花相の読書紀行No.34『悪いうさぎ』
女探偵、葉村晶シリーズ
【悪いうさぎ】/若竹七海
<あらすじ>
女探偵・葉村晶(あきら)は、家出中の女子高校生ミチルを連れ戻す仕事を請け負う。妨害にあい、おまけに刺されてひと月の安静をやむなく過ごした矢先、今度はミチルの友人・美和を探すことに。やがて見えてくる高校生たちの危うい生態──親への猛烈な不信、ピュアな感覚と刃物のような残酷さ──その秘めた心にゆっくり近づく晶。打ち解けては反発するミチル、ナイスなゲイの大家・光浦たちとともに行方不明の同級生を追う。好評の葉村晶シリーズ、待望の長篇!
★感想
ドラマ“ハムラアキラ”の終盤3回で放送された原作でした。内容は、原作の方がやはり良かったです。
女探偵“葉村晶”の完璧じゃない人物像はどこにでもいる普通のアラサーだし、体力・視力・判断力も全く際立っていないのに、見過ごせない事や関わった人のために危険を顧みず奔走する姿は魅力的です。
ドラマの葉村役が”シシド・カフカ”さん、ちょっと美人過ぎかも。
何気ない依頼から関わった家出少女から始まる何とも陰惨な事件に関わることになった不運な探偵が、今どき少女に振り回されながらも奮闘するお話しは、小気味よいストリー展開で一気読みでした。
個性強すぎの登場人物も、二転三転する進行も、読み手を飽きさせない描写で、葉村の心のつぶやきは共感となって物語に入り込むことが出来ました。
またこの回は、葉村のトラウマの原因ともなる事件のお話としても貴重ですね。
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