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「あの旅で変わったよね!」と嬉しそうに私に言ってくれた大人 秋田祥(映画上映企画)

スクリーンを目の前に、20歳のときにした一人旅を思い出す。自分で自分が大きく変わったことを感じて興奮していた、そんな特別な旅からもどった私に「あの旅で変わったよね!」と嬉しそうに私に言ってくれた大人は佐藤さんだけだった。

京都の大学で「ドキュメンタリー映画の地平」を噛み砕いて教えてくれていた佐藤さんとの記憶は、些細な会話が多い。私が作品と真剣に向き合い始めたのは佐藤さんがいなくなってからだったけど、特別上映などで佐藤作品を鑑賞する度に私の感想は変わる。興奮したり、物足りなく感じたり、翌日も考えていたりする。時間や場所がかわり、作品が違う目つきで私を見つめ返す。

山形、京都、東京、ニューヨーク。佐藤さんと仕事をした人、学んだ人、彼の作品と真剣に向き合おうとする人たちと出会うたびに私は佐藤さんに感謝する。ただ鮮明になっただけじゃない繊細な4Kの映像と音が脆かった私の初心を思い出させてくれる。

秋田祥(映画上映企画)

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