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ぺしゃんこの心を抱きしめて。


何をしていても自分という人間が惨めに思える時がある。

才能の無さも、特別で無さも、何者にもなれなさもコンプレックスでしかない。
生きる事を許される理由が欲しくてたまらないのにそれを手放しに得れる人間なんてほぼ存在しない事にも気が付いてしまった28歳。

希望的観測で走り出すにはあまりにも不安定な足取りだ。

虚無感のごった返す感情を鎮める為にインスタント的に生きる事しかできない自分の行き止まりを結局恥じて引き返す事も出来ない。
私がこの世界を生き抜く為の酸素ボンベの残量はとっくに赤になっている事を自身が気づいてしまっていて、素直に言ってしまえば何もしたくない、限界だ。
それでも「世の中はもっともっと辛い人やもっと頑張っている人だらけだ、お前なんか」と知らない誰かが耳元で囁いて、いとも簡単に今の私の人生を否定する。

確かに何もかも足りないのは自分のせいで生きる許可さえ自分自身に胸を張って出してあげられない、立って、息をするだけで精一杯なのだ。
もうやめて欲しい、許して欲しい、逃げたい。
目の前に突きつけられた現実や世の中の常識を再確認させられる度、崖から背中を押されたような気分になる。

何も無ければ認められないし、否定される、そんなもんは当たり前でそれに一々と傷ついている方が馬鹿らしい事も理解しているのに私は噛みつき返す事も出来なければ自分の能力で相手を黙らせる事も出来ない、つまらない人間だ。

本物の「非凡」は一握りの天才だけで私の様な人間がそれを手に入れたければ努力するしか無いんだろう、はりぼての大人になってしまった今、それがあまりに辛くてしんどくて仕方ない。
全てを見透かす様に私を嘲り笑う人達に中指を立てる勇気もないからへらへらと笑って、隠れてメソメソと泣いて、気持ちが落ち着くとどうしてお前なんかに私の気持ちを踏み荒らされないといけないのだという怒りが湧いてもそれすらこうやって文字の中でしか消化できない。

ぺしゃんこだ、この心はもうぺしゃんこなのだ。
それでも私はそれを丁寧に拾って、抱きしめて、大切に抱きかかえてやっぱり生きていくしかない今日だった。








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