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「妻のトリセツ」で、妻特有の考えを学ぶ

女性はすべてを察して欲しい、男性は「愛してる」だけ言わないでも察して欲しいと思っている。「妻のトリセツ」を読むと女性が良く分かるようになる。

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1.男も女も「察して欲しい」

以前は私が妻を理解していなかったために、「結論をすぐ言わない」、「解決策を言っても怒る」、「買い物が長すぎる」など、怒っている理由もわからず、毎日くだらないことでケンカが絶えませんでした。

何度も子どもの前で怒鳴り合いになった挙句、、娘は親離れが出来なくなりました。どちらかがいないと不安で泣き出す時期が長くあり、その時の口癖は「みんなで行こう」。

この恐ろしい状況を引き起こしたのは私で、原因は私が女性を、妻を理解していなかっただけのこと。「察して欲しい」妻を察することはなく、「言ってくれればやったのに」と。また、愛情は言わなくてもわかるだろうと思っていました。主観的に見てもサイテーだった私は、女性を学び、理解し、妻に口でも態度でも愛を伝えられるよう訓練を重ねました。結局、次女が生まれると長女となった娘は自然と自立していきました。

この過ちを再び繰り替えさないため、親の態度が子どもに与える影響は嫌とゆうほど反省し、逆にどういった態度が子どもに良い影響を与えるのか、徹底的に反省しました。

2.将来の成功は母親が、そして父親も重要らしい

いくつか文献も読みましたが、どうやら「子どもの将来の成功」が「自己抑制」と関連し、さらには「母親の態度」が重要らしいことが解りました。

「自己抑制」とな?

森下や柏木ら2)3)は、自己制御を「自己主張」と「自己抑制」の2つに分類しています。

「自己主張」とは自分の欲求や意思を明確にもって主張、他者や集団の中で協調的に表現で、「自己抑制」とは、社会的場面で自分の欲求や行動を抑制・制止しなければならないときにそれができることです。

つまり、言わなければならいとき、我慢するときがわかるってこと。

親ならどちらも自分の子どもには身につけて欲しい内容ですが、森下らが行った研究では4)、これらを行うには、母親の「有効である態度」が示されました。

その態度は、** 「子どもへの受容が高いこと」と「励ましの言葉かけが多いこと」**です。

この研究では「子どもへの受容が高いこと」+「励ましの言葉かけが多いこと」に加えて、「子どもが友達重視であること」が大切だとしています。これがある子ども達は「情動抑制」や「根気我慢」、「自己主張」を高めていました。

つまり、「あなたは本当に頑張る子だね」と子ども自身を認め、その上で「あなたは運が良いから絶対出来るよ」とポジティブな言葉かけをし、「Aちゃんとのお約束守らないとAちゃん悲しいね」と友達を大切にするといった感じでしょうか。

逆にこれらが少ない、もしくはない状態での「自己抑制の誘導(我慢させる)」、「自己表現の誘導(言わせる)」や「甘やかし」は、何の影響もないばかりか、自己制御を低下させていました。

ちなみに母親だけではなく、父親も同様で、 森下は自己主張や自己抑制の発達は、親がモデルになっている可能性を指摘し2)~6)、母親と同じように父親の影響も強いことを示しています5)。

戸田7)は、父親の養育態度の中でも特に説得的な養育態度は、幼児の園での破壊的行動やいじめと関係することを述べ、Pearsらは騒ぐなどネガティブな行動をした際に、親の強圧的応答が多いほど、子どもの心の理論の成績が悪いことを指摘しています。  

つまり、子どもを認めない状態(親がこう言ってるんだからこうだ)で、断定的に行動を決める(これをしなさい)のは逆効果で、それをやっていると子どもが幼稚園でものを壊したり、いじめを起こしたりする原因になりますよってことです。

子どものせいではなく、親のせい。以前の最低の私を知っている自分は、これは母親ではなく、子育てに参加しない「父親のせい」だと思っています。そもそも、日本の家庭で多いワンオペ育児では、ここまで寛容な精神状態を保てる母親の方が珍しいといまは痛いほどに理解しています。

3.父親になるには積み重ねが必要

一方、父親にむやみに「子育てに参加しろ」と言っても、毎日朝から仕事、夜遅くに帰ってくる父親にはいきなり言っても無理があります。

ダンナから「ねえ、うんちしてるよ~」と言われ、「わかってるなら、お前が替えろ!」とイラついたことのある女性も多いかと思います。これは、事前にオムツを替えの練習不足ならびに、気が付いたらオムツを替えて良いといった許可が出ていないために、「うんちをしている」報告をしただけであって、「うんちをしているから替えて欲しい」とまで思っていないことが多いです。なんなら、お尻があれたら困るから、君が替えた方が効率が良いのでリスクマネージメントとして報告したくらいに思っているかもしれません。

男は学び、練習してレベルアップして父親になる生き物で、ロケットの速さで母親になる女性とは違います。ベストであれば、妊娠中から子育てや家事の分担を相談し、自分の裁量で子どもの世話をして良い許可を男には出しておかなければなりません。できれば、オムツ変えはYouTubeで事前に練習をしたいところ。見てればできるだろと言われてもできません。男は女性にくらべて面倒くさい生き物なのです。

母親は子どもとのつながりを感じると聞いたことがあります。そして、子どもを見ていればわかると言われたこともあります。正直、この泣き方とあの泣き方の違いは、全くわかりません。

子ども、つながるってどうゆうことだろう?

信頼?愛情?つながるって「愛着」?

本を読むと時々出てくるのですが、良くわからなかったので、この問いに対して自分なりの結論を出すべく、再度文献を調べました。

乳幼児の精神医学を研究していたダニエル・スターンは、「情動調律」を提唱しました。

「情動調律」ってなに?

この情動調律は、母親がオムツを替えて欲しい、お腹が空いたなど、乳児の状態を察して、それに合わせた行動をすることで、愛着形成に重要だそうです。  

つまり、子供と「つながる」ことが出来るようになれば、「察すること」が出てくる気がしました。

4.つながるための7つの方法

「子どもとつながる」ための7つの方法があるそうです。

①タッチ:手と手を合わせるハイファイブのことです。

笑顔と言葉かけを行いながらするのがポイントです。

②本の読み聞かせ:子どもの様子を観察しながら行いましょう。

好きな本は何度でも食いついてきますが、時期によって変化します。

③手遊び歌:動作と歌で子どもの反応を誘い出すのが目的です。

歌や動作はYouTubeなどで確認しましょう。

④言葉のシャワー:子どもと向き合って出来るだけ色々なことを話してみましょう。この時にスマホ片手は厳禁です。

⑤まねっこ:こどんな動作でも構わないので、子どもの動作をまねしてみましょう。子どもが興味をもったら成功です。声かけを忘れずに。

⑥ボディタッチ:ボディタッチで目があった時にはつながった瞬間を感じることができるでしょう。

⑦目合わせ:方法は色々ですが、しつこくしないことが重要です。 

子どもとつながれば妻ともつながる。子どもを察することができれば、妻をも察することが出来る。

こうした努力をみて、妻は子どもに愛情をそそいでくれていると感じ、ステキな記憶としてインデックスされます。

働いて帰ってくるだけの人生を私は長く生きてきましたが、「妻のトリセツ」で妻を理解した今、人生は全く違った方向に動いています。


【参考文献】

1) ウォルター・ミシェル、柴田浩之著. マシュマロ・テスト 成功する子・しない子.早川書房. 2015.

2) 森下正康、前田百合香. 児童期の母親と養育態度としつけ方略が自己制御機能の発達に与える影響. 発達教育学部紀要.

3) 柏木恵子. 自己制御の発達心理学評論. 29. 3-24, 1986.

4)森下正康. 子どもの社会的行動の形成に関する研究.1996. 風間書房.

5)森下正康. 幼児の自己制御機能の発達(3)父親と母親の態度のパターンが幼児にどののような影響を与えるか. 和歌山大学教育学部教育実践研究指導センター紀要. 11; 87;P87-100.

6) 森下正康. 児童期の母親の養育態度としつけ方略が自己制御機能の発達に与える影響.発達教育学部紀要

7)戸田須恵子. 父親の養育スタイルと子どもの攻撃的行動に関する研究. 北海道大学紀要教育科学編, 49;63-78, 1993.

8 )園田菜摘. 3歳時の欲求、感情、信念理解:個人差の特徴と母子相互作用との関連. 発達心理学研究. 10; 177-188, 1999.

9) Peterson C, et al. Opening windows into mind: Mothers’ preferences for mental stateexplanations and children’s  theory of mind. Cog Dvelopment. 18:399-429, 2003.

10)Bornstein, et al. Mother and infant activity and interaction in japan and in the UnitedStates: Ⅱ. A comparative microanalysis of naturalistic exchanges focusted on theorganization of infant attention. IJBD, 13:289-308, 1990.

11)風間みどり、他. 日本の母親のあいまいな養育態度と4歳の子どもの他者理解;日米比較からの検討. 発達心理学研究 24:2:126-138, 2013.

12)佐藤淑子. イギリスのいい子日本のいい子:自己主張とがまんの教育学. 中央口論社, 東京.

13)堀場雅夫. おもしろおかしく 人間本位の経営. 日経BP, 2014.

 

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