「天穂のサクナヒメ」のかんそうぶん

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 面白かったです!!!!!!!
 もーそれはそれは夢中になってゲームしてました。プレイ中に感じたことなどをざっくばらんに書いてまとめていきます。
 クリアした人向けの感想になると思いますのでネタバレを少々含みますのでご注意ください。

 プレイしてない人は遊んでおいで!





■雰囲気と世界観について 

 結構多くの人々が「某、モノが忘れられた先にたどり着く世界」に魂を縛られていると思うんですけれど、まさにそういう人達の心に刺さる感じがすごくしました!

 某人里でこのような農業を営んでいるかどうかはさておき、脳内に幻想……的な風景がこう、広がりますよね? ひろがりました! 虫や鳥の鳴き声なんかも相俟ってもう完全にここは幻想の世界……ほんとそんな感じ……

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 こういう風景いいですよね……

 しかも神と人の関係性が割とふわっとしているというか、ガチガチに神性を発揮する感じというよりも、確かに神ではあるけれど言ってしまえば人の延長というか、神はやっぱ人間より凄いんだよな~くらいのゆるい感じのイメージで考えられるのもいい感じで、このあたりの価値観も凄くなじみやすくていいと思っています!!

 プレイ時は、和風ゲーでアクション気味で「神と人」ということでやっぱりかの名作「大神」と比較してしまう部分がありましたが、大神の雰囲気が好きな人はこのゲームもきっとプレイするべき運命にあるものなのだと思います。特に最終盤の「祭」は"信仰"という点でも大神のラストシーンと重なるものを強く感じました。


■「米を作る」という唯一性の高い体験について

 ゲーマーというのはお米を作らない人種です。
 なので、ほとんどの人が米作りの初体験を本作で済ませることになると思うのですが、田植えから水量の管理、肥料の状況確認、雑草、害虫のケア、稲刈り、稲木掛け、脱穀、籾摺り……と、お米作りを何も知らない人でもきちんと「お米を作った」という体験が得られるように設計されているのがたいへん素晴らしいところだと思います。

 むろんこれはゲームであるので、こうした諸作業の苦行の度合いは製作者に任されるところですが、その苦行の度合いがなかなか絶妙だと感じました。厳しくて投げ出すほどということはなく、しかしそんなに楽というわけでもない。それなりに頭を悩ませられ、苦労してお米を収穫する……くらいの塩梅で、最終的に実った稲穂で労が報われる瞬間を味わうには大変いいバランスだと思います。

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 実る稲穂にじぃんときますよね。

 パラメーター的にはかなりガチでシミュレートされているという話がよく聞かれましたが、それでもやっぱりゲームであることを捨ててはおらず、冒険しながら米を作っていっても割と何とかなるという、ゲームと米作りの時間配分のバランスをうまい事実現できていて、このあたりのバランス感覚がまさに……神! って感じでした。

 そして、その収穫したお米が夕飯の献立を豊かにしていくというのも非常にいいポイントだと思います。初の収穫後「今日は馳走じゃ!!たくさん食べろよ~~~!!」という感じに誰しもなったのではと思いますが、もうほんとご飯がすすむゲームですね。深夜にはプレイできないです。

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 サクナヒメはお腹が空くゲーム!

■戦闘システムについて

 戦闘システムもかなり良くできていて爽快です。羽衣アクションが追撃の自由度を高めているので、コンボで吹っ飛ばした相手をどう扱うか。ぶつけるのか、叩き落すのか、踏み台にして他を狙いに行くのか。想像力がそのまま戦闘力につながっていくシステムで大変良い設計だと感じます。
 
 そしてそこにサクナの「うぉりゃーーーー!!!!」だの「くらえーーーーー!」だのといった気合の入った掛け声が重なるものですから、今!自分は!敵を!殴っている!!!という感じがすごく伝わってきました。

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 『風車』のぶん回しは火力もさることながらその派手さと爽快感がウリ。

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 『雷霆万鈞』には大変お世話になりました。

 他方で、敵のダウンを許してしまうと敵が起き上がるまでの時間何もできず手持ち無沙汰になったり、そもそもキャラの挙動がややもっさりしていたり、移動周りに若干の不便を感じたりと、気になるところも若干見られました。

 総合的には、確かに爽快ではありましたが、若干粗削りなところもあったかなという印象です。


■キャラクターの話(そしてゆいが可愛いという話)

 キャラクターの設計がかなり簡潔でよいと思っています。

 サクナとタマ、サクナとココロワ、田右衛門と石丸、田右衛門とミルテ、ゆいときんた、と、かなり関係性が一対一ではっきりと設定されている感じで、変にこじれる要素があんまりないなと感じています。

 例えば、ゆいときんたはほぼこれで完結していて、ほかに同年代の何者かがいないため、そういう意味における関係性の発展の余地がさほどなく(サクナをここにさしはさむべきかどうかは議論の余地があります)
 そういう意味でキャラクターの相関はシンプルで、それゆえに変な意味で話の理解に頭を悩ませるようなことがないのがいいかな、という印象です。

 私個人はこじれた関係性が好きか嫌いかで言えば割と好きな方ではありますけれども、このゲームにおいてはそういうものはさして必要ないかな、という風に思っています。

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  激強方言少女最強我敗北危険

 さておき、何よりもゆいが可愛いです。
 公式に美少女といわれるのは伊達ではないですが、器量もさることながら、髪に挿した風車がワンポイントとなる服装も大変いい感じだと思います。買われた身にしてはちょっと上等過ぎない?とも思いましたが、どことなく漂う薄幸の少女感が凄いいいです。

 テキストはもとより、ボイスの発音もかなり丁寧に監修されている感じで、方言キャラとしてばっちり仕上がっているのも極めて好印象です。
 一人称「おら」に始まり「ごめんなしてけらいん」「頑張って覚えたんだおん」「何つくりすかや?」どれを見ても聞いてもああ……いいね……いい……ってなります!!

 性格もいいです。基本的に閉鎖的で、自分の目的の遂行を最優先させ、他者に手を上げることも厭わない、と好きな要素が集まりまくりです。最終的には成長して協調性を発揮していきますが、ゆいはそのままでいてほしいなと思います。

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 こういうことばっかりいう!!!!

 しかし、作中でもかなり謎の多い少女です。こいついったい何者なんだ・・・?!


■音楽について

 農作業が多い関係で、やはり家に居続けるので同じ場所の四季に合わせた曲の変化などがいい意味で耳につきます。個人的には冬のもの寂しさ、夏の弾む感じが楽しげでいいなあという印象です。こういう四季に合わせてBGMが変化するというので私的に好きなのはマリーのアトリエやモンスターファームなのですが……(古すぎる例え)

 やはり一番好きなのはメインテーマのヤナト田植え歌です。
 こういう曲は、往々にして「再現度」に悩むものだと思います。「田植え歌」を目指そうとしても、ガチの田植え歌にしすぎると現代の感覚でキャッチーなところを狙っていけなくなるかもしれないので、ほどほどに田植え歌にしながら、メロディライン、そして和音構成を組む……というあたりで悩むところではないかなと思います。
 この曲はそのあたりかなりうまいこといいところを取っているなという感じで、イントロのメロやAメロは極めて田植え歌的ですが、サビの進行は今風の気持ちいいところを狙っている感じだなーという印象を受けました。
 

■細かいお話

 ちょっと側面を変えますが、サクナヒメは「声の力を実感するゲーム」だというのが私の率直な感想です。

 前述のとおり、戦闘システムは素晴らしく爽快ですが、痒い所に手が届かず100点満点ではありません。キャラCGもよく言っても素朴、美麗とはいきません。ムービーも止め絵中心ですし、ラスボスの登場シーンをはじめ、重要なカットシーンの演出もいまいち豪華とはいかず、アクションパートを中心に、正直もうちょっとどうにかならないか……?というところもありました。このあたりは、資本力に支えられたゲームメーカーの作品と比較するとどうしてもクオリティ的に一歩譲るところがあるのではないかという風には思います。

 
 他方、声優さんの力がこれを滅茶苦茶押し上げています。前述のゆいもさることながら、とりわけサクナの演技は出色で、ロリ神として傍若無人にふるまいながらも、特定のシチュエーションでは堂々と威厳を備えた神として、そしてときには外見相応の幼さをもつ少女として、様々な表情を見せるサクナの名演、そしてそれを実現したディレクションは素晴らしいの一言です。

 資金力では及ばないとは書きましたが、キャラクターや設定にかける執念は資本力の差を補って余りあるという感じなのかもしれません。 

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  サクナの声はずっと聞いていたくなりますね。

■終わりに

 大変いいゲームでした!なんというか、プレイしていて日本人として血が騒ぐといいますか……?懐かしい気持ちになれるというかなんというか……様々な意味で殺伐としないゲームです。それは、心が優しくなれるというよりも、何かこう、総合的に「ああ、何かいい体験をしたな」という感傷を得られるゲームだったなと思います。


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いいゲームでした。DLCも来るのかもしれないかと思うと楽しみです。

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