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インドネシアの電力消費量

今回は、インドネシアにおける電力消費量の構造、推移を整理し、日本との比較も行っていきます。

前回は最終エネルギー消費量に関する情報を整理しましたが、今回は液体燃料(ガソリン、ディーゼル等)、気体燃料(天然ガス)、バイオマス、および他のエネルギーキャリアを除き、電力の形で消費されるエネルギーのみに注目します。一般家庭、工業、商業、農業など、様々な場所での電気使用が含まれます。

産業部門(工場での燃料使用)や運輸部門(内燃機関車のガソリンやディーゼルなどの液体燃料使用)における電気以外のエネルギーキャリアの使用、非電化地域(電力供給網への接続がない地域)の存在(2024年1月時点はインドネシアの電化率が99.78%である)等要素は、最終エネルギー消費量と電力消費量の差異に影響を与えています。従って、産業部門より家庭部門の電力消費量は高く、エネルギー消費量が高い運輸部門は電力消費量が低いとのような現象が発生しています。


図 1. インドネシアの部門別電力消費量(国際エネルギー機関の公開データによりアラムポート作成)

また、インドネシアの全体電力消費量は年々増加していっているなか、2009年にはじめて家庭部門が産業部門の電力消費量を超え、それ以降も同じ傾向が続いています。但し、電化の推進、再生可能エネルギーへの切り替え等取り組みにより、エネルギーを電力のかたちでエネルギーを消費することが増え、最終エネルギー消費量が最も高い産業部門は電力消費量の最上位に戻る可能性があると考えられます。

なお、日本の電力消費量と比較すると、電力インフラの整備等により、日本では産業部門や運輸部門の電化がインドネシア以上に進んでいるように見えます。一方、商業および公共サービス部門の電力消費量が全体における割合は日本の方が高く、照明、エアコン、OA機器等の使用率は原因の一端に考えられるでしょう。

図 2. 日本の部門別電力消費量(国際エネルギー機関の公開データによりアラムポート作成)

2国の一人当たり年間電力消費量を比較すると、先進国である日本は2000年以来、年間一人当たり約8MWhの電力消費量で横ばいに推移しているのに対し、新興国であるインドネシアは2000年の約0.4MWhから2021年の1MWh以上に約4.8%の年平均成長率で上昇しています。2国間の差異も、2000年の21倍から2021年の8倍以下に縮まりました。インドネシアの著しい経済発展による経済格差の解消等、今後2国間の差異が更に縮小していくと考えられるのではないでしょうか。

図 3. 日本およびインドネシアにおける一人当たりの電力消費量電力消費量(国際エネルギー機関の公開データによりアラムポート作成)

<参考文献>