花相の読書紀行No.24『ダナエ』
心に響くミステリー
【ダナエ】/藤原伊織
<あらすじ>担当編集者・小池真理子さん
世界的な評価を得た画家・宇佐美の個展で、財界の大物である義父を描いた肖像画が、切り裂かれ硫酸をかけられるという事件が起きた。犯人はどうやら少女で、「これは予行演習だ」と告げる。宇佐美の妻は、娘を前夫のもとに残していた。彼女が犯人なのか——。著者の代表作といえる傑作中篇など全3篇収録。
★感想
この小説を通して藤原伊織さんと言う作家さんを初めて知りました
陰惨な殺人事件のないミステリーは、噛みしめながら読むという感じで、じわじわと心に響いてくる大人の物語だと思います。それぞれの人物の描き方も、ストーリーの構成も見事で、その文章の美しさで濃密に描かれています。この単行本が出版されて四か月後に旅立った藤原伊織さんのご冥福を祈りたい。
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