副業=ニューノーマル?「新しい働き方」実現に必要なものは?
Yahoo!の副業戦略人材100名募集が話題だ。そしてユニリーバも副業人材募集制度を発表した。
これを機にどこか1社で働くという従来の働き方が変わり、ダニエル・ピンクがその著書である「フリーエージェント社会の到来」で述べたように、好きな時に好きな場所で好きなことをして働く、という新しい働き方が「ニューノーマル」として定着していくのではないか、という期待感が高まっている。
私自身も5年前から本業の傍ら、ビジネススクールでの講師業やコンサルティング業を副業として行ってきた。どこか特定の組織に囚われずに、別の仕事を通じて、会社とは違うコミュニティやネットワークを広げ、自らのスキルを生かし、高めていくことができるという、副業のメリットを十分に享受してきた故に、現職においても自ら副業制度を導入した。それだけにYahoo!やユニリーバの取り組みをきっかけにさらに新しい働き方が広がることを期待している。
しかし、周囲を見ていると、実際に副業にトライしようとしたものの、実現できずに終わっていくケースも多い。
まずはただの小遣い稼ぎの場合。経済的な理由で他社のアルバイトの求人に応募して副業を始める人もいるが、多くの場合、長時間労働に耐えられずやめてしまう。肉体労働系の職種であれば尚更だ。
また、自分のスキルを生かそうとして副業を始める場合でも、本人が思っているほど仕事がなく、結局、大した副業にならないケースもある。自分が過去培った経験だけで仕事が取れるわけではない。常に学び続け、新しい能力を身につけることが求められる。
さらには、本当はやりたいし、やれるスキルもあるはずなのに、本業における周囲の目が気になって、結局踏み出せないというケースも多い。
とにかくやってみてもうまくいかない人、そもそも踏み出せない人というのは非常に多いのだ。
実際、私もやっていて、そんなに楽なものではないと痛感している。特に、コンサルタントや専門職として複数の仕事を掛け持ちするのではなく、どこかの企業におけるフルタイムジョブを持ちながら副業をやるというのは結構しんどいものだ。
本業においては副業を言い訳には決してできないし、支障をきたさないように常に全力を出さなくてはならない。かといって副業においても、「本業があるので」といって多めに見てくれるほど甘くはない。そういう本業、副業双方のプレッシャーと闘っているとつい逃げ出したくなることもあるが、それでもなお続けていくためには、余程報酬が高ければ話は別だろうが、そうでなければ何らかの自分なりの目的や意義がなければ難しい。
すなわち、自分は何のためにどう生きるのかという、自分のビジョンや目的といった「軸」を常に追い求めていく、そしてそれを実現するために学び続けることが必要なのだ。かくいう私も実践するのは非常に難しいが、、、
そう考えると、制度や仕組みといったものが普及すればみんな副業にチャレンジし、「新しい働き方」にシフトするというわけではなさそうだ。
人々が自分の生き方を主体的にデザインする能力を身につけていくことが必要であり、それを実現するための教育や周囲の支援もあって初めて「新しい働き方」の社会へ移行することができるのではないだろうか。
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