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コミュ障の人にマーケティングはできるのか?

コミュ障

突然だが、私はコミュ障である。

他人とのコミュニケーションには多大なるエネルギーを割かなければならない。

自分のコミュ障を説明するとすれば、MPの消費量がわかりやすいかもしれない。

例えば、コミュニケーションが得意な誰かなら、MP5くらいで100くらいのコミュニケーションを取れるとしたら、私はMP50くらいでやっと100くらいのコミュニケーションが取れる感じだ。

頑張れば人並みのコミュニケーションを取れるけど、確実に人より多くのものを犠牲にしている…というやつだ。

人並みのコミュニケーションを取るために使い切ったMPは、休日にベットの中でゴロゴロすることで回復される。多少は。

そんな私はなぜか企業に勤め、マーケティングをしている。正直コミュ障のわたしには修羅の道にしか思えない。なぜならマーケティングはコミュ力がかなり要求されてしまう仕事だからだ。

マーケティングとコミュニケーション

マーケティングの仕事といっても様々だ。対面で実行するものもあれば、オンラインで実施する物もある。だからマーケティングだからといって必ずしも同じレベルのコミュニケーション能力が試されるわけではないけど、一般的にかなりコミュ力が物を言う世界な気がしている。

社内コミュニケーション

まず、マーケティングは社内調整がかなり多い。例えばその年のマーケティングの方向性を社長と話し合う。日々稟議を通さなければいけないので、事前の頭出しや日々のこまめなレポートは必須だ。ともすれば成果物の見えにくいマーケティング施策もあるので、日々のコミュニケーションでマーケティングの方向性についてすり合わせておく必要がある。

そして施策を実行する時はセールスとすり合わせをしながら展示会参加の協力を依頼したりする。この場合、本業で忙しいセールスには、名刺の管理の方法や当日のロジ、展示会を行う意図、その後のフォローアップなどを逐一共有し、協力を仰ぐことになる。

彼らとの関係性はマーケティング施策を行う上でかなり重要で、この関係性が崩れると、どんなマーケティング施策を行っても最終的に売りに行ってくれなくなる。マーケティングはあくまでもセールスの仕事のサポートという立場なので、コミュニケーションにはやたら気を使う。

セールスだけではない。マーケティングプロモーションをしようとしたら実際に製品をデリバリーしている人たちやカスタマーサクセスチームなどとも密なコミュニケーションが必要だ。いつ製品できるの?サービスローンチするの?スペック表共有して…普段から会話をしていないと、いきなり協力を仰いだところで気持ちよく協力してくれることは少ないだろう。

PR、広報を担当しているのが別のチームであれば、そのチームとの連携も必要だ。PRを出すタイミングの調整やメディアリレーションを連携していかなければならない。

また親会社がある場合は、親会社からメディアを紹介してもらったり、親会社の発行する広報誌への協力も必須だ。

その上外資となればマーケティングチームが海外にいることになるから英語でのコミュニケーションやレポーティングが必要になる。

その他、法務チームや経理チーム、特許、人事…つまりほぼ社内の全ての人と密なコミュニケーションと関係構築が必要になる。

こうしたコミュニケーションが必要になるのはマーケティングだけではないかもしれない。けれど協力を依頼する立場としてコミュニケーションを取らなければいけないのはマーケティングの強い特徴なのかもしれない。と、個人的には思う。

マーケティングをチームで行なっている場合はまだ良いかもしれない。一人マーケターになると全ての矢面に立つのが自分一人なので、コミュ障の自分としては正直毎日毎日本当に胃が痛い。毎日毎日、誰かの協力を仰いでいる。私はなぜこの修羅の道を選んだのか。

社外コミュニケーション

社内だけではない。マーケティングは本来外に向けた仕事である。外といっても①お客様とのコミュニケーション②ベンダーとのコミュニケーションの2種類がある。

ベンダーとのコミュニケーション

マーケティング施策を全て社内で回している企業は少ないだろう。SEMは外注しているパターンが多く、SEOならライターを外注していることもある。

イベントをする時はイベントベンダーを頼るし、デザインだけを発注することもある。PR会社を雇っているところも多いし、ツール導入をするならコンサルかもしれないし直接SaaSの企業とのやりとりになるかもしれない。

外注先ならまだマシだ。こちらがお金を払っている立場なので協力してくれなくて困るといったことは起きにくい。ただ、社内とベンダーの間に入ってコミュニケーションを取れるのはやはり自分一人なので、コミュニケーションハブとしての役割を全うしなければいけない。中間管理職のような立場だ。

お客様とのコミュニケーション

当然ながらお客様とのやり取りも日々発生する。

正しいマーケティング施策を打つにはお客様理解が必須だ。オンラインでサーベイを取ったり、セールスに同行して一緒に会議に参加したりする。共同マーケティング施策を考えることもあるし、何かあった時にはお互い助け合える関係性を築くのも大切だ。イベントの時にお祝いメッセージをもらったりね。

それに例えばCase Studyを書こうと思ったら先方に取材をしなければいけない。サービス内容がわかりやすければいいが、業界によってはマーケティング自体にかなり専門的な知識が要求されることもある。

お客様と話すときに、自社製品やサービスを理解できていませんというのはなかなか許されない。が、通信業界で働く自分は文系出身なので、日々の勉強はしつつも、ある程度割り切って「不勉強で申し訳ないのですが戦略」で乗り切っている。

そんなこんなで日々、内も外も関係なしにあらゆるコミュニケーションを取ることになる。

業界や仕事の範囲によってそのコミュニケーション量は変わるが、BtoB業界、外資系のベンチャーで一人目マーケターをしている自分の場合、夕方には声が枯れていることが多い。そして当然ながら毎日MPは0どころかマイナスまで消費される。

きっと持っていないMPを消費するたびに寿命を削っているんだと思う。土日は布団でゴロゴロしてMPを貯めることしかできない。

コミュ障でもマーケティングはできるのか

という疑問に自分なりに答えを出すならばYESだ。どうにかなる。なぜかというと、マーケティングに求められるコミュニケーションはいわゆるファンシーなものではないからだ。

マーケティングに必要になるコミュ力は、関係者を見極め、正しく情報を共有し、相手を不快にしないように依頼できる力ではないかと思う。

雑談が上手いとか、知識が幅広いとか、人を笑わせられるとか、ギャグセンとか、カリスマ性とか、もちろん有ったらあったに越したことはないけど、ないならないでどうにでもなる。

大切なのは、他の人は自分のメインの仕事の手を止めてマーケティングに協力してくれているのを忘れないことと、正しい情報を正しいタイミングで必要なだけ提供することと、そして早めの段階で関係者を漏れなく洗い出す事かと思う。

これは私が関わっている業界でのマーケティングの話なので、他のマーケターにとってはギャグセンやファンシーなコミュ力が必須な場合もあるだろう。BtoCとかはそうなのかな。

ただ私が必要と考えるコミュ力はどれも後天的に身につけられる物だと思うし、社会人になれば自然と鍛えられる力でもあるように思う。だから先天的なコミュニケーションおばけには勝てなくても、こんな私でもどうにか日々のマーケティング施策を回すことはできている。

特に周りを不快にしないこと。意外とマーケティングってこれができたらなんとか周りに協力してもらって、なんやかんやで回っていくことも多いので、胃は痛くなりつつも、周りになにか話しかけられた時は手を止めて対応するとか、他の業務よりマーケティングの依頼を優先して!とかワガママ言わないようにするとか、早め早めに依頼するとか、依頼するときの順番間違えないとか、伝え漏れがないとか、そういう基本的なことをしっかりと一つ一つ潰していくことが大切なのかなと思う。

もちろん全部が全部できているわけでもないし、日々失敗もすることも多い。ただコミュ障だからマーケティングはできないなんてことは決してないように思う。

たまに凹むことはあるけどね。

けど結局楽しいマーケティング

そんなこんなで周りとのやり取りがおおいマーケティングだけど、だからこその楽しさももちろんある。社内の人と関わる機会は圧倒的に多いので顔が広くなる。

顔が広くなると仕事は回りやすくなるし、何しろ楽しい。コミュ障なのに何故か飲み会は好きなので、いろんなチームの人と飲みに行くと面白いマーケティング施策を思いついたり、ふとした時に協力を依頼しやすくなる。

みんなでワイワイアイディアを出す時はワクワクもするし、仕事をしながら楽しいと思うタイミングはマーケティングは圧倒的に多いと思う。伝えるの下手かよって感じだけれど、マーケティングはほんとにほんとに面白い。だからコミュ障の自分でも胃を痛めながらでもマーケティングを続けられるのかなと思っている。

マーケティングに興味さえあれば、コミュ力は後からついてくることもあると、自分を励ましつつ、休日の今日は私はMP回復に努めようと思う。

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