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子どもの結婚の現状を知っていますか? | みさき

こんにちは!みさきです。
国際協力メディアのnoteを訪れてくださり、ありがとうございます!


さて、私たち国際協力メディアの活動は、2022年の4月から始まりました。

皆さんは、日本で2022年の4月から変わったこと・新しく始まったものというと何を思い浮かべますか? 

様々な話題が出てくると思いますが、成人年齢が18歳に引き下がったことは特に大きな変化だったのではないでしょうか。日本ではこの成人年齢の引き下げに伴い、結婚できる年齢も性別に関係なく18歳からとなりました。

結婚年齢の制定には、早すぎる結婚によって生じるリスクから子供たちを守る役割があり、世界の多くの国々で導入されています。しかし、今なお世界には様々な背景から、早すぎる結婚による弊害を受けている子供たちがいます。早すぎる結婚は、「児童婚」とも呼ばれます。

今回は、児童婚の現状とその影響、また児童婚を削減する取り組みについて取り上げます。


1.児童婚とは?

 ユニセフの定義によると、児童婚とは18歳未満での結婚を指します。

世界では毎年1200万人の女の子が、18歳を迎える前までに結婚しているといわれています。児童婚は圧倒的に女の子の割合が高いですが、男の子がその対象となることもあります。また、低所得国・高所得国どちらにも児童婚は存在しています。

 現状としては、2021年までの10年間で児童婚を経験した女性の割合は25%から21%へと減少しました。これは、18歳未満の女子への支援活動や児童婚の弊害に関する広報活動が積極的に行われた結果です。
 しかし、依然として南アジア・サハラ以南のアフリカといった地域を中心に児童婚は起こっています。


2.背景にあるものは?

18歳未満の子供が結婚する背景には、どのような理由があるのでしょうか?
ここでは、主な理由を4つ紹介します。

①貧困
 扶養費や教育費などの負担を減らし、子供の新たな生活場所をつくるために親が結婚先を探してくるケースがあります。特に子供が多い貧困家庭にとっては、子供の養育費は大きな負担となってしまうのです。
また、結納金を目当てに娘を結婚に出してしまう事例も報告されています。

お金のために家族から切り離されてしまう悲しさや苦しみは、想像を絶するものではないでしょうか。家族や結婚先の生活が経済的に安定するとしても、子供にとっては結婚が決まった時点で、その先の暮らしは決して明るいものとは捉えられないはずです。また、家族にとっても子供を送り出すことが耐え難い苦痛であることは想像がつくでしょう。

しかし、これが「現実」として突きつけられているのです。


慣習・法律
世界のいくつかの国や地域には、結婚儀礼のひとつとして女性側が夫の家庭に「持参金」を渡す慣習があります。これは貧困とも結びつきますが、その金額が少なくて済む少女のうちに娘を結婚させる親もいます。

また、国によっては結婚年齢が未制定だったり、その年齢が低い場合もあります。例えば、マダガスカルやモザンビークでは少女は14歳から結婚が可能であり、イエメンでは女性の結婚最低年齢が制定されていません。

もちろん、文化や習慣、大切にされる価値観は地域によって異なるので、一概に評価や否定はできないと思います。だからこそ、このような慣習が背景にある児童婚は、減少しつつもなくなりづらいという現実があるのではないでしょうか。

③教育の欠如
世界銀行グループの報告書によると、初等教育のみ、あるいは初等教育すらも受けていない女性の65%は幼くして結婚を強いられています。
十分な教育を受けずに自ら意思決定する判断力自立的な生活能力を養うことは、かなり困難です。そのため、生活するために女子が結婚という形で男性に依存せざるをえない状況が生まれてしまうケースもあります。

④需要の存在
児童婚を成立させる要因は、子どもを結婚相手として受け入れる立場の人間にもあります。

例えば、成人した花婿にとって若い女性を結婚相手に迎えることはメリットが多いと考えられます。具体的な内容としては、若い女性は出産可能期間が長いこと家事能力を期待できること、コントロールしやすいことなどが挙げられます。


3.児童婚の影響は?

複雑な背景のもとに起こる児童婚ですが、実際、児童婚は子供にどのような影響を与えるのでしょうか?

① 心身への悪影響
児童婚は、子供の心身に弊害を引き起こします。たとえば、

・ 子供が配偶者からの暴力や虐待にさらされる危険性
 ・少女の早すぎる妊娠・出産に伴う合併症で死亡する危険性
男子が幼くして家庭を養うために精神的・肉体的な負荷を負う可能性

などが挙げられます。

特に、妊娠・出産に伴うリスクは、体が十分に発達していない子供だからこそ起こりやすい弊害です。また、男の子が花婿になる際、子供ながらに大人の責任を負わされ、子供としての自由が大きく奪われています。

本来、子供を守ることが出来る立場にある大人たちの意向や行動によって、子供の命や自由が脅かされてしまっているのです。



② 教育の機会の減少
 結婚したことで、教育の機会を奪われてしまう子供がいます。理由は家事や妊娠、家庭を養うため、など様々です。また、子供たちは学校教育を受けられない他、保健衛生の知識を身につける機会も奪われることが指摘されています。

結婚自体で子供としての自由が奪われる上に、教育を受ける権利や機会まで奪われてしまうことを考えると、児童婚を肯定的に捉えることはかなり難しいです。


4.児童婚に対する取り組み

児童婚による弊害に対して、世界では国の政府やNGOが児童婚の撲滅に向けた取り組みを行っています。

〈子ども・家族を対象とした取り組みの例〉
教育や保健サービスの提供
・農業・畜産技術のトレーニングを通した収入向上の支援
・女の子、男の子を対象とした性に関する権利の教育の提供

・児童婚の危険性を伝える集会、家庭訪問の開催
など

〈地域コミュニティを対象とした取り組みの例〉
・結婚可能年齢を18歳以上とする法律の制定を促進
・児童婚防止を啓発するラジオ放送の作成
学校や行政と連携し、ジェンダー平等や女子教育の推進
など


[取り組みを行う団体・組織の一例]

ユニセフUNFPA(国連人口基金)
『児童婚を終わらせよう-行動促進のためのグローバル・プログラム』を共同で行っています。これは、2030年までの児童婚撲滅を目指して2016年から始まったプログラムです。アフリカ、中東、南アジアの12カ国で1,400万人以上の10代の女の子に支援を届ける内容となっています。

【参照】児童婚撲滅を目指して 行動促進のためのプログラム継続 ユニセフ・UNFPA 共同声明 (unicef.or.jp)


国際NGOプラン・インターナショナル
「早すぎる結婚」で侵害されうる子供の権利を守るために、東南アジア、南アジア、アフリカなどの地域で支援活動を行っています。女の子を対象とした支援はもちろん、男の子や地域の住民も巻き込んだ活動を多角的に展開しています。

【参照】[特集]「早すぎる結婚」の現実 ~幼い年齢で奪われる未来~|国際NGOプラン・インターナショナル (plan-international.jp)

児童婚は、貧困や慣習といった地域の土地柄や特性に根差している要素が多いたため、問題点の解決策には地域の枠を超えた客観的な視点を取り入れることが不可欠だと感じます。他の国や地域だからこそ捉えやすい事実や、改善点を反映させる形での国際協力が必要だと考えられます。

また、直接的な影響を受けている子供たちの周りの大人や環境への働きかけも並行して行うところが、児童婚に対する取り組みの重要なカギだと感じます。周りの大人の理解があることで、児童婚を生まない環境を作り出せるのではないでしょうか。


5.私たちが出来ることは?

さて、ここまで、今なお年間1200万人の女の子が児童婚を経験している現状や、児童婚の背景にある貧困や社会的風習の存在について書いてきました。また、世界規模で行われている対策についても紹介しました。

それでは、児童婚に対して私たちが起こせるアクションは何でしょうか?

実際に現場での支援活動がもちろん有効ですが、かなりハードルが高く感じられると思います。ここでは、実践しやすいアクションの例を二つ紹介します。

①支援団体への寄付

街中で街頭募金や募金箱を見かけることがありますが、募金活動を行っている団体が取り組もうとしている内容について具体的な背景を知り、取り組む必要性に共感できたら協力しようと思えますよね。

支援団体は数多く存在しますが、この記事で紹介したユニセフやプラン・インターナショナルに対しても、個人から寄付を行うことが出来ます。インターネットコンビニからも協力できる上、1回限りの募金から継続的な募金まで様々な形態があるため、実践しやすいです。
また、個人や自分の仲間と一緒に街頭募金活動を実践するという手段もあります。

【参考】
ユニセフ募金-あなたの募金・ご寄付が子どもたちの命と健康を守ります (unicef.or.jp)
13歳で結婚。14歳で出産。恋は、まだ知らない|世界の女の子に、生きていく力を|国際NGOプラン・インターナショナル (plan-international.jp)


②現状の認知を広める
児童婚に限りませんが、この話題を身近な人と共有してみたり、SNSで情報発信を行ったりすることで、この事実の認知を広めることもできるのではないでしょうか。
世界に存在する問題は、一人でも多くの人が認知・協力することで解決に向かっていくはずです。私自身も、この思いで記事を書きました!


6.まとめ

今回は児童婚を取り上げました。
最後に、ここまでの内容をまとめます。

「児童婚」とは18歳未満の子供の結婚を指す
②児童婚の背景には貧困や地域の慣習の存在があり、完全な撲滅は難しい
③児童婚は家庭内暴力や妊娠・出産に伴う合併症など、心身に弊害を起こす
教育の提供や啓発活動で児童婚に対する取り組みが行われている
⑤私たちに出来ることの一例に募金情報の発信がある

児童婚への対策は、子供が子供らしく生きていく権利や自由を守り、未来の担い手である子供たちが安心して成長していくための環境づくりのひとつ、と考えるとその必要性は一層強く感じられるのではないでしょうか。

国境を越えた人々の協力が必要な話題だからこそ、国際協力の視点を持つ人たちと一緒に出来ることを考えていきたいですね。


AlbaProjectでは「国際協力交流会」を行っています。
国際協力に関心を持つ人同士の議論や交流で、刺激を受けたり、行動し始めるヒントをもらえたりできます!今回の話題についても話せる機会になるのではないでしょうか。

イベントの詳細は下記のリンクをご覧ください。


最後までお読みいただき、ありがとうございました!


作者 みさき
チェック みや
アドバイザー 松田淳也


【参考】

児童婚 | 子どもの保護 | ユニセフの主な活動分野 | 日本ユニセフ協会 (unicef.or.jp)

児童婚撲滅を目指して 行動促進のためのプログラム継続 ユニセフ・UNFPA 共同声明 (unicef.or.jp)

児童婚 子どもの花嫁、年間約1,200万人 世界の女性の5人に1人が児童婚を経験 ユニセフ、教育への投資、地域社会の意識改革訴える (unicef.or.jp)

5.ジェンダー平等を実現しよう | SDGsクラブ | 日本ユニセフ協会(ユニセフ日本委員会) (unicef.or.jp)

12歳の花嫁~児童婚、DVの現実~ | NHK | WEB特集 | 児童虐待

女性・女児の地位向上やコミュニティの改善に 教育が重要な役割、と新報告書 (worldbank.org)

【おしえて!プラン】「早すぎる結婚」の問題を知る|国際NGOプラン・インターナショナル (plan-international.jp)

[特集]「早すぎる結婚」の現実 ~幼い年齢で奪われる未来~|国際NGOプラン・インターナショナル (plan-international.jp)

南アジアのジェンダーと結婚慣習 - Missing women、結婚持参金、交換婚、児童婚 (ide.go.jp)


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