小説を予約した

「予約すればポストカードつき?どうせい日本国内しか手に入れないでしょう?」ダイハードテイルズの記事を読んでいる俺は思ったが、『なるべく地域格差なし』という一文が目に入った。「えっこれって」改めて予約注文書を見てみると、『日本国内限定』とか書かれていなかった。

 俺は覚悟を決め、会社のプリンターで注文用紙をフルカラーで印刷し、最寄りの日本書籍を扱う書店ヘ向かった。

「すみません、こんな物がありますけど」俺は用紙をカウンターに置き、店員に見せた。「書いてあるとおりに特典つきの小説予約できますか?」

「うーん、特典ねえ。そういうのは大体日本国内でしかやってないんですよ」

 店員は用紙に描かれている剣呑な雰囲気を漂う四人のサラリマンを知る由もなく、ややうんざりした表情で言い返した。この手の質問を聞かれることが多いからだろうか。

「でも、日本国内限定と書いていません」

「そうなんですか?フーム……」店員が用紙を手に取り、視線を落とした。

「なんとかなりそうですか?」

「そーですね。今のところなんとも言えませんが、とりあえず日本側に尋ねてみます。お客さんはこちらの一般注文書にサインをおねがいします」見慣れた注文書にペンを走らせ、俺に差し出した。注文内容に『オフィスハック(特典付き)』と書いてある。あまり綺麗とは言えない字であるが、俺も他人のこと言えないほど字が汚い。胸ポケットからペンを取り、名前と電話番号を書き込んだ。

「これでOKです。ご注文した本が到着した際にまた連絡いたします」

「ありがとうございます」俺はオジギした

「あ、それともうひとつ。もし特典のポストカードが確保できない場合、注文をキャンセルしますか?」

「ああ、そりゃー」答えは決まっている。「買いますよ。特典がなくてもね」

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 一週間後。

 めったに鳴らない個人用携帯に着信音が鳴った。知らない市内の番号だ。また銀行か保険会社の勧誘じゃねえだろうな?俺は今報告書とかの作成に忙しんだ。

「はい、もしもし」

『あー、どうもこんにちは。アクズメさんですか?』

「はいそうです」

『こちらジュン○堂です。今お話ししても大丈夫ですか?』

ジュン○堂だと?てことは前のオフィスハックの件、結果が出たと言うのか。

「はい、大丈夫です」今は連休前日に当たり事務所は配送の手伝いで半数以上の席が空いてる、安心して話せる。

『この間にオフィスハックという小説を特典付きで注文しましたよね?幻冬舎に連絡を取った結果、特典のポストカードが書籍とは別にご住宅郵送されますのでアドレスの確認をさせていただきます』

「郵送って」俺はちょっと焦った、そこまでやるとは思わなかったからだ。「航空便、で送ってくることになりますよね......?」

『そういうことになりますね』

 スゴイ!

「わかりました。私の住所は......」俺は住所と携帯の番号を伝えた。

『これでOKです。本が届いたらまた連絡しますんで。それではまた』

「あっはい、ありがとうございました」通話を切った。

いや~、やってくれたなぁ、幻冬舎さん。ポストカードと小説、期待してますよ。

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