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【FUJIROCK FESTIVAL'24 出演記念】The Killers(ザ・キラーズ)入門ガイド

はじめに

The Killersが2024年に開催されるフジロック・フェスティバルのヘッドライナーに決定しました🎉

2018年に日本武道館での単独来日公演を成功させていましたが、2009年の出演キャンセルが尾を引き国内外の人気格差が広がっていることに危機を感じていましたので喜びもひとしおです。
招聘してくださったSMASHの皆様と急遽のオファーにも関わらず出演を承諾されたバンド側にも感謝が尽きません。
紆余曲折ございたしたが、このライブを切っ掛けに日本での人気が更に上がることを願っています。

このnoteではThe Killersを知らない方は勿論のこと、代表曲の"Mr. Brightside"だけご存知の方や初期3作以降は就職や子育てに従事しバンドから離れていた方などをSNSで散見されましたので執筆いたしました、1人でも多くの方が興味を持っていただけたら幸いです。

The Killers入門ルート

①ライブ動画

The Killersと言えば"マディソン・スクエア・ガーデン"や"ウェンブリー・スタジアム"、"グラストンベリー・フェスティバル"を始め世界各国の名だたる音楽フェスティバルでヘッドライナーに抜擢されるほどの卓越したライブ・パフォーマンスが魅力の1つです。
百聞は一見にしかずと言います、2023年に開催された"レディング&リーズ・フェスティバル"でのライブ映像が、YouTubeのBBC公式チャンネルから公開されていますので是非ともご視聴ください。

②おすすめのアルバム

スタジオ・アルバムでしたら、2000年代最大のロックアンセムの1つ"Mr. Brightside"を始め"Somebody Told Me"や"All These Things That I've Done"などの代表曲を収録した記念すべきデビューアルバム『Hot Fuss』か、世界的なスタジアム・バンドとして大成したバンドの魅力と音楽性を見事にコンパイルした6thアルバム『Imploding the Mirage』をおすすめしています。

また、ライブに向けて代表曲を網羅したいという方にはベストアルバム『Rebel Diamonds』が2023年にリリースされていますので、こちらを聴いていただくだけでもフジロックは間違いなく楽しめます。

個人的に一押ししたいのは2009年にリリースされたライブアルバム『Live from the Royal Albert Hall』ですね、初期3作の総決算とも表現出来るセットリストに、既に十分素晴らしいパフォーマンスでありながら、この後ライブバンドとして覇道を突き進むバンドの姿を克明に記録しています。

手前味噌ですが入門に最適なプレイリストを個人的に作成していますので、宜しければこちらもご試聴ください。

Biography

改めて簡単なバイオグラフィーも記載いたします。

The Killersはアメリカ/ネバダ州・ラスベガスで2001年に結成されたロック・バンドです、現在の正式なメンバーはBrandon Flowers(vocals, key)、Ronnie Vannucci Jr.(dr)、Dave Keuning(gu)、Mark Stoermer(ba)の4人から成り、バンド名の由来はNew Orderの楽曲"Crystal"に登場する架空のバンドから取られています。
Bruce Springsteen直系のハートランド・ロックと絢爛としたシンセ・サウンドのニュー・ウェイヴを見事に融合させた音楽性が特徴です。

21世紀最大のロック・バンドの1組です、現在アメリカだけで1080万枚を含む世界中で2800万枚以上のレコードセールスを誇り、50カ国以上6大陸に跨りライブツアーを精力的に開催しています。
そして彼らの最も驚くべき記録は、デビューアルバムから7作連続で全英アルバム・チャート1位を獲得しています、Brandon Flowersのソロ作も含めればアルバム9作連続で1位獲得という歴史的な記録を現在も更新し続けており、英国外のバンドでは史上初の快挙となっています。

煌びやかなネオンが立ち並び、荒涼とした砂漠に位置する欲望が渦巻く都市ラスベガスで結成されたことが、バンドの雰囲気に影響を与えている気がします。

各スタジオ・アルバム短評

①『Hot Fuss』(UK1位 / US7位)

2004年にリリースされた記念すべきデビューアルバム、彼等の楽曲にもある"グラマラス・インディー・ロックンロール"という一見相反する言葉が示す通り、インディ・ロックの範疇に収まりながらも凡百のバンドとは一線を画す"壮麗な華やかさ"を纏ったサウンドからは、その後の大成を予感させるものがありますね、また"Seven Nation Army"と並ぶ2000年代最大のロックアンセム"Mr. Brightside"だけでなく、ライブでも定番となっている"Somebody Told Me"と"All These Things That I've Done"というキラーチューンが収録されているのも大きいですね。

②『Sam's Town』(UK1位 / US2位)

2006年にリリースされた2ndアルバム、華やかなデビューアルバムとは一転してルーツの1つであるBruce Springsteen直系の荒涼としたハートランド・ロックに比重を置き、前作で多用されていたヴォーカル・エフェクトを消したことで生々しいバンド・サウンドに接近しました、バンド屈指の名曲である"Read My Mind"に、こちらもライブで定番となっている"When You Were Young"と"For Reasons Unknown"が収録されています。

③『Day & Age』(UK1位 / US6位)

2008年にリリースされた3rdアルバム、ハートランド・ロックに比重を置いた前作から更に一転し、得意とする80sニュー・ウェイヴに重きを置き過剰とも言える煌びやかなシンセ・サウンドを盛り込んだバンド史上最もポップに振り切った1作となりました、"Spaceman"のイントロなど他のバンドがやれば悲惨な出来になりかねませんが、The Killersがやると様になるのはバンドの強みです、この過剰さを楽曲に違和感なく組み込める点はMUSEも近いですね、こちらもライブで定番となっている"Human"と"Spaceman"が収録されています。

④『Battle Born』(UK1位 / US3位)

2012年にリリースされた4thアルバム、ここからスタジアム・ロックバンドとなった彼等のサウンドがスタジオ・アルバムにも反映されます、ハートランド・ロックに傾倒した2ndアルバム『Sam's Town』の音楽性をアリーナ規模のスケールに拡大したのが今作です、広大なアメリカのハイウェイを走り抜くサウンドトラックとしても最適ですね、収録されている"Runaways"はライブで披露される機会の多い定番曲です、個人的には力強い"A Matter of Time"が好きでこの楽曲を繰り返し聴いていました。

⑤『Wonderful Wonderful』(UK1位 / US1位)

2017年にリリースされた5thアルバム、前作から5年という最長のインターバルを経て遂にUK/US共にアルバム・チャートで1位を獲得いたしました、前作が『Sam's Town』の拡大版とするならば、今作ではバンドの音楽性を構成するハートランド・ロックとニュー・ウェイヴのバランスも良く、正しく1stアルバム『Hot Fuss』のサウンドをスタジアム規模に拡大したものになります。
今作は個人的にかなり思い入れの強い作品ですね、何故ならこの時に日本武道館で行われた来日公演を観ているからです、"The Man"のイントロと共にスモークの中から登場したBrandon Flowersの姿、あの凄まじいライブの光景は今でも鮮明に記憶しています、あの体験があったからこそThe Killersというロックバンドのライブには全幅の信頼を寄せています。
あのライブの後、これをいつか野外で観ることが出来たらどんなに素晴らしいことか、と思っていたので、こうしてフジロックのヘッドライナーとして彼等のライブを観ることが出来るのは非常に感慨深いものがあります。

⑥『Imploding the Mirage』(UK1位 / US8位)

2020年にリリースされた6thアルバム、これからThe Killersを聴き始める方にはデビュー作の『Hot Fuss』かこのアルバムをおすすめしています。
先行シングルで公開された"煌びやかなシンセのサウンドを纏った疾走感のあるハートランド・ロック"の新たなアンセム"Caution"を聴いていただくだけでもThe Killersというロックバンドの魅力が伝わるはずです、3rdアルバム『Day & Age』をスタジアム規模に拡大した今作は楽曲の素晴らしさは勿論のこと、ヴォーカリストとしてのBrandon Flowersがキャリアハイを更新している点にも注目です。
参加ゲストであるLindsey Buckingham(Fleetwood Mac),Adam Granduciel(The War on Drugs),k.d. lang,Weyes Bloodの活躍も目覚ましいですね。

⑦『Pressure Machine』(UK1位 / US9位)

2021年にリリースされた7thアルバム、世界的なパンデミックの最中に制作されたこともありThe KillersによるBruce Springsteen『Nebraska』とも言えるキャリアの中で最も内省的な作品となっています、これまでの華やかな過剰さは息を潜めアートワークに表現されるような荒廃としたモノクロなサウンドでアルバムは統一されており、これまでと違ったバンドの側面を聴くことが出来ます。

おわりに

これまで不運な掛け違いが多かったのは事実ですが、今年満を持してフジロックのヘッドライナーを務めるThe Killersのライブで、今までの蟠りが払拭され日本でも快く迎え入れられるようになると嬉しいですね。

また当初出演を予定されていたSZAを楽しみにされていた皆様、アーティストの出演がキャンセルになる悲しみは心から理解出来ますので、簡単に「変わりのアーティストを観れば良い」などとは口が裂けても言えませんが、The Killersのライブは素晴らしい体験になるとお約束出来ますのでもし機会がありましたら観ていただければ幸いです。

何だかんだ書きましたが、The Killersは素晴らしいロックバンドですしライブ・パフォーマンスは圧巻ですので、観るかどうか迷われている方は是非今年のフジロックで体験しましょう、素敵な想い出になること間違いなしですよ。

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