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インドネシアにおける部門別の最終エネルギー消費量

今回はインドネシアのエネルギー消費量に関して情報をお届けします。産業部門、家庭部門、業務他部門(商店、事務所などの商業施設、医療・福祉施設、文教施設を含め)、運輸部門の4つの部門別から構成されるエネルギー消費量を10年間の推移にて確認していきます。

インドネシア国エネルギー鉱物資源省が2023年5月に出版された“Handbook of Energy & Economic Statistics of Indonesia 2022”より、2012年から2022年にわたる11年間、インドネシア国における部門別最終エネルギー消費量の年間推移データを拠出し、下表に整理しました。

図 1. インドネシアにおける部門別最終エネルギー消費量(インドネシア国エネルギー鉱物資源省の公開データによりアラムポート作成)

図1を見ると、商業施設、事務所等を対象になる業務他部門および家庭部門における消費量は2012年から2022年の間に一定水準に留まっている一方、運輸部門および産業部門は変動が比較的大きく、両部門とも2022年に過去11年間の最高値(運輸部門:429 百万石油換算バレル;運輸部門:535 百万石油換算バレル)に到達しました。特に、産業部門の消費量は2019年から2021年にかけて低下していたものの、2022年には前年比67%上昇し10年ぶりに運輸部門の消費量を超えました。

(ご参考)日本における部門別最終エネルギー消費量(1エクサジュールは約163 百万石油換算バレルにて換算)

図 2. 日本における部門別最終エネルギー消費量(経済産業省資源エネルギー庁の公開データによりアラムポート作成)
図 3. インドネシアにおける最終エネルギー消費量の部門別割合(インドネシア国エネルギー鉱物資源省の公開データによりアラムポート作成)
図 4. 日本における最終エネルギー消費量の部門別割合(経済産業省資源エネルギー庁の公開データによりアラムポート作成)

また、インドネシアと日本の最終エネルギー消費量・部門別割合データを比較すると、インドネシアは、
・運輸部門の割合が日本より高い(2021年では20%もインドネシアが高い)
・産業部門及び業務他部門は日本より低い
ということが分かります。

さらに、日本は10年間の推移を見ても、部門別割合が安定していることが分かります。両国それぞれの経済・産業構造、成長ステージに差があり、上記比較結果からも、インドネシアは運輸部門が占める最終エネルギー消費量の割合が相対的に高く、政府としても電気自動車(“EV”)の積極導入は重要政策課題の一つであると想定されます。一方で、特にジャカルタ首都圏における交通システムは人口増により飽和状態であり、慢性的な交通渋滞を引き起こしていることからも、首都移転等の施策により交通渋滞を緩和し、運輸部門のエネルギー消費量を抑えていくことが大事なものと考えます。

<参考文献>
-         経済産業省資源エネルギー庁. (令和5年6月). 『令和4年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2023) 【第211-1-1】最終エネルギー消費と実質GDPの推移』 <https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2023/html/2-1-1.html>
-         Ministry of Energy and Mineral Resources, Republic of Indonesia. (May, 2023). “Handbook of Energy & Economic Statistics of Indonesia 2022”. Retrieved from https://www.esdm.go.id/assets/media/content/content-handbook-of-energy-and-economic-statistics-of-indonesia-2022.pdf