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コーチ・フレイムヘッド(邦題:空に向かって撃ち放て!)

 カブーム!榴弾が着弾し、土煙が舞い上がる。

『当ったーっ!時速40kmで移動する目標を、千里苑が見事に一発命中! さすが名門だけあり』

 私はテレビを消し、疼く肩を抑えた。

 無人機とミサイル技術の進歩により、曲射砲は戦場における戦術価値を失い、競技に姿を変え、今やゴルフと並ぶメジャーなスポーツだ。馬鹿けてる。安全な場所で悠長に狙っていれば誰だって当てる。机に飾った砲兵仲間との写真を暫く眺めた。軍役が私に残してくれたのは、顔半分の火傷と、気温に敏感な肩だけ。傷のせいで再就職もできず、Ms.ミリミターと呼ばれた測量士は今、年々減る補助金と在宅ワークに縋るばばあだ。

 ピーポー。ドアベルが鳴った。またアイツか。

「曲射砲道なんて興味ないと言ったはずだぞ!」私はドアに向けて吼えた。

「あなたしか頼れる人がいないんです!」ドアの向こうから若い娘の声。「どうかうちのコーチになってください!分寸曹長!廃部の危機です!」

(「軍人を舐めるなよ!」に続く)


#逆噴射プラクティス #ミリミター #曲射砲道


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貴方の人生においてなんの役にも立たない作品を目指しています。誤字がひどいですので見つけたら教えてください。