さな小さな集落だ。地図で見るとわかるけど、本当にどん詰まりの地形。

そんな置戸勝山に行くには、北見駅前のロータリーから出ているバス「勝山温泉行き」に乗る。バスは3時間に一本といった感じで、あまり接続が良いとは言えない。
出発して北見の市街地を外れると途中に大きな町もなく、1時間と少し、ひたすら雪の中を走るだけのバス旅。

置戸勝山には地元でちょっとした人気の温泉施設があって、置戸勝山といえばむしろそれしか知られていないんじゃないかとも思う。ましてや、自分のように勝山の街並みを見るためだけにバスに乗ってる人など皆無だろう。
この日、結局バスには僕しか乗っていなかったので、どちらにせよ人はいなかったのだけれど。

勝山の街並み。小高い丘に建てられた勝山神社のふもとに、数十軒の民家が集まっているだけで、郵便局のほかにはコンビニもスーパーもない。本当に小さな集落だ。

ではなぜ勝山に来たのか、それは素敵な近代建築が残っているからだ。
昭和初期の雰囲気を感じる、街角の古い洋風建築。玄関には昭和期の摺ガラスがはまり、玄関はモルタルと板張りで仕上げられている。昔は何かの事務所兼住宅だったのか、それとも地区の偉い人の邸宅だったのだろうか。

今はもう誰も住んでいないようで、玄関の前には雪が高く積もっている。入り口の電球は壊れて外れてしまっているけど、玄関脇の赤いポストはまだ誰かからの手紙を待っているようで可愛い。

乗ってきたバスがちょうど終点で転回して戻ってきた。1時間もない短い滞在時間で、本当はもう少しじっくり写真を撮っていたかったけれど、あまり長く外にいると凍えかねない。天気のいい日といっても、マイナス10度近くはあるのだ。

牛のようなまだら模様をした北見バス。片道1時間と1500円の旅、相変わらず行きも帰りも、結局僕一人だけであった。


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