研究の動機

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さて、ここからしばらく昔話をしたいと思います。

遺伝子について

大学生の頃は、漠然と遺伝子の研究がしたいと思っていました。遺伝子という言葉は研究者の専門分野によって色々な意味を持ちえます。この時点では、世代を超えて伝わる、何らかの機能を持ったもの、という理解をしていました。当時は遺伝子は「セントラルドグマ」によって機能している、ということだけを知っていました。セントラルドグマは、以下の要素が全ての生命の基本であるという、生物学で最も重要なテーゼです。

DNA(デオキシリボ核酸)

A,T,G,Cという「塩基」の配列です。長い文字列といっても差し支えないです
。あらゆる生命は、DNAを前世代から引き継ぎ、次世代に渡します。遺伝情報、つまり遺伝子の集まりです。この塩基の並びが意味を持った暗号となっており、個体を作り出している。突然変異が起こることもあるが、大きく変わることはありません。

RNA(リボ核酸)

正確には、メッセンジャーRNA(mRNA)のことを指します。なにかの刺激やプログラムに従って、DNAに隠された暗号の一部をタイミング良く正確にコピーし、使えるようにする準備をするもの。コピーするので、「転写」といいます。mRNAは極めて不安定で分解されやすい。あのコロナワクチンが、これですね。

タンパク質

DNAはA,T,G,C、RNAはそれに対応するA,T,G,Uの4種類しか存在しません。一方で、タンパク質はアミノ酸が一列につながったもので、そのアミノ酸は20種類もあります。4対20では上手く行きません。そこで、大昔の原始的生命は、DNA、RNAの3個の繋がりと1個のアミノ酸を対応させる、というトリックを発明します。DNA、RNAをアミノ酸の配列に置き換えるので、「翻訳」といいます。
このタンパク質が、それ自体が生物を構成する一部になったり、取り込んだ物質を利用することで、何らかの形を作ったり、内部を維持したり外部と関わり合ったり、様々な活動を行います。身近な例だと、「動く」、というのは筋肉が動くということで、その筋肉はタンパク質でできています。

なぜ遺伝子か?

全部面白そうなのですが、私は特にDNAに興味がありました。中国語では遺伝子のことを「起因」といいます。実際セントラルドグマを考えると、全ての生命活動の起因、はじまりは遺伝子にあるわけです。英語のgeneと同音で、絶妙な訳だと思います。

そういう理由で、遺伝子を研究できそうな遺伝学の研究室を志望しました。実際どんなことをしていたのかは、また次回。

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