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プラスチックの味がするご飯

中学生のときに両親が離婚しました。理由は性格の不一致。母親の実家に引っ越すため、地方の田舎から関東圏の都会へ。

転校したので環境の変化のストレスはあったものの、都会への憧れからわくわくする気持ちの方が大きかったです。あとわたしも父親と性格が合わなかった。

前の家では、父親の実家が農家だったためお米も野菜もタダでした。子どものお手伝いとして、敷地内にある倉庫から夕飯の材料を取ってくる、というのがあったのですが、じゃがいもも玉ねぎも大量にあって取り放題。大きさと個数の指定をされ取って来る、というのが日常でした。野菜はスーパーで買ったことがないと思います。

離婚後、父親側とは完全に縁を切ったので、金銭的な援助はもちろんありません。(母の意向)
こっちに来てから、お米と野菜って買うものなんだ、と驚きました。

母の実家なので祖父母と一緒に住むことになります。引っ越してきて初めてごはんを食べたとき、お米があまりにもおいしくなくて、なんだかプラスチックの味がして(食べたことないけど)、食べれない…と残してしまいました。ごはんを出してくれた祖父母には悪いことしたなと思うけど、でも、自分にとっては食べられないほどの味で。そもそも食べ物の味じゃない感じというか…この味をふつうに食べている人がいるんだ、と驚きました。

前の家に住んでいたとき、お米を特別おいしいと思ったことはありません。自分にとってはこの味が当たり前すぎたし、他の品種を食べたことがなかったからだと思います。大人になってから知ったのは、当たり前に食べていたお米がブランド米の最高級品だったということ。

今もずっとこっちに住んでいますが、もうプラスチックの味はしません。自分の舌が慣れてしまったのかなあ…と思っています。

すごくすごく恵まれた環境にいた。気づけなかった。ありがたみが分からないまま食べていたのが、すごくもったいなかったなと思います。子どもだったからしょうがないのかもしれないけど、今だったらすごくありがたく頂くのになあ、と。

今いる環境も、本当はとても恵まれているんじゃないか。雨風しのげる家があって、ここ数日寒いけど、暖房がある家に住んでいる。

当たり前は本当は当たり前じゃないということに、自覚的に生きていきたいなあと思うのです。

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