ジャージー・デビル・プロジェクト(1998)
THE LAST BROADCAST ジャージー・デビル・プロジェクト(1998)
原題:THE LAST BROADCAST
製作国:アメリカ/上映時間:86分
監督 ステファン・アヴァロス
ランス・ウィーラー
脚本 ステファン・アヴァロス
ランス・ウィーラー
キャスト
デヴィッド・ビアード
ジム・スワード
ステファン・アヴァロス
ランス・ウィーラー
レイン・クラバース
ミシェル・プラスキ
ゲテモノ度:65
*この映画は未見の方がネタバレを知ると、初見の面白さが格段に損なわれる危険があるため絶対にレビューを読んではいけません!
◎この映画がもたらした革命
この映画は本当にヤバイ
とにかく観て欲しい映画
役者の演技も下手、画質もボロボロ、SFXも無い、チープな演出、中だるみもある…この映画には普通の観点でみれば良い部分など全然ない
でも映画好きならば必見の作品
この映画が行った映画史上初のアイデア
・今の擬似ドキュメンタリーの雛形を作った
・世界初のデジタル撮影
・世界初のネット配信
・ドキュメンタリーという世界観を逆手に取った叙述トリック
などなど…
実はYouTubeの配信動画とかの起源でもある
こんな先見性がある映画が世間では全く評価されないし、お偉〜い映画評論家様からも全く見向きもされず…DVD化も無し!ゴミのように負の遺産として忘れ去られている
本当マジで信じられないんだけど…🙀
もしかして私の感性がおかしいのか…?と疑心暗鬼に…
この私自身がジャージーデビルに取り憑かれていた説!!!
◎暗鬱たるあらすじ
パイン・バレンの森の中、撮影中の4人のスタッフのうち2人が怪死し、1人が行方不明になるという猟奇事件が起きる。
事件の中心には『ジャージー・デビル』という伝説の怪物が関与していると噂されていて、真相を追って主人公のドキュメンタリー監督デビッド・リーが調査するというモキュメンタリー形式のミステリー映画。
伝説の怪物ジャージーデビル
そうこれはホラー映画しかりミステリー映画
最後の最後にちゃんと衝撃の種明かしが待っている
…が、結局は真相は闇の中という感じ…
種明かしあるのにモヤモヤする終わり方って、悪どいなぁ…😅
寒々しい鬱蒼とした森をずっと彷徨うような…
まるで『まっくら森の歌』を映像化したような映画😂
暗くて寒々しい殺風景な森、パインバレン
◎ドキュメンタリーでしか表現できない
ドキュメンタリー形式というジャンルの限界を始祖であるこの映画が全てやってしまっていると感じた
ブレアウィッチがこの映画の表面を真似して盗作問題になったらしいが、方向性は全く異なる
(ブレアウィッチ″が″真似してるのだ!)
ブレアはよくあるオカルトホラーをドキュメンタリーで再現してる映画だが
ジャージーデビルは絶対に
『ドキュメンタリー映画』でしか表現できない物語
たしかにストーリーはツインピークスを彷彿とさせる感じはするけど…
普段ホラー映画に全く怖がらない私が、この映画ではガチビビリだった
魔女や幽霊などで怖がらせるオカルト映画とは違い、どちらかと言えば正気度がすり減るようなラブクラフト小説のような精神的恐怖がこの作品にはあった
◎監督デビッドの徹底した取材
TV局のクルーを含む4人が、伝説の怪物ジャージー・デビルを探すという番組制作のために、パイン・バレンの森へと向かう。ところが、翌日森から戻ってきたのはジム・スワードという男一人だけ。他の3人のうち2人は、惨殺死体となって発見される。容疑者として監禁されたジム・スワード、しかし精神に異常をきたしていたスワードはその後刑務所の中で自殺を遂げる
この事件の真相を突き止めてジム・スワードの無念を晴らすべく、ジャーナリストのデビッド・リーが取材する
(ちなみにデビッドの吹き替え声優はワンピースのサンジ役、平田広明氏!!)
そのデビッド・リーの撮ったドキュメンタリー映像が本編なのだ
彼は警察とスワード担当の精神医、両方へ公平に取材を行い事件を立体的に考察していく、デビッドの熱意あるジャーナリズムに呆れ半分のカメラマン
物語が佳境に入った時、取材に行き詰まり
『事件は迷宮入りだな…』
と思いはじめた時…衝撃の展開が…!
(アンビリバボー風)
◎謎のビデオテープ
主人公デビッドの元に
『謎のビデオテープ』が送られてくる!
テープには番組のスタッフの一人を殺害した人物がうつっているようだ!
すぐさま女性のVHS解析班にテープを渡し、デビッドは再び鬱蒼とした森の中へと調査しに行く!
果たしてビデオには何が写っていたのだろうか…?
◎事件の真相
ここから先はネタバレになっていますので、未鑑賞者は絶対に読まないで下さい!!
一日かけてビデオテープを修復した解析班の女性
ビデオテープを再生すると…
なんとそこには主人公デビッド・リーの姿が!!!?
そう、真犯人はデビッドで
彼は『信頼できない語り手』であった!!
そしてこの瞬間カメラが猛スピードで女性に迫り…!
解析班の女性を捕まえて殺害するデビッド!!
そして撮影用のデジカメを手に一息つくデビッド
あれ…?なんかおかしくない?
今デビッドが撮影カメラを持っているなら…
我々が見ているこの映画は誰が撮っているんだ!?
それにこのドキュメンタリーっぽくない演出…普通の劇映画っぽくなった!?
この俯瞰っぽいカメラワーク、ドキュメンタリーっぽくない!?
そう!この映画、おそらく最初から
『擬似ドキュメンタリー映画』じゃなくて
『劇映画』だったのだ!!
我々はよくあるモキュメンタリー形式の演出で騙されていたが…
実は最初からデビッドという悪魔に取り憑かれたジャーナリストが主人公の劇映画だった!
全編手ぶれカメラや番組映像なのでドキュメンタリーと勘違いしてしまったが、実はモンタージュ理論を駆使した普通の劇映画だった!?
(この辺かなり意見分かれそうだけどね、実際ラストだけドキュメンタリーから劇映画にチェンジしたという見方もあるし)
劇映画を擬似ドキュメンタリーだと思わせる高度な叙述トリックが駆使されていた!!!!!
そのトリックのおかげで真犯人がデビッドだと想定することはまず不可能…
荒い部分もあるが、逆算されたハイレベルな脚本である!
◎その後…
車で寒々しい鬱蒼とした森を走るデビッド
女性の死体を遺棄した後
『私はかならず真相を見つけ出します…私はかならず真相を見つけ出します…私はかならず真相を見つけ出します…私はかならず真相を見つけ出します…私はかならず真相を見つけ出します…私はかならず真相を見つけ出します…私はかならず真相を見つけ出します…私はかならず真相を見つけ出します…私はかならず真相を見つけ出します…』
…と小声で呟き続けるデビッド
暗くて殺風景な樹海がフェードアウトしておしまい
結局デビッドは精神異常者だったのか?本当にジャージーデビルに憑かれていたのか?
真実は藪の中…
鑑賞後も暗くて憂鬱な気分が続き
ずっと森の中を彷徨っているかのような気持ちになる…
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