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自動車教習所のあの子

私は成人してから地元の自動車学校へ、通いの申請をした。だが、アル中で自律神経がやられて汗だくだく、精神ボロボロで中退した。しかし内定先は免許必須だった。どうしようかと思いパンフレットをめくっていると「岩手二週間〜万円!」という広告を見つけ、応募した。めっちゃ安かった。
行ったことのない東北に着くと、訛りが強すぎて何を言っているか分からないおっさんが迎えに来てくれた。
おっさん「〜◎※×□だ!?」
私「はい!岩手の自動車学校へ!」
こんな感じ。
そのバスには、DQNの男と大人しそうな女の子がいた。二人とも友達連れではないようで、みんな無言で自動車学校に向かった。
無事自動車学校に着き手続きを済ませ、大体の教習をした。仮免時は全員合格し安堵した。その時、大人しそうな女の子だけテストが満点でボールペンをもらっていた。エレベーターでその子と同乗して気まずかったので、勇気を振り絞り「すっすごいですね、満点!」と話しかけたら彼女は「これ、なんですかね〜?笑」と言っていた。
どうでもいいが、私は生来の真面目な性格で、無事試験を突破できたが、アル中なので雪道を歩いてこっそりウイスキーと炭酸水を買い、夜な夜な飲んで寝ていた。ブラックニッカの瓶を置いて寝ていたら、翌日の昼になくなっていた。清掃の方が片付けてくれたようだ。チクらないでくれてありがとう…
〜中略〜
なんとか合宿組も全員卒検に受かり、バスで駅に送ってもらった。ただ、クソバカ田舎だったので次の新幹線までしばらく時間があった。その時、彼女がキャリーケースを足に引っ掛けて転けてしまった。私は意を決して(陰キャは声をかけるにも一仕事かかる)「わっ大丈夫!?」と声をかけた。彼女は「へへ…」と笑っていた。私が男なら一瞬で恋に落ちていたようなあどけない笑顔で。
駅で、数原龍友みたいなDQN男(決して悪い奴ではない)と彼女と私で新幹線を待っていた。私が珈琲を買いちびちび飲んでいると、彼女が何も言わず、私の隣に座ってきた。他にも席が空いているのに。その時、ガラガラな待合室で私の隣に座ってくれるということは、私には少し心を開いてくれたのかな…そっか、フヒヒ…と思った。そこで私は彼女に話しかけようとしたが、あまりにもコミュ障のため無言で過ごし、無言で車両に乗り、帰った。
彼女は今、何をしているのだろう。ちゃんと運転しているのか、私のようにペーパードライバーになっているのか…私には知る由もないが、どうか穏やかでいて欲しい。

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