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気付いたら一言も喋らず読書会が終わっていた

集団会話が苦手だ。

一対一の会話は苦手意識無くこなせるものの、4人以上の会話となると発言がまったく出来なくなる。

これは学生時代からずっとそうで、確か新卒面接のグループディスカッションでも「発言が少なすぎる」との理由で落とされた記憶がある。とにかく集団での自己主張が限りなく苦手である。

今日参加したオンライン読書会では、ついに一言も発すことが出来ないまま終わった。これはなかなかの自己嫌悪に陥った。

6人ほどでの2時間の読書会だったが、今思えば最初の30分発言しなかった時点で勝敗は決まっていた。30分経過したあたりで発言したいことが頭に浮かんだのだが、「いや待てよ、いままでずっと無言だった奴がいきなりしゃべり始めたら変な奴だと引かれるだろうか・・・」という不安が頭に浮かび、結局発言できなくなってしまった。

しかも運悪く、私はずっとマイクをミュートにしていた。他のみんなは、マイクをオフにして相槌やちょっとした一言も気軽に発して一体感が出ていたが、私はいくら声を出して「あーわかるわかる」と相槌をしようとも、その声がみんなに届くことは無い・・・。突然私がミュートを解除しようとしても「いや待てよ、いままでずっとミュートだった奴が・・・(以下同文)」となり、結局終始ミュートのままでいるしかなかった。

受け身な性格もあり、誰かが気を使って指名してくれれば発言できるんだけどなぁ・・などと淡い期待を抱いていたが、そりゃ何も発言しない怪しい人間に気を使って指名してくれる心優しい人間なんてめったにいない。(指名していただいたとて、「めっちゃ気を遣われている・・・」と、それはそれで自己卑下に陥るのだが・・。)逆の立場になって考えてみてもそうだもの。終始無言の奴がいたら「なんでコイツここにいるんだ?」って不思議に思う。私は終始相槌を打ったり笑顔を浮かべたりして、話聞いてますよ感を出すことに徹した。

そもそも人はなぜこんなにも自分の考えを他人に披露したいのだろうか。私が今発言したい、その欲望を叶えることで社会が良くなるわけでも環境問題が改善されるわけでも政治家が真面目になるわけでもない。ただただ自己の欲求が満たされるだけである。それなら、別に発言しなくても良いのではないか・・・。

最後の方はそんな風に自己肯定に徹して、本の内容どころではなくなってしまった。

会話は盛り上がり、予定時刻をオーバーして盛り上がる他の参加者たち。一人怪しい笑みを浮かべながら参加してる感を出している私。この状況だけでも相当気まずかった。私は早く抜け出したかった。過去の私なら無言でブチっとZOOMから退出してしまっていたが、さすがにそれだと印象悪すぎということはここ数年で学んできた。ということで、「そろそろ失礼します。」とメッセージを書いて退出しようと思った。これも「今まで何も発言してなかった奴の最初の発言がこれかよ笑」と嘲笑われると思ったので、そのメッセージを送信してからみんなの反応が返ってくる前に即座に退出ボタンを押した。





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