お肉仮面vs.タコ Ⅲ
「材料が揃ったところで、さっさと始めようパズ!」
「待って、ここで作るの?なら包丁とまな板が必要じゃ?」
「パズズズ……それらの調理器具は無用バズ。なぜなら……」
オクトパズズが持つ8本のタコ足の中に4本はタコ筋肉は蠢き、伸ばし、硬質化してぞれぞれナイフ、ボウル、泡立て器、漏斗に形作る!
「深淵料理秘技ーーキッチン・ハイドラ!オレ様は体が調理器具そのものよよ!」
「それでもまな板が必要だろ!」電楽はツッコミを入れた。「キャベツのジャスが飛び散ったら大変!」
「心配いらないパズ、見てろ!」
オクトパズズはキャベツを持ち、真上に投げる。
「深淵料理秘技、ハイドラ斬り!」
ナイフに変形したタコ足が鞭のように空を舞う!一瞬にしてキャベツが微塵ぎりにされ、カスひとつ漏れることなくがボウルに収まる。なんたる豪快かつ正確な包丁さばきか!
「うお、すっげぇー」
「ふん、なかなかやるじゃない……」
思わず称賛するお肉仮面と電楽。その間にオクトパズズはボウル化した足に水を盛ってタコ焼き粉を溶かし、泡立て器で混ぜる。
「パズズズッ!」
十分に混ぜたバッターにたまごと刻んだキャペツを入れ、再び混ぜる。タコ焼き生地の完成だ。
「タコ焼き器は十分に熱したパズか!?」
「うん、さっきからの電源を入れたから十分じゃない?」
「よし、では焼いていくパズ!」
生地を漏斗足に入れて、タコ焼き器に注いでいく。ズズズーっと、心地のよい音が立つ。
「さぁて、ここにまで来て疑問を持たなかったパズか?」オクトパズズはもったいぶりに言った。「タコ焼きを作るというのに、一番大事なタコはがいやんけ!ってな。パズズズ……もちろん準備してきたさ……こうしてなッ!」
オクトパズズは変形していない己の足をナイフ足で躊躇もせず切断し、ブロック状に切り分ける!
「知ってるパズか?タコは大きいほど味がいい。つまりオレ様こそが最高の食材になるわけ……あれ、なんか意外と反応が少ないパズ?」
「うん、まぁ。食材を披露する時にタコがなかったからそういうことじゃないかって思った」
とお肉仮面は答えた。横に電楽は頷いて同意を示す。
「えっ、マジ?自分の同じか以上の知性を持つ生物の肉を摂取することに対して道徳的に抵抗感とか、ないパズ?」
「ないよ。生物は皆、等しく肉だもん。僕は如何なる肉も拒まない。食わせにやってくる肉なら尚更ね」
生肉の仮面の下に爽やかな笑顔が綻びているが、肉に遮られて視認できない。
「そんなことより、僕にタコ焼きの美味しさを知らしめるためにわざわざ来たんだろ?早く食べさせてよ!」
「お肉仮面、思ったよりぶっ飛んだ奴パズ……」
オクトパズズの一字の瞳は両端がわずかに上がった、まるで笑っているようだ。
「ならばオレ様焼きを思う存分味わえ!冥王星までぶっ飛べパズ!」
オクトパズズは生地に自分の切り身をねじ込んでいく。
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