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怖くなったHELLBOY(2019)

💀ネタバレあります💀

「ただいまー」「おう、おかえり。オレの新しい映画はどうだった?」

 LAの彼が家に入ると、レッドはビールを左手に、ソファーにもたれてテレビを見ていた。レッドの外見はデル・トロの旧2作、つまりロン・パープルが基準になっている。LAの彼はゴールデンアーミーが好きで何度も観たためレッドのイマジナリーフレンドができるほど印象が強かった。

「うーん、なんていうか」LAの彼はローテーブルに置いてある缶ビールを一つ掴み開栓して一口飲んだ。「Hellboy映画としては悪くないけどさ。デル・トロ監督は凄すぎたよ。『真新しいヘルボーイを作りたい』って気概を感じたけど、やはり旧作を超えなかったね」

「そうか……まあゴールデンアーミーは自他認めた最高傑作だからな、そう簡単に超えられねえだろうよ」レッドは空になったビール缶を両手で潰し、アルミ板にしてやった。「で、新しいオレはどうだった?ヘルボーイの名を恥じない活躍ができたか?」

「CGと化粧の進歩なのか、デイビット・ハーバーが演じるヘルボーイは本人の強面のあってさらに生物感と悪魔っぽさが増し、マジで怖くなったよ。怒って咆哮する時はびびったぜ」

「なんだ。上手くやってんじゃねえか?」

「いや、それはねえ。常人の三倍ぐらい大きい男が頻繫に情けない声をあげるのはちょっとシアターで苦しなったよ。見るに堪えない意味で」

「それはお気の毒だね」

「はぁー、やはりヘルボーイを上手くやれるのはデル・トロ監督とあんただけだよ」LAの彼はビールをイッキし、缶の腹を潰した。「なあ、もう一度出ないか?あの猫好きで目立ちがり屋で、強くてかっこよくて可愛げもあるヘルボーイを、きっと皆が待ち望んでいるよ」

「そんなに持ち上げてくれるなんて嬉しいね。でもお断りだ」

「なんでだ」

「オレのストーリー……つまりロン・パープルが演じたヘルボーイのストーリーはゴールデンアーミーでキレイに終わり、リズ、エイブとオレは人知れない場所で静かに暮らした。近年は『王子と姫は幸せに暮らしましたとさ』を陳腐で非現実的と評する輩もいるが、お前らが何の権力があって人の幸せの暮らしを批判するのさって言ってやりたい」

「……つまり?」

「つまりオレは今幸せに暮らしている。たまにこうしてイマジナリーフレンドとして現れて酒を飲めば、これで満足だ。もしまた不満があれば小説でも同人誌でもファンビデオでも何でもやるといい。合法の範囲内でな」

「そう言うと思ったぜ」

 LAの彼は強情に言った。これからゴールデンアーミー以上のヘルボーイムービーが出ないかもしれないという現実、悲しいが直面しなければならない。彼は缶ビールをもう一本を掴み、栓を引いた。

「チアース、レッド。これからも幸せに」

「ありがと。チアース」

 二人はビールをイッキに飲み干し、缶をローテーブルに叩きつけた。

HELLBOY(2019)
2.0点。意図的に重くて暗い話したいのか、ヘルボーイの血統と悪魔でありながら同族を狩ることに対して内心の葛藤を重点している。旧作の愛嬌があまりない。ストーリーは一気に詰めすぎた感がある。
しかしHELLBOY映画最大の魅力の一つである奇想天外な生物造形は10年の歳月をかけて大きく進化した。ロンドンで悪魔が殺戮を広げるシーンは砂漠で彷徨っている時オアシスを発見したみたいな興奮を覚えた。

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