モンスター被災者モンスターボランティアから被災者を守るには……

 能登半島地震から半年以上が経ちました。
 まずは大きな被害に見舞われた地域とそこに暮らすすべての方々にお見舞いを申し上げます。関係各所の努力により少しづつではありますが良い方へと前進していると信じております。
 その上で、どうしても気になったことがあるのでここに記しておこうと思います。
 今回に限ったことではないのでしょうが、SNSの普及にあってか、とりわけ能登半島地震では〝モンスター・ボランティアとモンスター・被災者〟が目につきます。
 例えば

 ・被災者に支援の受け入れを強要したり感謝を強いるボランティアの存在。
  このたびの震災では、自分たちの支援方法や態度に対して少しでも疑問や異を唱える被災者をSNSで晒したり、「恩知らず」的な罵倒を執拗に繰り返すボランティアとその取り巻きが目に余ります。被災者が心から感謝出来ない支援には、それなりの理由があるわけですが、それを一切認めようとせずに一方的に被災者を悪者に仕立て、仲間で口裏を合わせて叩くという小学生の〝いじめ〟のようなことが横行しているには驚きます(とてもいい大人のすることとは思えません)。

 ・いわゆる「震災ビジネス」と揶揄されるボランティア独自の支援金収集の乱立。
  支援金を募ること自体は別に悪いことではありませんが、その使い道をきちんと公開している個人や組織は少なく、ほとんどは完全に霧の中。「わたしが集めた金をどう使おうとわたしの勝手」という主張まで見受けられました。まだ「使い道を公開してくれ」と要求をした出資者に対し、告訴をちらつかせて恫喝紛いの発言を繰り返すボランティアも見受けられました。

実際のところ、いま被災地でモンスター・ボランティアやモンスター・被災者たちによってどのような弊害が起きているかを把握するために、行政やマスコミによる匿名のアンケートか聞き取り調査を実施していただきたいです。これはぜひ早急にお願いします。
 震災発生直後は、被災者たちはみな「助けてもらっている」という遠慮があってボランティアに対して不満があっても何も言えなかった思います。
 しかしすでに半年以上が経っています。そろそろ言いたいことを言っても良いのではないでしょうか。
 SNSを利用していない高齢者と日常的にSNSを利用している世代では、ボランティアに関する情報量が圧倒的に違いますので、それぞれに対して調査を実施していただければと思います。設問内容ですが、特に以下のようなことです。

 ・ボランティアによって無断で被災した家屋、避難所の中の写真を撮られたり、それを勝手に公開されことはないか?

 ・感謝を強要されたことはないか?

 ・SNS等で「本当に被災者なのか証拠を見せろ」と個人情報の公開を迫られたことはないか?

 ・どこの避難所の誰なのか、ボランティアによって身元を探られたことはないか?

 ・炊き出しや物資の支援をしている者から特定の政党や政治家への支持を頼まれたことはないか?

 こうした設問に「正直」に回答したもらうことが重要です。
 被災地でモンスター化した一部のボランティアの実態を詳細に把握出来れば、それに対してどのような処置を検討すべきかが見えてくると思います。これを放置しておけば、これから先も同じ問題が繰り返されることになってしまいますので、いますぐにでも仮設住宅ごとに、また統計が簡単なネットアンケートもぜひお願いします。

そして、上記のような問題の解決策として、いくつか思いつくことを並べてみました(あくまでも個人の考えですので、他にもっと良い策があればぜひそれを実現していただきたと思います)。

・ボランティアの事前登録制度の導入
 災害発生の際に、ボランティア参加の意思がある団体や個人、また得意分野を行政が事前に把握しておければ、効率的なボランティア派遣の役に立ちます。

・匿名の個人が「被災者支援」の名目でネット上で募った資金の内訳や決算を出資者たちに対して報告・公開することを義務化する

・被災者に対して「支援」以外のこと(特定の政党への支持を促す政治活動思想や生活スタイルへの介入、自分たちの意に染まぬ被災者への弾圧、侮辱など)を行うボランティアに対しては効力のある罰則を制定する。
 例えば「被災地での活動を禁止」するなど、毅然とした態度で臨むべきです。
 これだけボランティアを活用する時代ですから、国によるガイドラインとなり得る「ボランティア活動条例」の制定は絶対に必要かと思います。

 むろんボランティア側にも言い分はあるでしょう。
 しかし、いったい誰のためのボランティアなのかということをもう一度しっかりと考えていただきたいのです。
 被災者のための支援であるはずが、支援者側の自己満足の手段や優越感を育む温床となってはいないでしょうか?
 何よりも優先されるべきは被災者の気持ちであって、ボランティアの気持ちではありません。そこをはき違えているボランティアが特に今回の震災では多く目につき残念でなりません。
 弱り切った相手に対しわずかな善意と引き換えに己のエゴを押しつけるのは、相手の尊厳を踏みにじっているのと同じで、もはやそれは〝ボランティア(社会奉仕)〟でも何でもありません。残念なことですが、間違いなく今後も日本には大きな災害が起きるでしょうし、それを止める手立てはありません。
 そのときには、全国から集まってくるボランティアの存在は必ず必要となります。
 だからこそ、こうしたモンスター化した〝善意のエゴイスト〟たちの暴走を規制する社会的なルールや法律の整備の必要性を痛感します。
 震災によって壊れてしまったのは交通網や下水道や家屋だけではありません。
 災害に傷つけられた上に震災を利用するあらゆる人間たちによって潰されてきた被災者の心も大きな被害を受けたままだということを忘れないでもらいたいものです。

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