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粗利至上主義【書評】

粗利至上主義
~赤字経営から脱却する最もシンプルな方法~
著者:中西宏一  幻冬舎


きっかけ

本書を知ったきっかけは日経新聞で大きめに広告されているのを見かけたことだったと思います。
タイトルを読んだ瞬間、私の考え方と合致することは分かっていましたが、”粗利至上主義”を一冊の本にまとめるほどの理由は何なのか知りたくなり、購入しました。

”売上至上主義”の何が問題なのか

本書では、”売上至上主義”が企業を倒産の危機に陥れると主張しています。
私はこの考えに賛同しています。
売上の増加はキャッシュの減少につながるからです。業種にもよりますが、
大半のビジネスでは仕入れや製造が売上よりも先のタイミングで必要になります。売り物がなければ売り上げはたちませんからね。ということは仕入れや製造に伴う人件費や外注費を売上よりも先に支払っていることになります。
そして企業間取引(BtoB)では売上は即現金化されず、売掛金という状態で支払期日まで待つことになります。現金商売と売上とキャッシュが同じタイミングなので、いち早く現金を手に入れることができますが、経費が先に出費されていることには変わりなく、売上を大きくするには、売るものを先に準備しておかなくてはなりません。そしてそれらが全て売れるとも限りません。
また売上イコール”儲け”ではありません。当然です。売上から経費を差し引いたものが利益だからです。利益がゼロより大きければ”儲け”となります。
ところが売上だけ見ていると、損を出している場合があります。
売上だけ見ている経営者なんているのかと思いますが、私は意外と多いと思います。とにかく金額の大きい仕事をとって、売上が増大すれば、会社が成長していると錯覚することが原因だと思います。もう一つ理由をあげるなら売上はもっとも算出が簡単な数字だからです。請求書の金額を足し算するだけですから。
売上至上主義の極端な例ですが、100万で仕入れたものを90万で売ると、相場よりもコストメリットがあると買い手に判断されやすいでしょうから、販売量が増えるでしょう。しかし売上は増大していきますが、売れば売るほど利益はマイナスが広がっていきます。

粗利の算出はハードルが高く、面倒くさい

粗利=売上ー売上原価
という簡単な計算式で表されます。
では売上原価とはなんでしょう?
売上原価=期首商品棚卸高+当期商品仕入高-期末商品棚卸高
という式で表されます。
言葉が難しいので簡単な言葉に直すと
売上原価=在庫商品で売れたもの+仕入高-在庫商品で売れ残ったもの
となります。商品棚卸高とは在庫商品の金額のことです。
計算自体はとても簡単なものです。
しかし実務では大きなハードルがあります。
それは在庫商品の金額を正確につかむことです。
これがなかなか難しいのです。
どれほど難しいかというと、在庫管理ソフトウェアという分野だけで大きなビジネスになっているほど奥深いものなのです。

世界の在庫管理ソフトウェア市場規模は、2022 年に 19 億 8000 万ドルと評価され、2023 年の 21 億 3000 万ドルから 2030 年までに 40 億 5000 万ドルに成長すると予測されています

https://www.fortunebusinessinsights.com/jp/B4-108589

従って、多くの小企業では、正確な在庫商品の金額をつかむことが面倒なため、粗利よりも売上を指標としてしまうのです。
在庫金額をつかめないと粗利益がつかめません。粗利益がつかめないということは営業利益や経常利益が不確かなものになってしまいます。それは会社経営を行う上で非常に怖いことだと思います。

まとめ

書評というよりは、読書がきっかけで、私の粗利に対する考え方を述べただけの配信になってしまいました。
この取引でいくらの粗利が見込まれるのか?
何をしたら粗利が増えるのか?
何をやめたら粗利が増えるのか?
本書の言う通り、粗利をベースに考えると、ビジネスが安定してくると思います。
毎月の固定費以上に粗利を確保できれば黒字ですからとてもシンプルですね。

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