【心理テクニック】【交渉術】なぜ「10セント貸してください」より「17セント貸してください」の方が効果的なのか。
相手に「おや?」と思わせるテクニック
もしもあなたが相手に「通勤時間はどれくらい?」と尋ねた時、返ってきた答えが「1時間27分です。」と言われたら、なんで1時間半と言わないのかとほとんどの人が思うだろう。今回、紹介する心理テクニックはこの「おや?」とった反応を利用した【ピークテクニック】と言われるものである。
ピークテクニック
アメリカの心理学者サントスがピークテクニックについて行った実験がある。
それは、街行く人に2通りの言い方でお金を借りるという実験だ。
1、「10セント貸してください」➡きりのいい数字
2、「17セント貸してください」➡中途半端な数字
これを聞いて10セントの方が金額的に低いから、10セントと頼んだ方がいいと思うかもしれないが、この実験では、「17セント貸してください」と頼んだ場合は、半数近くの人々がお金を貸してくれたのに対して、「10セント貸してください」と頼んだ場合は、ほとんどの通行人に無視されたそうだ。これは、「17セント」という中途半端な金額が通行人の興味を引いたことによって、貸すか迷うという思考を抑えたと考えられる。
つまり、通行人の思考の流れでは、中途半端な数字に対して、咄嗟に「なぜその金額?」と頭に浮かぶ、または、「どうしようかなぁ」と「なぜその金額?」という2つの事柄が同時に浮かび、結果として相手の拒否反応を抑えている。もちろんこれには、17セントという低い金額だからこそより効果的だったというのもあるかもしれないが、重要なのは、10セントの場合はほとんどの人が無視したのに、17セントの場合は半数近くの人がそのお願いに応じていることだ。
実践的なピークテクニック
このピークテクニックは身近な所で、誰しも意図せずに体験しているのではないだろうか。
例えば、
①友達などに物を分けてもらう時
1、自分:「ねぇねぇ、それ少しだけ頂戴?」
2、(この時、本当にほんの少しだけもらう)
3、そうすると、友達:「いやいや、もっと持って行ってもいいよ!」
この例では、本当はあげたくないなという気持ちを、予想以上に少なかったという驚きや可哀想といった気持ちによって軽減されている。
②商品を購入する時
1、店員:「このベッドは自動で起こしてくれるので、寝坊しません!」
2、自分:(よく寝坊してしまうからなぁ、本当にこれがあれば起きれるのかなぁ)
3、店員:「実際に体験してみますか?また、いまなら期間限定で一定期間内なら全額返金サービスも行っております。」
この例では、相手にとって身近であることを取り上げる事によって、「こんなの必要ない!」という感情から、本当に効果があるのかなという感情に書き換えられている。おそらく、これが商品の効果の説明なしに「○○万円の最新型のベッドです。」と言われたら、金額だけで判断してしまい、多くの人は見向きもしないだろう。なので、とりあえず買うか買わないかの判断を遅らせた時点で店員とって有利になっている。
これらを踏まえると、このピークテクニックはセールス、頼み事、相談、ナンパなど様々な場面で使用できる。常に、反論になるよう感情を別の感情で抑えるというイメージを持とう。だが、必ずしも効果があるとは言い切れないし、使い方を間違えると逆に冷められることがある場合を理解しなければいけないが、ほかの心理テクニックや周辺環境などを組み合わせることで成功の可能性は上がるかもしれない。