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私と彼女の愉しい脱毛

皆さんは脱毛、してますか?
いきなり赤裸々すぎる書き出しですみません。
答えなくて大丈夫です。

私はしています。
申込した当初は結構容易に予約が取れたのに、少ししたら全然予約が取れなくなってしまいました。脱毛した日に次回の予約を取って、その日に合わせてシフトを組んでもらう・・・。30代、脱毛合わせの人生になるとは思ってもみませんでした。

でも何回かの辛抱ですから。
あと何回か耐えれば、この痛みも、恥じらいも。
全て毛と共に葬り去ることができると信じています。

今日は5回目の医療脱毛に行ってきました。
問診票を記入し、少し高いベッドのある個室に通され、身体を拭き、紙パンツを履く。ペラペラのキッチンペーパーが大きくなったかのような使い捨てタオルを掛けて寝転んだら、試合開始です。

事前に自己処理で体毛を剃っておいて、ジェルを塗り、その上から機械で脱毛ビームを当てるという流れなのですが、まずはじめに背中などの自分では剃れない箇所や、剃り残しの産毛などをシェーバーで刈ってくれます。サロンやクリニックによって流れが多少違うかもしれません。

今年の夏までになんとか出来なかった私のワガママボディを初対面の看護師さんの前に晒して、まな板の上の鯉のように横たわって身を任せていると、えも言われぬ心許なさがこみ上げてきます。ペラペラタオルで隠しているとはいえ、紙パンツしか履いていないし。防御力がなさすぎる。しかも、他人に普段見せることのない私の秘境も公開して、この個室、二人っきりの世界で全てを任せることになるのですから。粋の良い漁れたての魚のようにビクついてしまうほどの、ピンポイントな照射の痛みもフラッシュバックしてしまう。

それでも私は今回でもう5回目。
私は、思いました。

「今日は最高の脱毛にしよう。」

私の通う脱毛クリニックの看護師さんたちは全て女性。
どの方もとても丁寧な、いや丁寧すぎる敬語の使い手で、真面目に作業に取り組んでくれます。身体のあらゆる部位に接頭語の「お」をつけ、「お身体」「お胸」「おうなじ」と、脇に挟む保冷剤のことも「お冷やし」と呼んで、無防備な我々が不安にならないよう出来る限り丁寧に持て成してくれます。
皮膚がデリケートな部位に照射する際は、毎回粛々と「お当てします・・・」ピッ「お当てします・・・」ピッ と、エレガントに(多分文字で表現するならば明朝体で)取り組んでくれるのです。
全員、同じように。
出来の良いアンドロイドみたいに完成された接客スタイル。

私は、脱毛の痛みや恥ずかしさ、憂鬱さに打ち勝つべく、今日担当してくれる看護師のお姉さんと裸で対峙するこの一時間半を少しでも良い時間にしようと、なるべくオープンなマインドで、丁寧で朗らかな態度を心掛けることにしました。

始まる際は「よろしくお願いします✨」
看護師さんが私に何かをぶつけてしまったときは「大丈夫ですよ〜☺️」
痛みについて聞かれたら「平気ですよ!ありがとうございます🍀」と、私の顔が見えなくても声だけで笑顔が伝わるようにしてみました。
人として当たり前の態度、当たり前の回答。
ただそれだけのことですが、二人の間に微かにあった緊張感が薄れ、最低限の雑談も交えながらの良い感じの協力関係が芽生えていきました。

担当してくれた看護師のお姉さんの気遣いや、お仕事に対する熱心さ。
それらを裸一貫、真っ直ぐに受け止めて、ありがたく笑顔で施術を終えることができました。

「なんだか今日は100点の脱毛だったって感じがする・・・」

看護師のお姉さんとの脱毛タイムが、愉しいひと時になった夏のお話。

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