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花相の読書紀行№.78『悪果』

おまえは極道よりも性根が腐っとるー

【悪果】/黒川博之
<あらすじ>
大阪府警今里署のマル暴担当刑事・堀内は、淇道会が賭場を開くという情報を拇み、開帳日当日、相棒の伊達らとともに現場に突入し、27名を現行犯逮捕した。
取調べから明らかになった金の流れをネタに、業界誌編集長・坂辺を使って捕まった客を強請り始める。だが直後に坂辺が車にはねられ死亡。堀内の周辺には見知らぬヤクザがうろつき始める…。黒川博行のハードボイルドが結実した、警察小説の最高傑作。

 ★感想
マル暴担当刑事と関西ヤクザの小説と言えば、私は一も二も無く柚月裕子の孤狼シリーズをあげます。
ヤクザとの持ちつ持たれつの関係、腐敗する警察組織の中で生きる刑事の悪と正義の狭間でも揺るがない思いはただ一つ、一般市民を守ること。兎に角登場人物が魅力的です。

この黒川さんの作品は、腐敗する警察組織を語り、己は先人の轍は踏まないと言いながら、悪の深みにはまっていく姿を描いているように思います。
その中で防犯課刑事たちの地道な捜査や警察の賭場摘発のシーン、取り調べの様子は、本当にその場を見ているようで実にリアルでした。

感想と言えば、勇猛果敢なマル暴担当刑事ってこうも簡単に悪に手を染めるものなのか?
男の没落には女あり、もっとも女の私はその愚かさに呆れるばかりですが…(^▽^;)

男性が加害者となる死傷事件の多くは女がらみ、それに比べ女性の場合は、“欲”が絡むものが多いと感じています。どちらも強い執着心と独占欲が原因なのでしょうね。
私の場合は、あまりに執着心が無さ過ぎて、手元に残るものがほんの一握り。
それでも生きて往けるのだから幸せです。

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