ハゲワシ、ガール、ヴードゥー
ああ、そうさ。俺はあのハゲワシと蹲っている少女を狙う写真でピューリツァー入賞したカメラマンだ。髭も髪も剃って丸坊主になったのによくわかったね。
俺の作品は今でも涙頂戴の話に都合よく改編されて道徳の授業や慈善事業で語られ続けているだろう。俺はストレスと罪悪感に耐えられず自殺したのはデマだ。だが写真を撮った後俺はハゲワシを追い払ったし、娘も死んでいなかったと俺の弁明を聞かず、執拗に俺は娘を見殺しにしたと責める輩は確かに心理の健康に少ならず影響を与えた。そしてラクダを潰した最後の藁は入賞2ヶ月後のとある夜、電話がかかってきた。
『娘の写真で外国の大きな賞を貰えたな?使用料は頂く。毎月千ドルをこれから話す口座に振り込め』
まるで獣が唸っているような恐ろしい声だった。当時の一日数十回ものいたずら電話を受けて精神に来た俺は受話器を叩きつけコードを切ったあとピル5つを飲んで眠りについた。翌日、頭痛と共に目を開いて初めて見たのは、皺だらけのハゲワシの頭だった。やつは仰向けで寝ている俺に見据えて、嘴を開いた。
『画像料を払え、でないと掟をもって貴様に然るべき罰を与える』
誓って、ハゲワシは成人女性の声で喋った。黒魔術の類か。とにかくまた薬の影響下にある俺はビビり散らかしてアリだけの現金を鳥に咥えさせた。
『また足りぬが、いいだろう。また来る。誰のおかげで成功できたか忘れるな』
ハゲワシはそう言い残し、爪で器用に窓を開けて飛んでいった。限界に来た俺はやぶれかぶれに家を飛び出して航空券を買い、バンコクへ飛んで出家した。今は菜食と修行、禅と健康な生活を過ごしている。ここにいる限り、ブッダは魔的力から守ってくれるだろう。南無阿弥陀仏。
信じてない顔だね。いいさ、過去とは断ち切ったつもりで今の生活に満足してる。君はもしこ会話を報道にしたいのなら気をつけた方がいい。魔術師に睨まれるぞ。
(おわり)
話がきれいに終わった感じがして、それと道徳上の考慮でボツにしました。
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