見出し画像

花相の読書紀行No.39『不穏な眠り』

葉村晶シリーズの短編集。女探偵の不運はどこまでも続く‥‥

【不穏な眠り】/若竹七海
<あらすじ>
仕事はできるが不運すぎる女探偵・葉村晶。
吉祥寺のミステリー専門書店でアルバイトとして働きながら、〈白熊探偵社〉の調査員として働いている。
「さよならの手口」(2014年4位)「静かな炎天」(2016年2位)、「錆びた滑車」(2019年3位)と「このミス」上位常連の人気ミステリーシリーズ、文庫オリジナルの最新刊。
「水沫(みなわ)隠れの日々」
終活で蔵書の処分を頼んできた藤本サツキのもう一つの依頼は、死んだ親友の娘・田上遥香を刑務所から自分のところに連れてきてほしいということだった。刑務所からサツキの元に向かう道で、遥香は車に乗った男たちに拉致されてしまう。
「新春のラビリンス」(「呪いのC」改題)
大晦日の夜、葉村は解体直前の〈呪いの幽霊ビル〉の警備をすることになった。ヒーターが壊れ、寒さの中一夜を明かした葉村は、女性事務員の公原から連絡が取れない男友達の行方を調べてほしいと頼まれる。
「逃げだした時刻表」
葉村の働くミステリー専門店でGWに〈鉄道ミステリフェア〉を開催することになった。展示の目玉として借りた弾痕のあるABC時刻表が盗難にあう。本の行方を追ううちに、互いを出し抜こうとするコレクター同士のトラブルや、過去の因縁まで絡んできて思わぬ展開に……。
「不穏な眠り」
亡くなった従妹から引き継いだ家にいつのまにか居座り、そこで死んでしまった宏香という女の知人を捜してほしいという依頼を受けた葉村。宏香を連れ込んだ今井という男の家を訪ねたところ、今井の妻に危うく殺されかける。今井は宏香の死後、家出していた。

★感想
葉村シリーズ、久々の短編を読みました。
さてさて、いよいよドラマと同じ設定のミステリー専門店” MURDER BEAR BOOKSHOP”の二階が住居となって、古書店員、時々調査員な生活を営んでいる不惑も過ぎた不運探偵”葉村”の物語。
毎回ドラマチックな展開で楽しませてくれる主人公の等身大の設定が私は好きです。
今回の短編の中でも、冒頭の「水沫(みなわ)隠れの日々」はラストが切なく、スッキリしない終わり方が、この作品からいつまでも私を離さずにいます。遥香がその後どうなったのか…様々に想像させられる物語でした。

どの作品も、陰惨な事件も含めて何故か重たくならないのは何故でしょう?
それはきっと若竹さんが、葉村晶と言う主人公を愛情込めて描いてるからなのだと思う私です。

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?