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花相の読書紀行№.93『アウトバーン』

組織犯罪対策課 八神瑛子登場

アウトバーン】/深町 秋生
<あらすじ>
躊躇なく被疑者を殴り、同僚に低利で金を貸し付けて飼いならし、暴力団や中国マフィアとも平気で手を結ぶ――。
警視庁上野署組織犯罪対策課の美人刑事・八神瑛子は夫を亡くして以来、その美貌からは想像もつかない手法で数々の事件を解決し、警視総監賞や方面本部賞を何度も受けている。
そんな瑛子が管轄する区域で広域指定暴力団・印旗会の組長の娘が刺殺された。瑛子は、悪徳刑事の排除を目論む上野警察署署長・富永昌弘から監視される中で、独自に捜査を始める。
だが、その矢先、手口が同じで、被害者の容姿も似た刺殺事件が、富永らキャリア警官から不審の眼で睨まれながらも、なりふり構わず連続殺人事件の真相に迫ろうとする瑛子。その胸中には、夫の死を自殺と断定した警察組織への激しい憎悪が渦巻いていた。
孤独で冷徹な女刑事の魂が躍動する、新・警察小説シリーズ第1弾!!
 
★感想
今回の作品が、初深町となります。
本作は、夫の死の真相を明らかにするため、ヤクザや警察組織と戦う八神瑛子シリーズ三部作の第1作目。
上野署組織犯罪対策課の女刑事“八神瑛子”、そのアウトローぶりは男顔負け、しかもスレンダーな超美人ときているから、男性にとっては申し分ないキャラクターですね。
舞台が、新宿、池袋、歌舞伎町ではなく上野という設定も珍しいかもしれません。
 
アウトロー警官と言えば、柚木裕子さんの『孤狼の血』に出てくる広島の呉原東署のマル暴刑事“大上”を思いだします。
彼は、悪に手を染め乍らヤクザの均衡を保つことで、カタギの命を守ることに奔走します。そのためには警察内の不祥事をネタに警察上層部をも抱え込み、自らの命も厭わぬことを正義としました。
 
そして本作の主人公もまた、悪徳警官となりながら、上司の富永署長や彼女を利用しようとするヤクザの裏をかき、自分の正義を貫きます。
その強さには、どこからくるのか?
そして彼女の異常なまでの冷徹さと、命を厭わない行動の裏に隠された真実が、この三部作の柱となっています。
叩かれても叩かれても立ち上がる不屈の戦士“八神瑛子”の今後が楽しみです。
 
ちなみにこの作品は、2014年8月に主人公“八神”役を米倉涼子で、フジテレビのドラマになっています‥‥が、主人公をはじめとする登場人物の言動やイメージがあまりにも原作と違い過ぎて、拍子抜けしました。(^▽^;)

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