AI、自動化の世界をくぐる

我が家の冷蔵庫を新しいものに取り換えた。
冷蔵庫としては機能するが、観音扉の一部が破損しており、きっちり閉まりにくい状態になっていた。まあ一応使えるのだが、毎回のように「ちゃんと閉まってないよ」とピーピー警告音を発せられるのがストレスになっていた。警告音を出させないためのコツをそれぞれ家族は習得しているが、、こうした小さなストレスを放置しておくのは人生の質を下げてしまう、ということで新しい冷蔵庫を買うことにした。とっとと替えればよいのだが、ちょっとばかし面倒くさい事情が我が家にはあり、それが理由で不具合冷蔵庫をそのまま使い続けていた。

我が家は家族が多いこともあり、大きめの冷蔵庫を使っている。
面倒くさい事情とは

  • 戸建てでキッチンが2階にある

  • 階段が狭く、手すりを取り外す必要がある

中古物件を大規模リフォームした我が家は水害対策として2階に生活空間を持って行った。リフォームの際、今使っている冷蔵庫はすでにあったため、”理論上”、手すりがあっても冷蔵庫が通るだけの階段幅で設計施工したが、現実の作業工程的には無理のある寸法だった。

今回の冷蔵庫更新で下見に来てくれた業者さんいわく、
「手すりを事前に外してください」
とのこと。運搬業者さんでは外す作業をしてくれないので、こちら側でなんとかするしかない。懇意にしている建築業者さんがたまたまいたので、対応してくれてラッキーだった。
実はリフォームのときは手すりをつけた状態で何とか冷蔵庫を2階に持っていくことができたので、今回も手すりを外さずにイケルのでは?と期待していたが、上りと下りでは難易度が違うらしい。発注側としては前回通ったという実績を盾にして、手すりを外さず何とかしてよ、という気持ちではあったが、業者さんがやりやすいようにということを最優先した。

作業を見ていたが、壁などを傷つけないよう冷蔵庫を養生材でくるむため、冷蔵庫の実寸法よりも養生材の分の厚みが増えてしまっていた。設計者が考える机上の計算に養生材の厚みは入っていない。前回冷蔵庫を2階に上げた時は結局、仕方なく養生材を外していた。別に設計者を責めるつもりはない。10年に一回程度の作業のために、必要以上に階段幅を大きく取って、周辺の部屋のサイズを縮めるのも非合理かもしれない。日常で使う分には適度な階段幅であるのだから。

ここにきて主題に初めて触れる。
冷蔵庫の撤去&設置をしてくれた業者さんの動きを逐一見ていた。
戸建て住宅という特異な状況で、最適な解を考える。しかもブツを動かしながらチームワークで、肉体を使って、任務を完遂している。

  • ChatGPTにはブツを動かす能力はない。

  • 工場のように規格に合わせて動けるわけではない。

  • 住宅への冷蔵庫搬出入用の汎用装置など今のところは作れそうにない。

冷蔵庫の搬出入作業をみたところ、
「人間の経験と勘、肉体労働が最適解」
と思しき業種はAI・自動化に置き換えられることは当面ないだろう。
私としては彼らがスムーズに作業をしてくれたことに非常に感謝している。
冷蔵庫更新という目的が滞りなく達せられたからだ。
追加の請求はあるものの、かなりリーズナブルに感じられる金額だった。作業リーダーの方が冷蔵庫の下に敷く断熱マットを提案してくれた。ネットで安く買えるかもしれないが、彼らの働きを見たら、断る理由など無い。報いて差しあげたい!という気持ちで了承した。

私の会社はアルミをはじめ金属のリサイクルを生業としている。自動化できる部分は進めているが、人手に頼る部分も多い。今のところ、世の中的には低く見られている業種のような気がしている。
生産工程において、モノを作るという部分を自動化することに意識も投資も向いているが、「排出工程」はハッキリ言ってオマケだ。誰でもできるようで、そう簡単に真似できない。私はここに勝機と付加価値があると思っている。

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