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深夜、電子レンジの光。


真っ暗な部屋で寝れずに4日目が過ぎた、午前4時、目を閉じても閉じても夢の中へ入れてもらう事はできなかった。

確かにいつだって夏は憂鬱になってしまうし、あまりにも暑くて不幸の彩度がどんどん上がって、ぐらぐらと気持ちが揺れる。
ただここまで眠れないなんてこんな事、人生で今まで一度だってなかったのに、と不思議に思う。
意外にも繊細な心を持ち合わせていたんだなと可笑しくなってしまった。
毛布にくるまって、エアコンの音、鳥の声、街の音を聴く。

意識を散らそうと頑張るが考えれば考えるほどに嫌になる程にはっきりと覚醒してしまう。
息が詰まる、心臓が嫌に早くなって、目が回る、苦しくなってフラフラとキッチンに向かい、とりあえずなまぬるい水を飲んだ。

嚥下する喉が痛い、頭の中でビデオの早送りの様に思考がギュルギュルすごいスピードで巡って死にそうだ。
消えたい朝が続いて、終われない夜が来ると当たり前みたいに襲ってくる希死念慮に怯えながら耐えるしか無い、これは台風みたいな物なのだ。
じっと、じっと、耐えるしか無い。

こうなった明確な傷はわかっているし、それが全く持って自分ではどうしょうもない事だからもうお手上げなのだ、私は不幸を愛しているけれどその重量が重過ぎて耐えきれなくなる時がたまにある。

何となく胃に物さえ放り込めば安心するような気がして適当に皿に放り込んで電子レンジに放り入れた。

ピッと言う音が鳴り、暖かいオレンジ色の光が部屋をぼんやりと照らして、小さく、ごうん、ごうん、と皿が回るのをじっと見つめる。

抜け出せない夜に私はちょっとだけ泣く事にした。


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